和食・洋食と並んで、外食や家庭料理でも人気の中華。しかし、国内で長く親しまれている中華料理は、ラーメンをはじめ日本独特の味付け・食材となっている。そんな中華に一石を投じるようにブームとなっているのが、「ガチ中華」と呼ばれる新しい中華料理だ。
2022年のユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされたガチ中華は、現在、東京エリアを中心に個人店・チェーン店を問わず次々と関連店舗が増えており、中国料理の豊かさを気軽に味わえる環境が整いつつある。
そこで本記事では、ガチ中華の言葉の意味を解説すると同時に、ガチ中華を味わえる東京の人気スポットについても紹介する。
ガチ中華とは?
ガチ中華は、「本気の」「真剣な」を意味する言葉“ガチ”と“中華”を合わせた言葉。日本人向けに味が調節されていない本場の中国料理を指す。
ガチ中華のほとんどは、中国語圏から日本に来た人々が故郷の味を楽しむために始めた中国料理店であり、オーナーや料理人、ホールスタッフ、食材の搬入業者も中国語圏出身であることが多い。
日本国内では一般的ではなかった中国各地の料理を味わえるのはもちろんのこと、メニューの表記や店内で交わされる言葉も中国語を使用している店が多く、日本にいながら中国を体感できる場となっている。
なぜ人気?ガチ中華の主な客層
ガチ中華は、日本で食べられている従来の中華料理とは味付けや調理法が異なるため、主な客層は来日した中国人やアジア人であるケースが多い。
地理的な距離の近さや物価の安さ、治安の良さなどに惹かれて日本を訪れる中国人は増加傾向にあり、出入国在留管理庁が毎年発表する報道発表資料によると、中国国籍の在留外国人数は前年よりも+3.9%の74万4,551人(令和4年6月末時点)。これらの人々が故郷の味に触れるため、ガチ中華を提供する飲食店に訪れているようだ。
一方、日本人の間でも若者を中心にガチ中華の人気が急速に高まっている。背景には、新型コロナウイルスの影響による海外への渡航制限や、四川料理の麻辣ブームに代表される刺激の強い味つけが好まれるようになってきたこと(嗜好の変化)があると言われる。
ガチ中華の対義語は「町中華」
ガチ中華に対して、従来の日本人の嗜好に合う中華料理は「町中華」と呼ばれる。町中にある昔ながらの中華料理店を指し、多くは広東料理や香港料理をベースとして日本人の舌に合うような和風のアレンジが施されている。
本場の中国料理と味は異なるとはいえ、日本人の舌に合わせたローカルフードとしての人気は根強い。「香りの強い料理や辛いものが苦手」という場合は、町中華のほうが嗜好に合う人も多いだろう。
ガチ中華を味わえる町は?東京で有名な2エリアを紹介
ガチ中華のメッカは、なんといっても外国人の居住者数・観光客数が多い東京だ。ここでは、ガチ中華初心者におすすめのエリア2箇所を紹介する。
ガチ中華ブームの火付け役「池袋」
池袋駅の北口から西口にかけて、本場の中国料理店が軒を連ねる一角がある。おすすめは、ガチ中華の火付け役として知られる中国料理専門のフードコート「友誼食府(ゆうぎしょくふ)」。駅ビル内に複数のガチ中華が出店しており、四川、上海、台湾など中国各地のガチ中華を手頃な価格で味わえる。一皿分の量も多すぎず色々な味を楽しめるため、ガチ中華にトライする最初の一歩として訪れてみてはいかがだろう。
個性的なガチ中華が揃う「新宿~新大久保~高田馬場」
ガチ中華を味わえる街として同じくおすすめなのが、新宿から新大久保を経て高田馬場に至る一帯だ。外国人居住者の多いエリアとしても知られており、沿線に多数のガチ中華が出店している。
初心者におすすめなのは、中国国内に6万店舗以上を展開するガチ中華のチェーン店「沙県小吃(サケンシャオチー)」。TBSのテレビ番組『マツコの知らない世界』でも紹介された中国のチェーン店で、お手頃価格でガチ中華を楽しめる。その他、ガチ中華の代名詞とも言える羊肉料理や火鍋を味わえる店も多い。
文/編集部