製作:東宝 ©原泰久/集英社
ぴあ総研の調査発表によれば、2021年の2.5次元ミュージカル(日本の2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称)の市場規模は、前年増減率209.7%増の239億円と推計される。2020年は77億円にまで落ち込んだものの、コロナ禍前の2019年と比較しても13.5%増と、その活況ぶりから注目度の高さがうかがえる。
近年は、『僕のヒーローアカデミア』、『鬼滅の刃』、『東京卍リベンジャーズ』、『呪術廻戦』と、漫画やアニメに疎い人でも一度は耳にしたことがあるであろう有名作品の舞台化が相次いでいる。来たる2023年上演予定の漫画・アニメ原作の舞台から、特に注目の3作品を紹介しよう。
2023年1月上演「進撃の巨人」-the Musical-
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会
■巨人に立ち向かう人類の姿を演劇×最新ギミック×幅広い楽曲で表現
2009~2021 年に別冊少年マガジン(講談社)で連載された『進撃の巨人』は、コミックス全34 巻の発行部数が世界累計1 億1 千万部を越え、社会現象とも言えるほどの大ヒットにより、日本のみならず海外でもセンセーションを巻き起こした。
連載終了後の現在も絶大な人気を誇るこのダークファンタジー作品を、「進撃の巨人」-the Musical-として、大阪・オリックス劇場(2023 年1 月7日〜9日)と東京・日本青年館ホール(2023年1月14日〜24日)で上演する。
エレン・イェーガー役は、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズで鶴丸国永役を演じて注目を浴び、グランドミュージカルや音楽活動にも活躍のフィールドを広げている、成長著しい舞台俳優界のホープ、岡宮来夢。
ミカサ・アッカーマン役は、舞台「呪術廻戦」禪院真希役など、多数の映像・舞台に出演し、透明感のある演技が好評を博している、高月彩良。
アルミン・アルレルト役は、ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密~のシエル・ファントムハイヴ役をはじめ、次々と重要な役どころを射止め実力を伸ばす、小西詠斗。
リヴァイ役は、これまでに数々の舞台作品で主演を務め、近年では舞台「東京リベンジャーズ」の佐野万次郎役を演じるなど、幅広い役柄で見せる豊かな表現力が高い評価を得ている、松田 凌。
エルヴィン・スミス役は、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』主演のロミオ役ほか、グランドミュージカルで活躍する一方、NHK 連続テレビ小説、大河ドラマなど映像でも存在感を発揮する、大野拓朗。
その他、話題作への出演が続いている旬の俳優陣が、調査兵団をはじめとした重要人物を演じる。
圧倒的なスケールで描かれる原作の世界を、巨人に立ち向かっていく人々の歌とステージングによるアナログな演劇的手法と、最新のテクノロジーやギミックを駆使した斬新なスペクタクルの融合で表現。そして、音楽監督にはヒップホップMCのKEN THE 390を、作詞には三浦香を据え、複数の音楽家によるジャンルに囚われない幅広い楽曲で、ミュージカルならではの新たな『進撃の巨人』を創り出す。
立体機動装置による巨人との戦いにはワイヤーアクションも取り入れ、早期から訓練に取り組み万全の体制を整えて臨んでいるという。舞台ならではの熱量を、ぜひ劇場で“生”で浴びよう。
・「進撃の巨人」-the Musical- 公式サイト
https://www.shingeki-musical.com/
プレイガイドにてチケット一般販売中
2023年2月上演 帝国劇場 舞台『キングダム』
製作:東宝 ©原泰久/集英社
■戦乱の世を駆け抜ける戦士たちの熱い戦闘をWキャストで魅せる
2006年より『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載中の『キングダム』の初の舞台化が決定した。2023年2月5日〜27日の帝国劇場を皮切りに、3月に大阪、4月に福岡、5月に札幌での上演を予定している。
本作は、紀元前、春秋戦国時代末期の古代中国が舞台。戦災孤児の少年・信と、その玉座を追われ、のちの始皇帝となる若き王・嬴政(えいせい)。未だ一度も統一されたことのない苛烈な戦乱の中、2人の少年が時代の荒波にもまれながらも、友との約束のために、そして己の夢のために史上初の中華統一を目指すという壮大なストーリーだ。
今回の舞台では、コミックス1〜5巻の、信が嬴政と手を組み王弟から玉座を奪還するまでの「王都奪還編」を主軸に、他巻のエピソードも盛り込みながら展開する。
主人公の「信」を演じるのは、ミュージカル『刀剣乱舞』で兄弟役で出演した三浦宏規と高野洸。秦国王「嬴政」と信の親友「漂」の二役を、ミュージカル『四月は君の嘘』で主演を果たしドラマやバラエティで幅広く活躍する小関裕太と、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンでブレイクし『刀剣乱舞』にも出演する牧島輝が演じる。
その他、「河了貂」や「楊端和」などの主要キャラクターもWキャストとなっており、観る回によって違った魅力に出会えることだろう。
2019年4月に実写映画が劇場公開、2022年7月には続編も公開され、漫画の累計発行部数は同年9月時点で9200万部を突破。2024年にアニメ第5シリーズの放送が決定するなど、まだまだこの作品の勢いは止まる所を知らない。
現在はコミックスが66巻まで出ており、主人公の信は大勢の隊員を率いる頼もしい青年へと成長を遂げている。そこに至るまでの前日譚、少年期の荒々しさや青さ、無謀だが手に汗握るストーリーを、フレッシュな俳優陣の演技とともに振り返ってみてはいかがだろうか。
・帝国劇場 舞台『キングダム』公式サイト
https://www.tohostage.com/kingdom/
一般前売開始は2022年12月3日から
2023年3月上演 帝国劇場 ミュージカル『SPY×FAMILY』
製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
■日本で一番有名!?なスパイ一家のミッションがいよいよ始動!
原作は、遠藤達哉が2019年3月より『少年ジャンプ+』(集英社)で連載中のスパイアクション&ホームコメディ『SPY×FAMILY』。連載開始直後から閲覧数・コメント数・発行部数における『少年ジャンプ+』最高記録を次々と更新し、読者の圧倒的な支持を獲得している。
「このマンガがすごい!2020」オトコ編・第1位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2020」第1位、「第4回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」大賞などに選出され、現在、シリーズ累計発行部数は2700万部を突破。2022年4月よりテレビアニメ第1クール、同年10月より第2クールの放送がスタートし、Netflixではつねに国内人気上位にランクインしている。
このような最旬作品の初の舞台化が決定し、2023年3月8日〜29日に帝国劇場、4月に兵庫公演、5月に福岡公演を興行することとなった。
物語の舞台は、世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた東西冷戦時代。西国の凄腕スパイであるコードネーム〈黄昏(たそがれ)〉は、東国の危険人物ドノバン・デズモンドの動向を探るため、極秘任務を命じられる。
その名も、オペレーション〈梟(ストリクス)〉。任務の内容は、“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入し、デズモンドに接触せよ”というもの。〈黄昏(たそがれ)〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作るため《娘》と《妻》を探すことに。
彼が出会った《娘》候補のアーニャは心を読むことができる超能力者、《妻》候補のヨルは殺し屋という裏の顔を持っていたが、3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。
案の定、変わった素性を持つ3人の《仮初めの家族》の日常はおかしなことだらけ。時には大事件に巻き込まれ、それぞれの敵や難問に立ち向かいながらも、とにかく《普通の家族》を装うために全力を尽くす3人に、世界の平和は託されたのだった……。
ロイドやヨルといった主要キャストはすでに公開されているが、アーニャ役はいまだベールに包まれている。というのも、オペレーション「アーニャを探せ!」と題して目下オーディションが進行中なのだ。舞台作品では子どものキャラクターを大人が演じることも多いが、このオーディションでは子役を募集していた。
「わくわく!」や「アーニャピーナッツが好き」といったコミカルな名ゼリフを、等身大のアーニャはどのように表現するのだろうか。また、アクロバティックなアクションシーンも多い本作。白熱の銃撃戦や肉弾戦のシーンを盛り上げる楽曲にもぜひ注目したい。
・帝国劇場 ミュージカル『SPY×FAMILY』公式サイト
https://www.tohostage.com/spy-family/
先行抽選エントリーは2022年12月6日〜9日、先行先着販売は12月18日から、一般前売開始は2022年12月24日から
文/清談社・松嶋千春