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「就活」「婚活」「朝活」などのように「〇〇活動」を略し用いられる「〜活」という表現。2022年の「第39回 ユーキャン新語・流行語大賞」の候補に選ばれた「ヌン活」もその一つだ。
本記事では「ヌン活」がどのような活動を意味する言葉なのか、また「ヌン活」が流行した背景についても詳しく解説する。歴史やマナーなどへの理解を深め、よりヌン活を満喫してほしい。
2022年の流行語大賞にノミネートされた、ヌン活とは
まずは、「ヌン活」とは具体的に何をすることを指すのか理解しておこう。ヌン活が流行した背景についても併せて確認してほしい。
「アフタヌーンティー活動」の略語
「ヌン活」は「アフタヌーンティー活動」を略した言葉。具体的には、ホテルやカフェなどで提供されるアフターヌーンティーサービスを楽しむ活動のことを指し、まるで英国の貴族になったかのような非日常的な気分を手軽に味わえることから、特に若い女性を中心に人気を集めている。
ヌン活を楽しむ人の中には、さまざまなホテルを巡って自身のSNSやブログに写真や感想をアップする人もいる。例えば、Instagramで「#ヌン活」とハッシュタグ検索をしてみると、色鮮やかなアフタヌーンティーの様子を撮影した写真を数多く見つけることができるはずだ。
そもそもアフタヌーンティーとは?
ホテルやティーサロンなどで、紅茶やお菓子を優雅に楽しむイメージのあるアフタヌーンティー。発祥地のイギリスでアフタヌーンティーの文化が花開いたのは、19世紀の半ば頃とされている。当時のイギリスでは、朝食と21時頃の夕食の1日2食の食事が一般的であり、アフタヌーンティーは夕方の16時頃に取る軽食として位置付けられていた。
配膳形式は現在のスタイルと同様で、2〜3段ある専用のスタンドにケーキ、スコーン、サンドイッチが用意されるのが基本。当時のアフタヌーンティーでのサンドイッチメニューは、きゅうりを挟んだシンプルなものが定番だったようだが、現在日本で楽しまれているアフタヌーンティーでは、各店で工夫を凝らしたさまざまなサンドイッチやお菓子を楽しめる。
日本でブームになった背景は?
アフタヌーンティーに欠かせない紅茶が、日本で自由に楽しめるようになったのは1971年のこと。第二次世界大戦の影響で輸入が制限されていた紅茶の輸入自由化が実施された年だ。
その数年後の1975年頃には、アフタヌーンティーの文化が日本に渡ってきた。華やかで上品な見た目のアフタヌーンティーは、当時の女性にも大人気だったという。昭和のバブル期になると、外資系のホテルが続々と開業し、その際にトレンドのアフタヌーンティーを取り入れて集客が行われたこともあり、日本でアフタヌーンティーが一般的なものとして定着した経緯がある。
ヌン活がトレンドとなった理由
では今再び、日本国内でアフタヌーンティーに注目が集まっているのはなぜなのだろうか。「ヌン活」流行の主な理由を見ていこう。
ヌン活の魅力は「SNS映え」
華やかなアフタヌーンティーは「SNS映え」することから、特に若い女性の間で人気を集めている。旬の果物を使って色鮮やかにプレートを彩ったものや、季節のイベントをモチーフにした可愛い見た目のお菓子など、目でも楽しめるような工夫が施されたメニューに、乙女心がくすぐられる人も多いようだ。
つい写真を撮って誰かに共有したくなる、美しい見た目のアフタヌーンティー。SNS上で写真が拡散されていくうちに、ヌン活の流行も徐々に広がりを見せていった。
コロナ禍におけるホテルの戦略
新型コロナウィルスの流行によって、以前よりも遠出がしにくくなってしまった人も多いはず。観光客の減少によって、日本のホテル業界は大きな打撃を受けることとなった。
宿泊も酒類の提供も難しいコロナ禍において、アフタヌーンティーは効果的な集客方法だった。実際にコロナ禍では、素材やコンセプトにこだわった独自のアフタヌーンティープランを打ち出すホテルが以前よりも増えている。
おさえておきたいヌン活の基本マナー
本場のイギリスでは、貴族の社交の場となっていたアフタヌーンティー。敷居が高いイメージもあり、服装やテーブルマナーに不安を覚える方も少なくないだろう。最後に、ヌン活の基本的なマナーを紹介しよう。
服装
ホテルのアフタヌーンティーの場合、ドレスコードは「スマートカジュアル」が一般的。女性はワンピースやブラウスにスカートなどの服装、男性はシャツにジャケットなどを合わせるのが基本だ。デニムやスニーカーなどのカジュアルすぎる格好は避けるようにしよう。
ホテルでの優雅な時間を過ごすアフタヌーンティーの機会には、普段よりもおしゃれをして気分を上げてみるもおすすめだ。
テーブルマナー
貴族のお茶会がルーツのアフタヌーンティーには、テーブルマナーが存在する。あまり気にせずに楽しんでいる人も多いが、知識としておさえておいて損はない。
専用スタンドには、下からサンドイッチ、スコーン、ペストリーの順に乗せられていることが多く、スタンドの「一番下の段から食べていく」のが一般的だ。また、スタンドからお皿は取り出さず、自身の取り皿にティーフーズを取り分けて食べるようにするのがマナー。
アフタヌーンティーでは、一口で食べ切れるものは手で食べ、大きめのものはナイフとフォークを使用して食べる。ただしスコーンはナイフで切らずに手で切り分ける風習があるようだ。スコーンは上下にカットし、ポロポロとこぼれにくくするためにジャムやクリームをたっぷりと塗って食べるのが定番の食べ方とされている。
費用
ホテルでアフタヌーンティーを楽しむ際の予算は、5,000円〜1万円程度が一般的。ただし、ホテルの場合はサービス料金が別途発生することもある。
カフェの場合、2,000円〜3,000円台の価格で気軽にアフタヌーンティーを楽しめるお店も多くある。雰囲気もホテルほど肩肘を張らずに楽しめる傾向にあるため、気軽にアフタヌーンティーを楽しんでみたい方は、まずカフェでのヌン活から挑戦してみてはどうだろうか。
文/編集部