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1インチセンサーを搭載したスマホ「Leitz Phone 2」に22万円の価値はあるか?

2022.12.09

■連載/石野純也のガチレビュー

 ドイツの老舗カメラメーカー、ライカカメラが全面的に監修した「Leitz Phone 1」に、後継機が登場した。それが、「Leitz Phone 2」だ。前モデルと同様、製造はシャープが担当。高速なオートフォーカスが可能な1インチセンサーを搭載した「AQUOS R7」をベースに、ライカらしいデザインやカメラ機能を盛り込んだ1台に仕上げた。「ライカM8」の限定モデルを再現したという「ライカホワイト」1色の展開で、カメラ回りのデザインもAQUOS R7から大きく変えている。

 新たに、ライカのレンズの光学特性をソフトウエア的にシミュレートする「Leitz Looks」にも対応した。前モデルでは、モノクロ写真が撮れるモードとして採用されていたLeitz Looksだが、Leitz Phone 2では、画角を変えたり、フィルターで色味を変えたりすることが可能。ライカらしい味のある写真が撮れるようになった。こうしたソフトウエアはベースモデルのAQUOS R7にない特徴と言える。

ライカ全面監修スマホの第二弾となるLeitz Phone 2

 とは言え、本体価格は22万5360円とフォルダブルスマートフォン並みに高額だ。ライカのこだわりが詰まっているぶんだけ、AQUOS R7よりも価格は上がっている。「新トクするサポート」を利用しても、実質価格は10万円超。気軽に手を出せるスマホとは言いがたい。では、Leitz Phone 2はどのようなユーザーに向いた端末なのか。発売に先立ち実機を試用できたため、ここではそのレビューをお届けする。

デザインにライカのセンスを注入、一方でUIには課題も

 ベースとなる端末はAQUOS R7だが、そのデザインは大きく異なっている。本体は直線的な金属のフレームに包まれており、背面ガラスは光沢感のある仕上がりだ。カメラユニットのデザインも大きく変わっており、あたかも大口径のレンズを装着しているかのよう。スマホとしてのエッセンスを残したAQUOS R7に対し、よりカメラらしさを強調したのがLeitz Phone 2と言えそうだ。

本体を金属フレームが取り囲む独特な形状

カラーはライカホワイト1色。同社の限定カメラをモチーフにした

カメラ回りは、あたかも大口径のレンズが搭載されているかのようなデザイン

 スクエアな印象の強いLeitz Phone 2だが、サイズはAQUOS R7と同じ。ディスプレイは6.6インチで、ボディは161×77×9.3mmだ。一方で、エッジの角が立っていることもあり、やや持ちづらい印象も受けた。個人的には、ディスプレイの四隅がラウンド形状なのに対し、フレームが直線的なところには違和感を覚えた。ここは、ベースとなるAQUOS R7のディスプレイ形状に引きずられてしまったのかもしれない。

ディスプレイとフレームの形状が合っていない前面のデザインには、違和感を覚えた

 うれしいのは、ケースやレンズキャップが同梱されている点。1インチセンサーはレンズの厚みもあり、カメラユニットの出っ張りが大きい。ケースをつけると、この部分がフラットになり、机やテーブルの上に置きやすくなる。ここにピタッと止まるレンズキャップも、Leitz Phoneとしてのアイデンティティだ。レンズキャップはマグネットで装着する方式で、取り外しもしやすい。ケースとレンズキャップをつけた時の姿は、まるでカメラだ。

ケースを装着すると、カメラの出っ張りが少なくなり、傷がつく心配を減らせる

マグネットで装着するレンズキャップも同梱

 外観はベースモデルから大きく変わったLeitz Phone 2だが、ユーザーインターフェイスのデザインはどこかAQUOSシリーズの面影が残っている。ウィジェットなどのカスタマイズは加えられている一方で、フォントやメニュー構成がそのままのためだろう。Androidには標準でフォントをカスタマイズする機能も搭載されているため、完全監修をうたうのであれば、ここにも手を入れてほしかった。フォントが変わるだけで、見栄えも大きく変わるからだ。

フォントがAQUOS R7と同じためか、どこか雰囲気が似通っている

 ソフトバンクが独占的に販売するキャリアモデルということもあり、仕方のない部分はあるが、ホーム画面の2画面目にキャリアアプリがずらっと並んでいるのも少々見栄えがよくない。特別に開発したモデルであれば、こうした点への配慮もほしかった。逆に、ベースがAQUOS R7ということもあり、「Photoshop Express」が最初からインストールされている点は評価できる。写真撮影に強みのある端末なだけに、撮影から加工、編集までを一貫してできるのは魅力と言える。

特徴的なカメラ、その実力は?

 カメラアプリは、ベースモデルと大きく異なる。むしろ、Leitz Phone 2のアイデンティティはここにありといっても過言ではないだろう。カメラを起動するとわかるが、画面に四角い枠が表示される。写真として記録されるのは、この枠内だ。光学的な焦点距離は19mmだが、この枠内の画角は24mmに相当する。このフレームはライカのカメラに採用される「ブライトフレーム」をデジタル的に再現したもの。ほかのスマホとデザイン的な違いがあるのはもちろん、19mmと24mmの画角を比べながら撮影でき、実用性も高い。

カメラのファインダーには、24mmの画角を表すブライトフレームが現われる

 もちろん、センサーとレンズをめいっぱい使った19mmで撮影することも可能。この場合、当然ながらそれより外側の光は取り込めないため、デジタルブライトフレームは表示されなくなる。また、Leitz Phone 2には望遠カメラは搭載されていないが、元々の画素数が4720万画素と高いため、切り出しでズームをすることが可能。2倍ズームであれば、画像の劣化がなく、精細感を保った写真を撮影できるのは魅力的だ。

19mmの広角モードにすると、センサーとレンズを目いっぱい使って撮影するため、ブライトフレームは表示できない

 撮れる写真の精細さは、さすが1インチセンサー。標準モードで撮ると、味付けはAQUOS R7に近い。AQUOS R7も、ライカがカメラを監修しているため、当然と言えば当然だろう。特に、風景写真は印影がしっかり出ており、暗い場所のノイズも少ない。かと言って、不自然に明るくなりすぎることもなく、自然な描写だ。AIを使った補正も行われるため、例えば食事を撮ると、温かみのある色に仕上がる。

風景の味付けは、さすがライカ監修といったところ。料理もAIで温かみのある質感が表現されている

 おもしろいのが、機能を大幅に拡張したLeitz Looksだ。先代のLeitz Phone 1では、モノクロで写真を撮るための機能だったが、Leitz Phone 2のそれは、ライカのレンズをシミュレートする機能へと進化している。3つのレンズは、「SUMMILUX(ズミルクス) 28mm」「SUMMILUX 35mm」「NOCTILUX(ノクチルクス)50mm」。フィルターも3つ用意されており、オリジナルを含めると4種類の色調を楽しめる。この、SUMMILUX 28mmで撮った写真は、以下のとおり。より印影が濃くなり、雰囲気がグッと増す。同じ風景をモノクロで撮ると、さらに印象的な写真に仕上がる。

Leitz Lookには、ライカのレンズをソフトウエア的に再現する機能が加わった

色の濃淡がグッと濃くなり、まるで映画のワンシーンのよう

同じシーンをモノクロで撮ると、それだけで印象がガラッと変わる

 ポートレートは、「SUMMILUX 35mm」で撮ってみたが、背景が自然にボケており、こちらも自然な仕上がりだ。一方で、料理のような被写体は、やや苦手とするところ。標準のカメラモードとは異なり、AIによる補正がかからないためか、色がやや沈んで見える。炒めものはそれなりに雰囲気のある仕上がりだが、刺身を撮ったら新鮮さが欠けているように見えてしまった。被写体や撮り方を選び、工夫が必要という点では、カメラ好きのためのモードと言える。

人物は、ボケ味が自然。肌の印影もキレイに出ている印象だ

料理は色味がイマイチ。被写体を選ぶモードと言えるかもしれない

操作感は上々、高リフレッシュレートディスプレイや指紋センサーにも注目

 Leitz Looks利用時に、少々気になったのは保存に時間がかかるところ。レンズをシミュレートする処理をかけているためだと思われるが、特に人物を撮影する際に、テンポよくシャッターを切れないことがあり、ややストレスを感じた。チップセットはクアルコムのSnapdragon 8 Gen 1で、Androidの中ではトップクラスのパフォーマンスを誇るだけに、ソフトウエアアップデートなどによる改善に期待したい。

Leitz Looksは、保存に時間がかかるのが難点

 とは言え、カメラはオートフォーカスが合うのも速く、快適に撮影できる。これは、センサーが全画素オクタPDAFに対応したからだ。「AQUOS R6」と同じデジカメ用の1インチセンサーを採用したLeitz Phone 1はフォーカス合わせの遅さが最大の弱点だったが、これが解消された格好だ。動く被写体も撮りやすくなり、カメラの出番が増えたと言えるだろう。こうした使い勝手が大きく改善されていることもあり、Leitz Phone 2はより万人にお勧めしやすくなった。

 基本性能は高く、レスポンスはいい。スクロールなどが指の動きにしっかり追従するうえに、アプリの切り替えなどもスムーズ。チップセットの性能が高く、メモリの容量も12GBと十分なためだろう。さらに、ディスプレイのリフレッシュレートは最大240Hz。最低1Hzまで書き換え頻度を低下させ、バッテリーの消費も節約できる。こうした機能の数々は、AQUOS R7譲りだ。

ディスプレイは1Hzから120Hzに可変。さらに、間に1枚黒の映像を挟むことで、240Hzまでリフレッシュレートを高め、残像感を抑えている

 また、指紋センサーはとにかく優秀。超音波式の3D指紋センサーを搭載しているため、指紋を読み取れる範囲が広く、しかも読み取り速度が速い。画面内指紋センサーは、場所がピンポイントで、目視しないと指を正確に置けないのが難点だったが、ここまで範囲が広いと、操作時のストレスがない。だいたいの場所さえつかんでおけば、適当に指を置くだけですぐにロックが外れるからだ。この機能を採用している端末は、ハイエンドモデルでも少ない。

超音波式の3D指紋センサーを採用。範囲が広く、読み取りも速い

 基本性能が高く、味のある撮影を楽しめるLeitz Phone 2だが、22万5360円という価格はやはり少々手が出しづらい。ハードウエアの性能がほぼ同じAQUOS R7のソフトバンク版は18万9360円。この価格差を見て、二の足を踏んでしまう人は少なくないだろう。一方で、AQUOS R7にはないライカならではのデザインや、写真の“味”があるのも事実。こうした点に引かれるなら、価格差は許容範囲かもしれない。その意味で、Leitz Phone 2は趣味性の高い端末だ。刺さる人には刺さる1台だが、好みは分かれそうだ。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★★
決済機能      ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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