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2年前の流行語にノミネートされた「顔パンツ」の意味と言葉に隠された心理的背景

2024.09.15

「顔」に「パンツ」という珍しい単語の組み合わせから、強いインパクトを感じる言葉である「顔パンツ」。1年の世相を反映する「ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされたことのある言葉だ。

しかし、「顔パンツ」という言葉に聞き覚えがあっても、言葉の意味までは知らない方も少なくないはず。そこで本記事では、「顔パンツ」の意味や、言葉が流行した背景について詳しく解説する。

2022年流行語大賞候補「顔パンツ」とは

「顔パンツ」は、コロナ禍の長期化に伴い、人々の間で徐々に使われるようになった言葉。まずは「顔パンツ」の意味や、言葉が生まれた背景について詳しく見ていこう。

人前で外すのが恥ずかしい!「顔パンツ」の意味と言葉の背景

「顔パンツ」とは、「マスクを外すことが、もはや下着を脱ぐのと同じように恥ずかしいことに感じる」という心理状態を比喩的に表現した言葉だ。

コロナ禍が長期化していたことから、人前でマスクを外して顔を見せることに抵抗感や羞恥心を抱くようになった人も意外と少なくない。昨今、屋外で人との距離が保てる場合をはじめ、マスクの着用義務が課されない場面も増えてきた。とはいえ、すっかり定着したマスク習慣から脱することに戸惑いを感じる声も多く、若者を中心に「顔パンツ」という例えが使われ始めた。

「顔パンツ」の表現は賛否両論

「顔パンツ」という表現の仕方に対しては、賛否両論の声が挙がっている。マスクを着用している人を揶揄しているようにも受け取られかねない語感であり、意味を知らない人が聞いた時に下品な印象を与えかねないことから、ネット上では非難の声も少なくない。流行語大賞にノミネートしている言葉とはいえ、「顔パンツ」の表現を使う際には注意が必要だ。

女性や若者に多い!?マスクを付けていると安心する心理

新型コロナウィルス感染予防対策として使用されてきたマスク。当初は、仕方なく着け始めたものの、だんだんと「着けている方が安心するようになった」という人も少なくないようだ。

マスクをしていれば「メイクをしなくても大丈夫」「髭を剃らなくても大丈夫」といった具合に、本来の感染症予防の目的とは異なるメリットを感じている人もいることから、マスクが手放せなくなるケースも決して珍しくない。

特に、若者のマスクへの心理的な依存は問題視されている。長引くコロナ禍により、入学時から学校生活のほとんどをマスク姿で過ごす若者も少なくない。友人に顔を見せて「想像と違った」と思われるのではないかという恐怖心を抱く人もいるようだ。マスクを着けると顔の半分ほどが隠せるため、特に容姿に敏感になりがちな思春期の若者にとって、マスクは他人の目から自分自身を守るためのツールにもなっているという。

コロナ禍で生まれた日本特有の表現?

「顔パンツ」という表現が日本で流行している背景には、独特な文化と心理的な要因がある。日本人はシャイな人が多く、特に口元を隠すことで他人との間に心理的な壁を作りやすくなると感じる人が少なくない。口元を覆うマスクは、表情が伝わりにくくなるため、自身の本音が相手に伝わる心配が減り、「マスクを付けている方が話しやすい」「コミュニケーションが楽」と感じる人もいるようだ。

また、日本人は同調性や規律を重んじる傾向があり、コロナウイルスが流行し始めてすぐに、マスクの着用が自然に受け入れられてきた。これらの要因が重なり、「顔パンツ」というユーモラスな表現が生まれ、浸透しているのだろう。

マスク着用の常態化には課題点も

マスク

マスクの着用が常態化することで浮き彫りになってきた課題点もある。その場に合わせた着用の有無や着用の仕方を、自身で適切に判断できるようにしておきたい。

コミュニケーション上の問題

まず挙げられるのがコミュニケーション上の問題だ。マスクで顔を覆うことで、お互いの表情が読み取りづらくなるため、会話によるコミュニケーションの際にどうしてもストレスを感じやすくなったり、誤解を招きやすくなったりしてしまう。

ある米国の心理学者による研究によれば、人間は会話をする際、耳から入ってくる話の内容よりも、表情や仕草などから読み取れる視覚情報を重視する傾向にあるという。

マスクを着けていた方が安心する人がいる一方で、表情がよく見えない状態での会話に不安を抱く人もいる。マスクを着用した状態で人と会話する際は、普段よりも丁寧なコミュニケーションを心掛けるようにしよう。

教育現場における熱中症のリスク

教育現場では、炎天下の中で部活動や体育の授業が行われることもある。熱中症のリスクを考慮し、政府は2022年5月に屋外でのマスク着用義務をなくし、人と人との間隔が2メートル以上ある場合はマスクを外しても良いとした。

しかし、数年前からマスクの着用を義務付けられてきた子どもたちにとって、すぐにマスクを外すことは容易なことではなかった。実際に指導者からの声掛けがあっても、半数以上の生徒はマスクを着けたまま活動を続けたというケースもあったようだ。

マスクを着けているとマスク内で息がこもるため、喉の渇きを感じにくくなる。それにより水分補給が遅れれば、熱中症のリスクが高まってしまう。現在はマスクの着用が義務付けられてはいないが、着用する際は、熱中症を予防するための対策をとろう。

文/編集部

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