小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

誹謗中傷、無断転載、不正転売、推し活でやってはいけない違法行為と痛すぎる代償

2022.12.03

アイドル・バンド・声優などを応援する「推し活」、ほとんどの方が良識を持って行っている一方で、過激なファンなどによる違法行為も一部に散見されます。

今回は、「推し活」の中でやってはいけない違法行為の例を、法律のルールを踏まえて解説します。

1. 違法な「推し活」(1)|SNSでの誹謗中傷

「推し活」を行う熱心なファンの間では、SNS上で誹謗中傷が繰り広げられるケースがよく見られます。自分の「推し」以外のメンバーをこき下ろしたり、期待を裏切られた「推し」に対する非難を書き連ねたりするケースが典型例です。

近年深刻な社会問題になっているSNSでの誹謗中傷は、犯罪である「名誉毀損罪」(刑法230条1項)や「侮辱罪」(刑法231条)、さらに損害賠償の対象となる「不法行為」(民法709条)に当たる違法行為です。

たとえ匿名の投稿であっても、プロバイダ責任制限法に基づく「発信者情報開示請求」などによって特定される可能性があるのでご注意ください。

2. 違法な「推し活」(2)|写真や文章の無断転載

「推し」の魅力を世間にアピールしたい余り、事務所や本人がアップした写真や文章を、自身のSNSなどへ無断で転載する例もよく見られます。

写真や文章については、撮影者や作成者に「著作権」が認められます。「推し」の写真や文章を無断転載することは、著作権の一種である「公衆送信権」(著作権法23条1項)などの侵害に当たる可能性があるので注意が必要です。

事務所や本人が明示的に許可している場合を除き、写真や文章を転載したい場合には、著作権者の許可を得るか、または以下の引用の要件を満たさなければなりません(著作権法32条1項、48条1項1号)。

<「引用」の要件>
(1)引用する著作物が公表済みであること
(2)引用の必要性があること
(3)引用部分とそれ以外の部分が明瞭に区別されていること
(4)本文が主、引用部分が従であること
(5)引用する著作物を改変しないこと
(6)出典を明記すること

3. 違法な「推し活」(3)|チケットの不正転売

ファンクラブの会員権などを活用して、入手が難しいコンサートチケットを大量に仕入れ、ネットオークションなどで高く売りさばく例があるようです。このような転売行為は、もはやアーティストを応援する「推し活」の範疇から外れているというべきでしょう。

日本国内で行われるコンサートのチケットについては、興行主の事前同意を得ずに、業として定価を上回る価格で譲渡することが禁止されています(チケット不正転売禁止法※3条、2条4項)。
※正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

上記の規定に違反してコンサートチケットの不正転売を行った場合、「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」に処され、またはこれらが併科されます(同法9条)。

なお、定価以下の価格でチケットを譲ることや、1回限りの転売については「不正転売」に該当しません。

4. 違法な「推し活」(4)|ライブでの過度なモッシュ行為

コロナ禍の影響で最近は少なくなりましたが、アイドルやロックバンドのライブでは、密集した状態の観客同士が身体をぶつけ合う「モッシュ」と呼ばれる行為がなされることがあります。

モッシュ行為は、それに参加している(巻き込まれている)人がケガをし、最悪の場合死亡するおそれのある非常に危険な行為です。

もしケガや死亡が発生した場合、加害者は傷害罪(刑法204条)・傷害致死罪(刑法205条)・過失傷害罪(刑法209条)・過失致死罪(刑法210条)などの犯罪や、不法行為(民法709条)の責任を負う可能性があります。

5. 違法な「推し活」(5)|度を超えた出待ち行為

ライブやイベントが終わった後で、会場から出てくる「推し」を待ち構える「出待ち行為」も、状況次第では違法となることがあります。

出待ちしている場所が私有地や店舗・施設の場合、管理者の許可なく出待ちすることは違法です。私有地等で許可なく出待ちをした場合、住居侵入罪(刑法130条前段)や不退去罪(同条後段)の責任を問われる可能性があります。

また、「推し」に対する恋愛感情などの行為の感情を充足する目的で、つきまとい・待ち伏せ・進路への立ちふさがりなどを行うことは、ストーカー規制法※で禁止されている「つきまとい等」に該当します。
※正式名称:ストーカー行為等の規制等に関する法律

同じ人に対してつきまとい等を繰り返した場合は「ストーカー行為」(同法2条4項)に該当し、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処される可能性があるので要注意です(同法18条)。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。