英語圏から輸入されたビジネス用語や業界用語は、「KPI:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」のように英語の頭文字を取り、略語で表されるケースも少なくない。 省略前の英単語や言葉の由来を知らないと意味を掴みにくいため、現在のビジネス界や自分の業界周りでどのような言葉・表現が流行っているかは定期的にチェックしよう。
その年1年を象徴する言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」が11月4日、候補となる30語を発表した。 OBNは、2022年の「新語・流行語」候補にノミネートされた言葉の一つ。しかし、何の略語なのか、どのような意味なのかなど、言葉の詳しい背景を知らない人も多いはず。 そこで本記事では、OBNの意味と語源について解説する。
OBNは「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の略
OBNは、Old boys’ network(オールド・ボーイズ・ネットワーク)の頭文字を取った用語。男性中心の組織や人間関係を表す言葉で、上層部が男性のみで固められた政府や企業、その組織が持つ閉鎖的な風土や文化を指す言葉として広まった。
OBNが力を持つ組織では、男性間のコネや人脈が重視される。例えば、喫煙室や飲み会・ゴルフ場など、クローズドな場での話し合いによって重要な方針・人事が決まるケースが多く、その仕組みが部外者を排除し、組織の硬直性に繋がりやすい事実が指摘されている。
OBNの語源はイギリスのパブリックスクール
OBNは、元々、イギリスのパブリックスクールを卒業した男性たちの繋がりを指していた。イートン校など上流階級の男子が通うパブリックスクールでは、卒業生(OB)同士が社会に出た後も社会的・経済的な繋がりを保ち、政府や企業などの要職を占めることがしばしば批判の対象とされる。
日本国内でも見直しの機運が高まるOBN
日本においても、女性活躍やイノベーションを阻む要因としてOBNが問題視されている。 男性のみの同質性の高い組織では、異性や部外者の視点・意見が反映されにくく、多様性を保ちにくい。そのため、近年では、企業や大学において女性管理職や女性教授等の比率を高め、OBNを見直そうという動きが見られる。
2022年の新語・流行語大賞にノミネートされたOBN
先述したようにOBNは、毎年12月に選出される「ユーキャン新語・流行語大賞」の一つにノミネートされている。
「ユーキャン新語・流行語大賞」とは?
ユーキャン新語・流行語大賞は、『現代用語の基礎知識』を刊行する自由国民社が毎年開催する表彰イベント。一年間に発生した言葉の中からその時代を端的に表す言葉として「年間大賞」と「トップテン」を選定し、その言葉に関わった人物や団体を表彰する。
1984年から始まった恒例の催しであり、ニュースや新聞で取り上げられる機会も多いため、聞き覚えのある人も多いのではないだろうか。 2022年は、OBNのほかに以下の29語がノミネートされており、12月1日に受賞語が発表される。
【2022年のユーキャン新語・流行語大賞ノミネート語】
・インティマシー・コーディネーター
・インボイス制度
・大谷ルール
・オーディオブック
・オミクロン株
・顔パンツ
・ガチ中華
・キーウ
・きつねダンス
・国葬儀
・こども家庭庁
・宗教2世
・知らんけど
・SPY×FAMILY
・スマホショルダー
・青春って、すごく密なので
・#ちむどんどん反省会
・丁寧な説明
・てまえどり
・ヌン活
・BIGBOSS
・村神様
・メタバース
・ヤー!パワー!
・ヤクルト1000
・リスキリング
・ルッキズム
・令和の怪物
・悪い円安
直近3年間の新語・流行語もチェックしてみよう
その年を代表して選ばれる新語・流行語は、日本の世相を良く反映している。直近3年間の年間大賞とトップテンは以下の通り。チェックするだけでも「こんなことがあったな」と懐かしさを覚える人は多いのではないだろうか。
【2021年】
・年間大賞:リアル二刀流/ショータイム
・トップテン:うっせぇわ、親ガチャ、ゴン攻め/ビッタビタ、ジェンダー平等、人流、スギムライジング、Z世代、ぼったくり男爵、黙食
【2020年】
・年間大賞:3密
・トップテン:愛の不時着、あつ森(あつまれ どうぶつの森)、アベノマスク、アマビエ、オンライン○○、鬼滅の刃、GoToキャンペーン、ソロキャンプ、フワちゃん、
【2019年】
・年間大賞:ONE TEAM
・トップテン:計画運休、軽減税率、スマイリングシンデレラ/しぶこ、タピる、#KuToo、◯◯ペイ、免許返納、闇営業、令和
・選考委員特別賞:後悔などあろうはずがありません
文/編集部