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頭のいい人が実践している面倒な人を味方に変えていくテクニック

2023.01.16PR

東大、フランス国立研究所、MENSA(全人口の上位2%の知能指数を持つ人が入会できる国際グループ)などで世界のさまざまな「頭のいい人」を見てきた脳科学者・中野信子氏。そんな中野氏が「物忘れを防ぐ『検索タグ記憶法』」「『誰かのために』が脳に快感と若さをもたらす」「挫折がなくなる『やらないことリスト』の作り方」など、仕事や勉強、人生がうまくいく脳を活用した31の習慣を解説した著書が世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみたです。

本稿ではこの本から一部を再編集、「世界で通用する、本当に賢い人たち」が実践している少し意識を変えるだけで、誰にでも今日からできるコツをお届けします。

中野信子著/アスコム
世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた

人格ではなく行動だけを否定する

Aさんの「味方を作っていく」テクニックは、敵(ないし困った相手)がいる場合にも有効です。ここでは、彼女が努力していたことを、もう少し紹介します。

まず一つ目は、ルールを守れない相手に困っている場合。

この場合は、相手をとりあえず全力で持ち上げます。批判したり叱ったりは一切せず、盛大に褒めて、称賛を浴びせます。少なくとも、数分間続けるのがいいでしょう。

そして、相手の気分が高揚してきた頃を見計らって、直してほしい行動(遅刻するとか)について、「それは、ありえないよね~」とあっさり伝えるのです。相手の人間性については、あえて一言も触れないようにします。あくまでも、困った行動だけを「ありえないよね~」と伝えるのがポイントです。とても簡単にできて、しかも効果的な方法です。

相手の意見をまずは受け入れ時間をおいて再度交渉

二つ目は、意見を聞いてくれない相手に出くわした場合。

Aさんは、先に相手の意見を受け入れるという手を使っていました。

パーカッショニストのCさんは、作曲家であるAさんが書いてきた曲が気に入りません。彼女の提案してきた奏法、楽器、何もかもが無理のある選択だと考えているからです。AさんはCさんに演奏してほしいのですが、CさんはAさんの言うことに耳を貸しません。

Aさんは、先に折れ、こんな風にCさんに伝えました。

「この前の話を考えてみたのだけれど、やはり、Cさんが正しいと思う。Cさんの言っていたことに賛成するわ」

Cさんは、「実際に演奏するのは自分であり、その実際的なアドバイスを作曲家が受け入れたということは、Aさんにもちゃんと判断力があるようだ」と、Aさんに対して一目置くようになりました。

Aさんのうまいところは、それから二晩ほどおいて、Cさんが「無理って言っちゃったけど、もうちょっと自分が頑張ればできたことかもしれないな……」と思い始めた頃を見計らって、もう一度、「無理だということは承知しているのだけど、あなたがやれるようにこの点を修正するので、何とかやってもらえないかな?」と再び提案したことです。

そして、「あなたがやれるように修正するので」と譲歩の姿勢を見せることも忘れないのが、また小憎いところです。

サボり癖のある人は監査役に抜擢する

三つ目は、やるべき仕事をサボる癖のある人に対処しなければならない場合。

サボり癖のある人は、自分が興味のあることばかりしたり、「自分にはもっと能力があるので、自分にふさわしい仕事はこれではない」などと思っていたりします。ですので、自分に任命権がある場合、その人を指導役とか監督役にしてしまいます。

やるべき仕事をサボっている人は、無意識にいろいろな理由を考え出し、サボる自分を正当化しています。しかし、人がサボっているのを指摘しないといけない立場になると、ちょっと状況が変わってきます。「サボっていた自分」と、「他人に『サボるな』と言わなければならない自分」の間に葛藤が生じるのです。

すると、この葛藤をなんとか正そうとする働きが、心理的に起こります。「サボる自分」と「『サボるな』と言う自分」のどちらに合わせるか、となるわけです。

自己評価が高い場合には、後者のほうが勝ちます。

そして、指導者役をこなしていくモチべーションが高くなるので、自分自身はサボることがなくなっていきます。これは「認知的不協和」を利用した方法で、誰かに自発的に仕事をさせるために使える、巧みな方法の一つです。

なお、認知的不協和とは、個人の持つある認知と他の認知との間に、不一致や不調和が生じることを指します。その結果、不協和を解消したり低減しようとして、行動や態度に変化が起こるのです。

嫌がらせをしてくる人にはアドバイスを求めよう

最後は、自分に嫌がらせをしてくる相手をどう黙らせるかという場合です。

攻撃してきたり、嫌がらせをしてきたりする人がいたら、あえて、その人に直接、その嫌がらせの内容についてアドバイスを求めてみるのです。

「アドバイスをしてあげる」というのは、相手があなたに「投資する」ということです。投資をするとき、人間は、報酬を期待します。つまり、「アドバイスが役に立つ」ということを期待するのです。嫌がらせや攻撃を続けていると、アドバイスが役に立ちません。

また人間は、常に自分が正しい立場でいたいという欲求を持っています。脳には自分の行動を監視する回路があって、そこが自分の行動を「良くない」と判断すると、不快感を覚えるようにできているのです。

ただし、嫌がらせをしている最中は、その嫌がらせを正当化しています。その結果、不快感を感じなくなったり、「むしろ正しいことをしている」とまで思い込んで快感を覚えることもあります。

しかし、あなたに対して一度アドバイスをしてしまうと、「自分が授けた知恵を正解にしたい」という心理が働きますから、自然とあなたに対して嫌がらせをするモチベーションが下がっていくのです。

☆ ☆ ☆

脳のパフォーマンスは使い方や習慣次第で大きく変わります。「世界で通用する、本当に賢い人たち」が実践している『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』を参考に脳の上手な使い方を学んでビジネスに活用してみてはいかがでしょうか。

中野信子(なかの・のぶこ)
1975 年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授。著書に『脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『サイコパス』(文藝春秋)、『空気を読む脳』『ペルソナ脳に潜む闇』(講談社)、『キレる!』『「嫌いっ!」の運用』(小学館)など多数。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。

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