2023年4月から発足する「こども家庭庁」。ニュースなどで耳にしたことはあっても、具体的にどのようなことをする組織なのか知らない人も多いのではないだろうか。
2022年を象徴する言葉を選ぶ「第39回 ユーキャン新語・流行語大賞」が、11月4日、候補となるノミネート語を発表した。こども家庭庁は、30の新語・流行語候補の1つとしてノミネートされており、来年度の発足と合わせて世間の注目を集めている。
そこで本記事では、知っているようで知らない「こども家庭庁」の創設目的やメリットについて解説する。
2023年4月にスタートする「こども家庭庁」の創設目的は?
こども家庭庁は、それまで各府省庁に分かれていた子ども関連の政策を一元管理し、縦割り行政を解消するため、内閣総理大臣の直轄組織として内閣府の外局に置かれる。主に乳幼児から18歳未満の子ども(政策によっては30歳未満までの青年)を支援することを目的とする機関だ。
こども家庭庁が創設されたことにより、従来、内閣府に置かれていた「子ども・子育て本部」や、厚生労働省の「子ども家庭局」はこども家庭庁に移管される。また、厚生労働省管轄の保育園と、内閣府管轄の認定こども園も、23年4月以降はこども家庭庁の管轄となることが決まっている。
「こども家庭庁」の3つの部門
こども家庭庁は、「企画立案・総合調整部門」「成育部門」「支援部門」の大きく3つの部門からなる。
・企画立案・総合調整部門:各府省庁の子ども政策を一元管理、デジタル庁との連携による個々の子どもの家庭状況・支援内容等のデータベース化
・成育部門:保育園・幼稚園などの保育内容の基準、子どもの性被害防止(教職・保育職等に従事する人々の性犯罪歴をチェックする「日本版DBS」の導入)、子どもの死亡事故を分析し再発防止につなげる「CDR(=チャイルド・デス・レビュー)」の検討
・支援部門:虐待、いじめ、ヤングケアラー、ひとり親家庭、児童福祉施設や里親のもとで育った若者など、困難を抱える子どもや若者・青年の支援
こども家庭庁の創設目的
こども家庭庁創設の目的は、先述の通り、さまざまな府省庁にまたがっていた子ども政策を一元化することだ。これにより、保育園や認定こども園は、こども家庭庁の管轄(利用する際の窓口は、従来と変わらずに各市区町村)となる。
ただし、幼稚園については、こども家庭庁創設後も従来の文部科学省の管轄下に置かれることから、本来の目的であった一元管理に課題が残ると指摘する声もある。
こども家庭庁の創設には、短期と長期の両面においてメリットがある。 短期的なメリットは、一元化により国や地方自治体、各保育施設等での事務負担が軽減される点。また、個々の子どもの家庭状況や支援内容がデータベース化されることにより、保育施設や児童相談所等における情報共有が容易になる利点もあるだろう。
長期的なメリットとしては、将来の社会と経済の担い手に対する投資という面が挙げられる。特に幼少期の子どもに対する教育・生活支援は、成人後の就業率や幸福度を向上させる効果があるとされ、注目を集めている。
正式名称は「こども家庭庁」
こども家庭庁には、ひらがなの「こども」が使われる。現在、新聞・雑誌等のメディアでは「子ども」の表記が一般的であり、用例上は「子供」表記も誤りではないが、省庁としての正式名称は「こども家庭庁」となるため覚えておきたい。
2022年の新語・流行語候補にノミネートされた「こども家庭庁」
こども家庭庁は、2022年のユーキャン新語・流行語大賞の候補にノミネートされている。その年に注目された言葉の中から選ばれる「新語」「流行語」とはどのようなものだろうか。
ユーキャン新語・流行語大賞とは?
ユーキャン新語・流行語大賞は、『現代用語の基礎知識』などを刊行する自由国民社が1984年から毎年開催しているイベント。 その年に注目された新語や流行語の中から「年間大賞」と「トップテン」を選び、言葉に関連した人物や団体を表彰する。
2022年は、こども家庭庁のほかに「大谷ルール」や「オミクロン株」「顔パンツ」「宗教2世」など29語がノミネート。受賞結果は12月1日に発表される。 毎年恒例のイベントであり、日本の世相を知る上でも役立つため、ぜひチェックしてほしい。
文/編集部