自分だけの箱庭ができる!「苔テラリウム」の作り方アイデア
ガラス瓶やボウルの中に自分だけの箱庭が作れる「苔テラリウム」。管理がしやすく、置き場所を選ばずに楽しめることからインテリアとしても注目を集めています。
というわけで今回の記事では、話題の苔テラリウムをご紹介。100円ショップ+αの材料を使って、筆者が人生初の苔テラリウム作りに挑戦したレポートをまとめています!
苔テラリウムの育て方や向いている苔の種類、管理のポイントなどもあるので参考にしてください。
テラリウムとの違いは?ブームになっている「苔テラリウム」の魅力
ここ数年でよく耳にするようになった「苔テラリウム」という言葉。そもそも「テラリウム」とは、透明な容器の中に植物をレイアウトして育てるガーデニングスタイルのことです。
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[苔男子 Moss a Man(@healing.moss)さんのインスタグラム投稿より]
テラリウムは、ラテン語の「テラ(陸地・大地)」と「リウム (空間・場所)」を組み合わせた造語です。それに「苔」を足したものが「苔テラリウム(またはコケリウム)」。つまり苔テラリウムとは、苔をメインにして制作されたテラリウムの呼び名なんです。
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[苔男子 Moss a Man(@healing.moss)さんのインスタグラム投稿より]
苔は比較的成長が緩やかで頻繁なメンテナンスがいらないため、苔テラリウムは管理がしやすいといった特徴があります。
水やりは1~2週間に1度霧吹きであげるくらいが目安で、明るさの確保は必要ですが日当たりの良好さは考えなくても大丈夫です。小さな容器のものなら、ちょっとしたスペースに置いておけるのもメリットです。
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[Moss Design Lab(Hiroki)(@moss.design.lab)さんのインスタグラム投稿より]
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[(@bun_buntan)さんのインスタグラム投稿より]
インテリア性やレイアウトの自由度が高いのも魅力で、カラーサンドやミニチュアフィギュア、流木やブロックなどを使って思い思いの世界観を表現することができます。
近頃はそんな苔テラリウムの魅力にハマり、新たな趣味として取り入れる人が急増しているのだとか!
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[(@bun_buntan)さんのインスタグラム投稿より]
今や「#苔テラリウム」は、インスタグラムで11万以上の投稿がヒットする人気ジャンルに成長しています。
苔テラリウムはどうやってはじめればいい?
これから苔テラリウムをはじめたい人には、専門店からリリースされているスターターキットがおすすめです。少し割高なこともありますが、苔テラリウムの制作に必要なものが全て揃うので入門編には丁度良いでしょう。
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[Moss Design Lab(Hiroki)(@moss.design.lab)さんのインスタグラム投稿より]
こちらのMoss Design Lab(Hiroki)さんは、近々ミニパルダリウム(※)を作成してみたい人に向けたオリジナルキットを販売予定ということ。詳細についてはMoss Design Lab(Hiroki)さんのSNSでチェックしてみてくださいね。
(※パルダリウム:テラリウムの中でも主に湿地帯や水辺の風景を再現したもの)
近頃は苔テラリウムのワークショップや体験レッスンなども開催されているので、1人ではじめるのが不安な人はそちらも利用してみてください。
とりあえず最初はコストをかけずに試したいという人は、自分で材料をそろえることももちろん可能です。用意する手間はありますが、ホームセンターやネットショップ、100均のアイテムを組み合わせることでコスパ良く作ることができるでしょう。今回のレポートでは専門店のキットを利用せずに材料を揃えているので参考にしてみてください。
100均+αの材料で苔テラリウム作りに初挑戦してみた!
ここからは、苔テラリウム未経験の筆者がキットを利用せずに苔テラリウムの初制作をしたレポートをご紹介します!
今回使用した材料と入手先はこちらです。
【ダイソー】
- 赤玉土
- ピートモス
- ガラス容器(220円)
- ピンセット
ガラス容器は大きなものが欲しかったので、ダイソーで220円の瓶を入手しました。
【セリア】
- 水差し
- グラスサンド
- カラーサンド
- 蓄光石
飾り系のアイテムはダイソーよりセリアの方が充実していることが多いです(店舗によるかとおもいますが)。
【ネットショップ】
- 苔
- ミニチュアフィギュア
苔は近所のホームセンターでは扱っていなかったのでネットで購入しました。ミニチュアフィギュアもネットの方が色々な種類があり、1体から販売しているので好みのものを探してみましょう。
【その他、家にあったもの】
- スプーン
- ハサミ
- 小石
- 木片
- ビニール手袋
【作り方】
①赤玉土とピートモスを7:3くらいの割合で混ぜる
今回用意した赤玉土は粒が大きかったので、手やスプーンで崩しながら混ぜました。
意外と固くて面倒だったので、ハイドロボールやゼオライトを使えばよかったかもしれません…
②容器の底に①を入れる
傾斜をつけて入れるとレイアウトしやすいということなので、坂をつくっています。
③小石やブロックなどを配置して水差しで水を入れて固める
小石やブロックを使う場合はこのときに配置を決めます。少し埋め込んだ方が後々落ちてこなくて良いと思います。
家にあった小石と木片を置いた後、水差しで水をかけて土を固めます。
④苔の下部分を少しカットして、ピンセットで植え付ける
カラーサンドを入れた上から苔を植え付ける方法もあるそうなのですが、自分は土とカラーサンドをしっちゃかめっちゃかにしてしまいそうだったので先に植えることにしました!
ちなみに今回ネットショップで購入した苔は3種類のアソートセット。左からヒノキゴケ・シノブゴケ・アラハシラガゴケです。
こんな感じで下の方に茶色い根っこのように見える部分がありますが、苔には根は存在しません。
「仮根」と呼ばれる茶色く変色した部分が根の役割をするので、苔テラリウムに植え付けるときはこの部分を半分くらいカットしてから使います。
植え付ける、といっても手でしっかり抑えられるわけではないので「先っぽを土に刺し込む」という表現の方が正しいかもしれません。
しかしこれがなかなか難しく…
柔らかい苔をピンセットの先に挟んでいるだけなので、土に刺そうとしてもふにゃっとするだけで上手く刺さらないのです。
ピンセットの先を使ってぐいぐい押し込むとせっかく水で形を作った土壌が荒れてしまうし、思ったよりも器用さを要する作業でした。
⑤カラーサンドやミニチュアでディスプレイする
苔を植え付け終わったら、最後にカラーサンドやミニチュアフィギュアで飾りつけます。
最終的に出来上がった苔テラリウムがこちら!
なんとなくそれらしいものが仕上がったのではないでしょうか!?
森の中に流れる川を表現したかったので、左側の方の苔が植わっていない部分には白のカラーサンドの上に青のグラスサンドを敷きました。
さらに蓄光石を数個置いて、夜にぼんやり光るようにしています。
ミニチュアフィギュアは男性のとバス停、街灯を使用しました。
アップで撮影するとジオラマのようでカワイイです。
しかしながら遠目で見ると土のアンバランスさや苔がしっかり植わっていない箇所などが目につきます。自分の中では納得いかない部分も多い仕上がりになったところは残念です。
普段からDIYやガーデニング、観葉植物の植え替えなどをやっているので、苔テラリウムも余裕でしょう!と思っていたのが間違いでした…
土づくりから全て合わせると所要時間は3時間ほど。「苔テラリウムは手軽に誰でも作れる」という前評判は何だったのかというほど個人的には四苦八苦していました。
敗因としては、
- 口が狭くなっている容器を使ったこと
- ピンセットやスプーンの長さが足りなかったこと
- フィギュアを最後に配置したこと
- 初心者が欲張って飾りすぎたこと
などが挙げられると思います。
まず、初心者が作るなら絶対に手が入るサイズの口の広い容器の方が良いです。ただでさえ慣れない作業をピンセットの先だけでやるのはなかなか苦労しました。
深さがないボウルや、口が広い蓋つきの瓶などでやれば良かったなという感想でした。
もし深さのある容器を使うのであれば、長めのピンセットやスプーン、棒、割りばしなどのグッズを用意した方が良いでしょう。
深い瓶で普通サイズのピンセットを使用したところ、ピンセットの先から苔がポロリと落ちたり手元が狂ってすでに植えた苔を掘り起こしてしまったりという現象が何度も起こりました(笑)
また、フィギュアは最後に配置するべきだと思っていたのですが、当然ながら1番最後に置いただけでは安定しません。ある程度足元を埋めるためには、カラーサンドよりも先にフィギュアを置くべきだったなと思いました。
そして極めつけが「初心者が欲張って飾りつけすぎた」こと。
プロのように精密に1つ1つ配置していけるなら良いのですが、初心者の場合なかなかそうはいきません。こっちを刺しこんだらこっちが浮いてきて、こっちを直したらまたこっちが歪んで…なんていう風に、あっちこっち直すのが大変だったのです。
最終的にボトルを移動させようとしたらジャラァっとグラスサンドの雪崩れが起きたときは泣きそうになりました…(笑)
自分で作ってみると、インスタグラムでよく見かけるおしゃれで凝った苔テラリウムのすごさがわかります。クリエイターさんたちが技術と手間暇をかけた素晴らしい作品なのだなと実感しました。
慣れないうちは飾りを欲張らず、まずは苔をきれいに植え付けるところからはじめるべきだったなぁというのが1番大きな反省点です!
とはいえ、イメージを膨らませて苔やフィギュアを自由にレイアウトしていくのはとても楽しく、ぜひまた挑戦したい作業でした。
以上、100均アイテム+αで作る苔テラリウム初挑戦のレポートでした。
苔テラリウムに関するよくある疑問Q&A
苔テラリウムの作り方や育て方でよくある疑問をまとめました。初心者向けの情報なので、これから苔テラリウムデビューしたいと思っている人はチェックしてみてくださいね。
Q1.苔テラリウムに向いている苔の種類は?
A.ヒノキゴケ・シッポゴケ・アラハシラガゴケ・シノブゴケ・スナゴケ・タマゴケ・ムチゴケ・ホウオウゴケ・ホソバオキナゴケなど。
一口に苔といっても見た目や特徴は様々で、日本だけで数100種類もあります。初心者は苔テラリウムに向いているといわれる育てやすい苔を使うのが良いでしょう。
苔によって湿地を好むか/水はけのよい環境を好むか、日当たりを好むか/半日陰を好むかなどが異なるので、できるだけ1つの容器の中には同じ特徴の苔を使った方が管理しやすいといえます。
クローズド(密封)タイプなら湿気が好きなヒノキゴケやアラハシラガゴケ、シッポゴケ、ホウオウゴケなど。オープン&セミオープンタイプなら比較的水はけの良い場所が好きなスナゴケやシノブゴケなどがおすすめです。
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[ようちん ✖︎ Green Aquarium Life(@rotusyochim)さんのインスタグラム投稿より]
オープンタイプの場合、苔以外の観葉植物と組み合わせるのもおしゃれです。
ちなみに、その辺に自然に生えている苔を採取して苔テラリウムを作ることは可能ですが、種類によっては適さないことがあります。虫やゴミが混入していることも多く、地区によっては植物の採取が禁じられていることもあるので注意してください。
自然の苔をテラリウムとして育てるのは簡単ではないので、専門店やホームセンターで購入する方が手軽といえます。
Q2.土を使わないで苔テラリウムを作ることはできる?
A.ハイドロボールやゼオライトなどを使って作ることもできる。
苔テラリウムは、ハイドロカルチャー(土を使わない栽培方法)の植え付けに使われる材料で作ることもできます。
今回は100均で購入した土をブレンドして作りましたが、ハイドロボールやカラーゼオライト、セラミスグラニューなどを使ってオリジナル苔テラリウムを楽しんでいる人もいます。
ただし、土よりも粒が大きいので細かい表現をしたい場合には向かないかもしれません。実際に試してはいませんが、個人的には土よりもハイドロボールの方が扱いやすくて良さそうだなと思っています。
ハイドロボールやカラーゼオライトはダイソーでも売られているので、探してみてくださいね。
Q3.苔テラリウムの置き場所や育て方が知りたい
A.基本的には室内の直射日光が当たらない明るい場所を好む。水やりや換気などの定期メンテナンスも必要。
苔テラリウムは直射日光が苦手です。かといって全く光が当たらない場所だと元気に育たないので、目安として文字が読める程度の明るい場所に置いておくのが良いといわれます。
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光が当たらない場所に置きたい場合は植物用のLEDライトなどを利用しましょう。
種類にもよりますが、室温は大体30℃くらいまでが目安です。35℃を超えると弱ってしまうため、夏場はエアコンが効いている部屋に置いておきましょう。
クローズドタイプの水やりは2~3週間に1度程度、霧吹きで数回吹きかけるくらいでOKです。オープン・セミオープンタイプの水やりは1~2週間に1度程度、水差しを使って土を湿らせましょう。時々霧吹きで葉を湿らせてあげるのも良いです。
苔に限ったことではないですが、植物の水やりのタイミングはあくまで目安です。植物の種類や環境によって全然違うので、状態を見て判断できるように日々観察することをおすすめします。
苔テラリウムの場合、肥料は基本的に不要ですが、苔の色が悪くなってきたら液体肥料をスプレーで与えましょう。肥料をあげすぎると藻が発生する原因になるので要注意です。
クローズドタイプの苔テラリウムでも毎日数分程度換気してあげるときれいな状態を保ちやすいです。
Q4.苔テラリウムに植え替えや剪定は必要なの?
A.適宜行うときれいな状態が長持ちする。
苔も植物なので、成長したり枯れたりすることがあります。苔が伸びて成長してきたら剪定(トリミング)を行ってください。特に茶色くなって傷んでしまった苔はカビの原因になるので、カットして取り除くことをおすすめします。
青々とした元気な状態であればそのまま成長を楽しんでも良いですが、ヒョロヒョロと伸びて形が悪くなってしまった苔は思い切って根元からカットすると再びきれいな姿になります。
脇から新芽が出ている場合は新芽を切らないように気をつけましょう。カットした部分の苔を土に差し戻すことで、増やすことも可能です。
Q5.カビが生えたり虫が発生したらどうすればいい?
A.カビはできる限り取り除いてから薬剤を散布する。虫や虫の卵を発見したら殺虫殺菌剤を使う。
苔の先端の方にフワフワした白っぽいほこりのようなものがついていたら、白カビの発生を疑いましょう。土や苔に付着したゴミや傷んで腐敗した葉などが主なカビの原因です。
少量のカビならハサミでカットしたり、綿棒で取り除くだけでも改善することがあります。広い範囲にカビが生えてしまった場合は容器の中のものを1度全て取り出し、苔やレイアウト資材をよく水洗いしてからしっかり乾かしましょう。土は新しいものに変えて、再びレイアウトしてください。
丸洗いが難しい場合は、「ベンレート」という殺菌剤を1000倍に薄めて散布する方法も有効です。通気性の悪さもカビが生える原因になるので、クローズドタイプの苔テラリウムでも定期的にフタを外して換気することで予防になります。
*
また、植え付けの際に虫の卵や幼虫が紛れていると苔テラリウムでも虫が発生することがあります。葉が食べられたような形跡があったり、糞を発見したら虫がいる可能性があるのですぐに対処しましょう。
園芸用の殺虫殺菌スプレーを使うと駆除することができます。虫の発生を防ぎたい場合は苔テラリウムを作ってすぐにスプレーすることで予防になりますが、苔が傷んでしまうこともあるので使用方法には注意しましょう。
苔テラリウムに人気の殺虫殺菌剤は住友化学園芸から発売されている「ベニカXファインスプレー」や「ベニカグリーンVスプレー」などです。
Q6.余った苔はそのままにしておいても大丈夫?
A.そのままだと1~2週間で傷んでしまうため使い切りがおすすめ。
ネットショップなどで苔を購入すると、大抵の場合プラスチックのパックに入って送られてきます。苔テラリウムを作った後に余った苔をそのままにしておくとすぐに傷んでしまうので、可能であれば使い切るようにしましょう。
余った苔を保存する場合はパックの底に苔用の土やハイドロボールを敷いておき、定期的に水やりをしてメンテナンスをしてあげると良いです。
短期間であれば冷蔵庫に入れておく方法もおすすめです。
Q7.苔テラリウムで生き物を育てても大丈夫?
A.苔や水場と相性の良い生き物を選び、生き物にとって適切な環境を作れることが条件。
苔テラリウムやパルダリウム、アクアテラリウムで生き物を飼育している人は珍しくありません。苔テラリウムで生き物を育てる際の絶対条件として挙げられるのが、飼育する生き物にとって適切な環境作りです。見た目がおしゃれになるからといって、湿地帯や苔と相性の良くない生き物を苔テラリウムで育てることは絶対にやめましょう。
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イモリやカエル、トカゲ、ヘビ、ヤドカリ、カニなどは苔テラリウムでも人気のある生き物です。ただし苔や湿地と相性が良いかどうかは種類によって異なるため、全てのイモリやトカゲが苔テラリウムで育てられるわけではありません。
苔テラリウムで生き物を飼うときは、その生き物の生態を調べてしっかり準備をしてからにしてくださいね。
苔テラリウムでお部屋に小さな自然を取り入れよう
個人の趣味からクリエイターの作品まで、個性的なアイデアが詰まった苔テラリウム。
レイアウトによっては「手軽に誰でも簡単に作れる~」というわけにはいきませんでしたが、比較的管理しやすく省スペースでも飾っておけるおしゃれなインテリアアイテムとしておすすめです。
フタができるクローズドタイプならペットや小さな子供がいても安心しておいておけるのも良い所。話題の苔テラリウムで、お部屋に小さな自然空間を取り入れてみてはいかがでしょうか?
※商品の取り扱いは店舗や時期によって異なります
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.