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専門店やレトルトも人気!2023年に「お粥」がブレイクする4つの根拠

2022.12.01

「お粥」が食べられる飲食店が増殖中!?

お腹をゆっくり温め、消化がよくてもたれにくく、健康にもいいお粥。以前から好きで、特に体調が悪い時でなくても食べていた。最近、中華料理店の定食で、ご飯のほかにお粥も選べる店をよく見かけるようになって喜んでいたが、そういえばスーパーやドラッグストアでも、お粥の棚が以前よりも広がっている気がする。それに種類も白粥以外のバラエティが増えているような…。これはもしかしたら、お粥ブームが来ているのではないだろうか?

2022年8月、恵比寿にオープンした本格的な叉焼が看板料理の中華料理店「E360° (イーサンロクマル)」では、ランチの「香港叉焼ランチセット」の主食に香港粥をチョイスできる。小豆やお芋などさまざまな具が入っていて、食感も楽しい。

「マンゴープリン」を日本に広めた香港スイーツブームの火付け役「糖朝」のカフェ業態「糖朝CAFÉ」でも、お粥が人気メニュー。海老や貝、椎茸などの具がたっぷり入った「五目粥」(写真上/単品790円)のほか、「チキン粥」(590円)、「海老生姜粥」(690円)なども。

飲食店などが店舗を持続させながら、それとは別にデリバリーサービスのみの新ブランド店を運営するビジネスモデル「ブランドシェアリング」がコロナ禍で急増しているが、そこにもお粥が登場。ブランドシェアリングサービスを展開している「株式会社グッドフードデザイン」が、新ブランドのお粥専門店「台湾粥食堂」を2022年9月29日にリリースしている。

「グッドフードデザイン」が展開するブランドシェアリングの新ブランド、お粥専門店「台湾粥食堂」。

いつのまにか「レトルトお粥」も、お洒落に進化していた!

レトルトのお粥といえば、パッケージいっぱいにお粥の写真が載っているイメージが強いが、最近は中身もパッケージも、「これがお粥!?」と二度見するほど、お洒落に進化している。

味の素㈱は、Z世代をターゲットにしたカップお粥「粥粥好日(カユカユコウジツ)」を2022年6月24日からECサイトなどで期間限定販売(現在は完売)。

味の素㈱の「粥粥好日(カユカユコウジツ)」で販売されたZ世代向けのお粥「鹹豆漿粥(シェントウジャンガユ)」「南瓜粥(カボチャガユ)」「麻辣火鍋粥(マーラーヒナベガユ)」/3個セット 1,074円~。

「とんかつ新宿さぼてん」「西安餃子」などの人気チェーン店を運営する株式会社グリーンハウスフーズは、自社が2001年から展開している「おかゆと麺の店 粥餐庁(かゆさんちん)」で人気のお粥のレトルト販売を2022年10月11日から開始。

容器のまま電子レンジで温めるだけで専門店のお粥が味わえる「粥餐庁のレトルトカップ粥」。左から時計まわりに「“雑穀入り”鮭ときのこのおかゆ」「カップ粥」を生姜入り”「鶏とくわいの中華かゆ」「“バジル香る”トマトと3種豆のおかゆ」(各430円)。

前年の1.6倍に売り上げを伸ばしているお粥メーカーも

新潟県五泉市の食品メーカー「ヒカリ食品」は、全国でも珍しい、ほぼお粥専業メーカー。煮豆なども製造販売しているが、売上の99%はお粥。昭和63年創業で、社員10人ほどの小さな会社だったが、2021年には売上を前年の1.6倍に伸ばし、今年の販売数はすでに200万個超え。白粥だけでも80万個以上売れている。社員もは現在17人に増やし、二交代制でお粥を作り続けているが、それでも製造が追いつかないため、三交代制も検討中だという。なぜこの小さなメーカーのお粥が、こんなに売り上げを伸ばしているのか。

実はヒカリ食品は2020年頃には、創業者社長の高齢化と後継者不在で、存続の危機に立たされていた。そのお粥の味と社長のお粥への情熱に惚れこんで会社を買取り2021年2月に代表取締役に就任したのが、元・実業団の野球選手という異色の経歴を持つ中山大氏だった。

2021年2月に「ヒカリ食品」の代表取締役に就任し、その年の売上を1.6倍に伸ばした中山大代表。実業団の野球選手出身で、ヒカリ食品創業社長の想いと、お粥のクオリティに惚れこんで会社を引き継いだ。「世界に誇れる、日本一のお粥です!」(中山氏)

中山氏は代表に就任してすぐにパッケージのチェンジに着手。「それまでのパッケージは他社と似たり寄ったりのお粥写真で、差別化ができていなかった。それにお粥=療養食というイメージを払拭して、“美味しいから食べる”ものにしたかった」と中山氏は語る。

お粥は家族全員が食べるが、代理購買するのは女性。というわけで、女性に受けるやわらかくかわいいデザイン、明るい色調のお洒落なパッケージに変えた。価格も、他社の平均は100円前後だが、160円からという高級路線に設定。古くからの社員は「高すぎるのでは」と不安げだったが、むしろ飛ぶように売れた。

写真ではなく、女性好みのイラストを採用したヒカリ食品のお粥パッケージ。左から「コシヒカリがゆ」(160円)「黒米がゆ」(180円)「とりがらほたてがゆ」(200円)。

「ヒカリ食品のお粥は、先代の創業社長が専業で磨き上げた日本一の味。お米も、新潟県産コシヒカリの中でも特にお粥に適したものを厳選しているし、炊き方、冷まし方にも他社には真似できない企業秘密がある。パッケージ買いで食べて味を知ってもらえば、少し高くてもリピートしてもらえる自信がありました。実際、そのとおりでしたね」と中山氏は振り返る。

ヒカリ食品の「とりがらほたてがゆ」。コシヒカリ特有の甘みが非常に強く感じられ、やわらかいのにお米の弾力も残した食感も絶妙だった。

コロナ感染者への食糧支援で食べた人から、リピートが殺到

だが売り上げが急上昇した最も大きな要因は、コロナ禍だという。

「コロナ感染者用の食糧支援キットに採用されたのがその理由です。最初は近隣エリアのみでしたが、第4波から5波の時は、関西のほうまで広がり、6~7波では九州まで届けることになりました。急に製造量が増えて社員も大変でしたが、少しでもコロナに感染された方の助けになればと、みんなで頑張って流しました」(中山氏)。

するとその後、「食糧支援のセットに入っていて美味しかったから」とリピートが続々と増えた。コロナに感染したり被災したりした時の備蓄用に、家族3人で3食×1週間分63個など、大量の注文が個人宅から入るようになったことが、最も大きいという。

「それまで非常時の備蓄用として行政からの発注が多かったのが、コロナ禍以降は個人宅からの注文が激増したことが、売上の拡大の最大要因です。コロナでお粥のよさに気づいた人は多かったのでは。売り場の棚も増えていますし、それまでには呼ばれなかったバイヤーの商談会にも呼ばれることが多くなった。有名百貨店のお歳暮のオファーもあって驚きました」(中山氏)。

日本産のお粥を、やがて世界に輸出したい

中山氏の願いは、お粥を療養食から、日常の主食のひとつに変えること。「ご飯かパンか麺類かお粥、そういう選択肢の一つにしたい」と語る。コロナ禍をきっかけにお粥の良さが再発見され、市場は拡大しているが、これからさらに拡大するポテンシャルを秘めていると中山氏は見ている。その理由は以下の通り。

理由①…被災食としての優秀さ

ここ数年、毎年のように起こっている自然災害。被災して電気やガス、水道などのライフラインが止まった時、レトルトのお粥は、温めなくてもそのまま食べられる。「体が弱っている時でも消化によく体にやさしい。そしていつも食べているお米なので、気持ちが落ち着くのでは」(中山氏)。

理由②…超高齢化社会で求められるヘルシーさ

お粥は白飯より糖質が少ないので、肥満防止にも効果的。健康が気になるシニア世代に歓迎されそうだし、レトルトのお粥は調理が簡単なので、単身世帯にも向いている。

理由③…海外のお粥文化に触れた人が増えている

コロナ前の海外旅行で、台湾や香港、中国などのお粥文化に触れた女性たちが、これからのお粥ブームを牽引していくのでは、と中山氏は期待を寄せている。コロナが落ち着き、海外旅行が復活すれば、持参できる日本食としてレトルトのお粥の需要が伸びる可能性も高い。

理由④…ダイエットフードとしての可能性

文部科学省の「日本食品標準成分表(七訂2015年版)」によると、精米(精白米)のご飯1杯分(約150g)は252キロカロリー。ヒカリ食品の白がゆは1袋250gで103キロカロリーと、ご飯1杯分の半分以下。ヒカリ食品では2023年に、女性をターゲットにしたダイエット用のお粥の発売も予定しているという。

「コロナでお粥のよさが再注目されている今がチャンス。多くのお粥メーカーと手を組んで、市場を一気に広げたい。そしていつかは、お粥文化を持つアジア各国に、日本産のお粥を広めたいですね」(中山氏)

文/桑原恵美子

編集/inox.

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