■連載/コウチワタルのMONO ZAKKA探訪
私にとって、ノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスイヤホンはなくてはならない存在である。
地下鉄での通勤時間はもちろんのこと、車の多い大通りを歩きながら音楽やPodcastを聴く時など、外部音をシャットアウトしたい場面は世の中に溢れている。
そんなわけで最近ではソニー社の『WF-1000XM4』を使用してきており、もちろんこちらのノイズキャンセリング機能も優れているわけだが、本体の耳へのフィット感が低い、本体だけでは音量調整ができない等、使用する中で不便さを感じることがあった。
そこで次に使用するワイヤレスイヤホンを探していた時に候補に挙がったのが今回紹介するBose社のワイヤレスイヤホン『Bose QuietComfort Earbuds II』である。
有線時代の『QuietComfort』シリーズ以来、久しぶりのBose社の製品となったが、果たして”世界最高のノイズキャンセリング”の謳い文句に誤りはないのか?早速チェックしてみたので今後の購入の際の参考にしてもらいたい。
『Bose QuietComfort Earbuds II』とは?
本製品は2020年秋に発売された『Bose QuietComfort Earbuds』の後継モデルであり、2022年9月29日より発売開始されている。
前モデルから変更された点は幾つもあるが、変更点の1つは本体のサイズダウンである。
収納兼充電ケースも薄くてコンパクトな縦長デザインに変更されているし、何よりイヤホン本体が前モデルでは装着した際に耳から飛び出る印象が強かったのが、本モデルではその程度も抑えられ、見た目の上でも装着感が増している。
『Bose QuietComfort Earbuds II』を使用してみて気が付いたこと
製品自体の細かい特徴は公式HPで確認していただくとして、ここから私個人の主観でこれはと思う特徴を中心に紹介していこう。
◆収納兼充電ケースのサイズは大きめ、ワイヤレス充電に非対応の点は残念
さっそくネガティブなポイントからとなって申し訳ないが、収納兼充電ケースについては残念に思うことが多い。
公式HPによるとケースのサイズは6㎝×6.6㎝×2.7㎝となっており、手のひらサイズではあるものの、例えばカラビナ等でパンツからぶら下げる場合には結構存在感のあるサイズである。
この点はどうしてもソニー社の『WF-1000XM4』やアップル社の『AirPods Pro』に軍配があがる。唯一の救いは厚みが2.7㎝と比較的に薄くなっている点で、そのおかげでまだ許容範囲に思えた。
もう1つ残念な点はやはりワイヤレス充電に対応していない点である。
ソニー社の『WF-1000XM4』やアップル社の『AirPods Pro』もこちらは対応済みであり、ワイヤレス充電器の上に載せるだけの生活に慣れてしまっていた身としてはこの点は不自由さを感じずにはいられない。
次モデルが出ることがあれば是非対応してもらいたい点だと感じた。
なおバッテリー持続時間についてはイヤホン単体で最大6時間の連続再生が可能であり、ケースによる3回の追加充電が可能となっている。
◆イヤホン本体は安定の装着感
現在使用しているソニー社の『WF-1000XM4』からの乗り換え理由がこの点であっただけに気になっていたが、結論として装着感の点は大変良く満足している。
イヤホン本体のサイズは1.7cm×3.0cm×2.2㎝。前モデルのイヤホンはずんぐりむっくりしたデザインで食指が動かなかったが、本モデルは海外のビジネスパーソンが着けるハンズフリーのようなスタイリッシュなデザインに仕上がっている。
実際のところ前モデルからサイズは30%もダウンしているとのこと。耳に装着した際の見栄えも段違いに良くなっており、はみ出ている印象は殆どない。
イヤホンには異なるサイズのイヤーチップが付属する他、本モデルよりスタビリティバンドと呼ばれるパーツがやはり3サイズ付属している。
こちらはイヤホンの耳への装着感、安定感を増すために使用するパーツであるが、特徴的なのはメガネのツルのように耳に掛けるフック状のデザインではなく、耳穴の周辺、外耳部分との密着度を高めるデザインになっている点である。
実際に使用してみるとこれが確かに装着感の向上に寄与していることを実感するし、何より本パーツを付けたままケースに収納することができるのでわざわざ着け外しをしなくて良い点が嬉しい。
◆重低音の迫力はさすがBoseというべき。一方でノイズキャンセリング機能については“世界最高”は言い過ぎか
Bose社の製品の魅力は迫力のある重低音だと思っているが、それはこの『Bose QuietComfort Earbuds II』も例外ではなかった。
特筆すべきは、重低音がしっかり聞こえるようになってもボーカルの歌声や他の楽器の音の粒は潰れていない点である。
重低音のヘッドホン・イヤホンになると聞こえてくる音すべてが強調された低音によって潰されてしまったように感じるものもあるが、このイヤホンではそれがない。
例えるならば野外フェスで聴く音楽に近く、重低音はお腹に響くように地面の方から伝わってくる一方で、ボーカルの歌声は歌詞がはっきり分かるクリアさで上方から伝わってくるイメージを受けた。
一方でノイズキャンセリング機能については個人的には期待したレベルには少し届いていない印象を受けた。
ただ、これはこれまで使用していたソニー社の『WF-1000XM4』もノイズキャンセリング機能で優れていた点が影響していると思われる。
『WF-1000XM4』もノイズキャンセリング機能は優れており地下鉄内でもPodcast番組の音声を問題なく聞き取ることができた。
そのためそこからの差分があまりなく、期待したほどには感動を受けることがなかったと思われる。
もちろん、この製品単体で捉えるとノイズキャンセリング機能は優れているので、『WF-1000XM4』や『AirPods Pro』以外の製品から乗り換える場合はその違いに驚くのであろうし、買い替える意義はあるように思う。
『Bose QuietComfort Earbuds II』を購入するには?
『Bose QuietComfort Earbuds II』のカラーバリエーションはトリプルブラックとソープトーンの2色で価格はいずれも税込み36,300円。ただしこちらは公式HPから購入する場合の価格であり、家電量販店やAmazon等では33,000円前後で販売されている。
文/Wataru KOUCHI
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