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なりたい自分になれる時代へ、メタバースで生まれる新たな自由と可能性

2022.12.05

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

次世代インターネット空間で生活者の未来とこれからのビジネスの可能性を探る

メタバースに代表される次世代インターネット空間について生活者視点で考える、博報堂主催の「生活者インターフェース市場フォーラム2022」が開催された。

「今年、総務省が発表したメタバースの世界市場予測では、2021年は389億ドル、2030年には6788億ドルまで拡大するとされており、メディア、エンターテインメントにとどまらず、教育、小売など様々な領域での活用が期待されています。メタバースはこれまでになかった巨大な生活者インターフェースとなり得るもので、博報堂はその秘めたる力を『生活者エンパワーメント』と名付けました」(博報堂 代表取締役社長 水島正幸氏)

フォーラムでは、メタバース、アバター、Spatial Web(実空間ウェブ)のトップランナーと博報堂のエキスパートが、生活者の未来とこれからのビジネスの可能性を探るセッションを実施。その中からメタバース空間で生まれる新たなクリエイターズエコノミーについて議論したセッションを紹介する。登壇者は以下の4名。

【小学館 ユニバーサルメディア事業局 チーフプロデューサー/XR事業推進室 室長 嶋野智紀氏】

「CanCam」「AneCan」など女性ファッション誌の編集長を歴任後、女性メディア局チーフプロデューサーとして「雑誌のブランド化」を推進。現在は小学館発のメタバース「S-PACE」を立ち上げるなど、XR領域における出版社の可能性を拡大させるミッションに取り組む。

【ティフォン CEO/CCO 深澤研氏】

エンジニアを経て、画家、映像作家として国内外の映画祭での作品上映や絵画個展などを行い、2011年にアートにエンジニアリングのバックグラウンドを掛けあわせた「ティフォン」を設立。2014年に米ウォルト・ディズニー社によるスタートアッププログラム「Disney Accelerator」にアジアで唯一採択され、同社から出資も受けている。

VR領域では「コリドール」など6つのアトラクションを開発、2017年にはアトラクションが体験できる施設「ティフォニウム」をお台場にオープン。モバイルアプリでも5000万ダウンロードを記録するなど、空間認識を使ったARコンテンツも開発。VR、AR、MR、メタバースの技術を連携させた空間体験プラットフォームを目指し、現在、大阪のうめきた2期地区開発事業にてリアルとバーチャルが融合したプロジェクトを進行中。

【博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター 室長代理、研究開発1G グループマネージャー/チーフテクノロジスト 木下陽介氏】

2010年より現職で生活者データをベースにしたマーケティングソリューション開発業務を担当。2016年よりAI領域、XR領域の技術を活用したサービスプロダクト開発、ユースケースプロトタイププロジェクトを複数推進、テクノロジーベンチャーとのアライアンスを担当。

【デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC) XR 広告事業開発「arrova」プロジェクトリーダー 荒井浩介氏】

博報堂DYメディアパートナーズに入社後、2020年社内インキュベーション制度を通じarrovaを創設。メタバースコンテンツ空間を活用した没入感、体験性のある広告メディアのarrovaは、空間内に自然に溶けこむ看板広告「V-OOH(バーチャルサイネージ)」と、体験型の広告「Branded Contents」の2種類を展開。

小学館発メタバース空間「S-PACE(スペース)」

誰もが気軽に楽しめるメタバース空間として誕生し、アクセスは無料、アプリのダウンロードや機器は不要で手持ちのスマートフォン、タブレット、パソコンですぐに体験できる。老若男女、国内外を問わず楽しめるように、海外でもファンが多い日本のコミック調のデザインを基調に空間設定している。

現在はβ版が公開中でコンテンツは準備段階だが、ライブアリーナ、百貨店、美術館、キャンプサイト、大学など様々なコンテンツをオープンする予定。ユーザーはいくつかのアバターから好きなものを選んで参加できる。本年中の本公開をめどに、多人数がひとつの空間を共有することができる同時接続機能や、コミュニケーション機能、決済機能を実装予定。

メタバースは次世代メディアになり得るか?

木下氏「メディアは伝える役割から、ワクワクする感覚を呼び起こし、自由な発想を発揮できる場になるのではないかと感じています。博報堂の独自調査では、メタバース利用層は全体の8.3%で約680万人。利用層は平均年齢33.4歳、若年層の10~20代未婚男性が多く、滞在時間も40~50分と長くなっています。果たしてメタバースは次世代メディアになり得るのか、こちらについて議論したいと思います」

荒井氏「Z世代はメタバースのカギになると思います。まだ全体の1割程度ですが、若年層は長時間を使って体験しているエンゲージメントの高い世代。タッチポイントの深さ、今後のリーチという点でもメディアとして大きなポテンシャルがあります」

嶋野氏「女性誌の編集をしていたとき、服を直接勧めるのではなく“体験設定”が大半でした。こういう場所ではこんなことをやったらどう?その時はこんな服がいいのでは、ということですね。当時の専属モデルの蛯原友里さんや押切もえさんには、ファッションモデルではなくロールモデルになって欲しいと伝え、彼女たちを「IP=information provider(情報提供者)」として捉えていました。

弊社の相賀社長の言葉を借りると“場のメディア”、つまり紙やウエブだけでなくどんな場でもメディアになり得ると、体験型の「CanCamナイトプール」を成功させました。コロナで頓挫しましたが、スキー場や大学のキャンパスをメディアにしてもいいのではと考えており、その流れからXRが出てきました。体験設計していくビークルのひとつとして捉えると、従来のメディアもメタバースも変わりがなく、いかに読者、ユーザーに体験を設計して提供していくのかに尽きると思います」

木下氏「生活者が喜ぶ、何度も体験したいと思うメタバース体験とはなんでしょう?それを設計するうえで頃心掛けていることはありますか」

深澤氏「メタバースの大きな特長はまったく違う世界に入れるということ。私は旅に近いものとして捉えています。『タロットVR』という作品は、タロットカード22枚からユーザーが1枚ランダムに選んで、選んだカードの世界に入るという体験。22通りそれぞれの世界で美しい景色、予期せぬ出会いを楽しむというものでリピーターも多いです。

VR『かいじゅうのすみか』では、円谷プロダクションの怪獣が多く出てきますが、何度も来ないとすべての怪獣に出会えないという要素があります。人気ホラー映画の世界観を表現した『IT/イット カーニバル』は、ペニー・ワイズに会いたいために、何度も足を運ぶお客様も多い。世界観、偶発性、キャラクターといった要素を組み合わせ演出することで魅力的なコンテンツができると思います」

嶋野氏「S-PACEはコンテンツを核として、ファンコミュニティを作り、そのエコシステムで回していくことを重視しています。従来の紙の本、ウエブサイトは“鑑賞”という対象物を見るという感覚でしたが、メタバースはその世界に入る体験がコミュニティの形成に寄与します。それが日常となり、繰り返しそこを訪れるのが当たり前という世界になれば面白いのではと」

荒井氏「コンテンツの体験が視聴から没入に変わり、繰り返し入りたくなるインサイトを作るには、完成したものをそのまま提供するだけでなく、毎回エンディングが異なる、コミュニティ内で会話をして場として育っていくといったセレンディピティな要素や、自分なりの楽しみ方を見つけられる伸びしろがあると良いのではないかと思います」

クリエイターズエコノミーがうまくいくために必要なこと

木下氏「メタバース空間では、ユーチューバー、ゲーム配信者、インフルエンサー、アーティスト、ジャーナリストといった個人のクリエイターが自らの作品をやり取りするマーケットプレイス『クリエイターズエコノミー』が誕生すると言われています。クリエイターズエコノミーがうまくいくために必要な要素とはなんでしょう」

深澤氏「スクリーンの中だけで作ってきたコンテンツを、空間全体をキャンバスにする新しい表現の場として、クリエイターの表現力を刺激される場がメタバース空間。自由に表現できるツール、作品を発表できる場、作品を見るために多くの人を集めてお金を稼げるようなエコシステムができれば、クリエイターも増えてファンコミュニティも育成されていくと思います」

嶋野氏「出版社をパブリッシャーとして捉えると、世の中にある才能をパブリックなものにしていくことが我々のコアコンピタンスです。紙の本だけでなくXR領域で新しいクリエイターを支援していくのは、パブリッシャーの仕事として非常に重要。しかし、出版社としては作者の著作権をしっかり守るということが大前提です。可能性の翼を広げるだけでなく、そこに一定のルールを設けないとマーケットとして持続的な成長は難しく、クリエイターが活躍できるためにも、ルール作りについて出版社としてできることがあると思います」

木下氏「本フォーラムでは、メタバースにて企業が生活者に提供すべき価値を支援していくことを『生活者エンパワーメント』と名付けています。メタバース空間で生活者をエンパワーメントしていくためにできることとは?」

荒井氏「次世代メディアは“場”の提供者であり、そのためには作家やクリエイターとして参加する生活者の著作権、マナーといった適切なルールメイキングが必要です。また、メディア側で“お題”のような創造的なフレームを提供することが、生活者のクリエイティビティを最大化させると思っています」

深澤氏「ティフォンのビジョン『ENCHANT YOUR WORLD』は、生活者の日常を魔法のような記憶に残る体験に変えていくという意味を込めています。今後メタバースは現実世界と融合していくと思っており、そうしたプラットフォームを提供することで、体験者が能動的にコンテンツを楽しんだり、表現したりできる世界にしていきたいですね」

嶋野氏「家庭や会社、学校以外に、お気に入りのカフェなど三番目の場所があると人生が豊かになる『サードプレイス』という言葉が一時期流行しました。メタバースはサードプレイスの次に来る『Fourth Place』だと思っています。日常生活のしがらみだけでなく、性別などリアルな属性にも捉われない、楽しんだり、自己実現を図ったりできる新たな場所。そうした4番目の選択肢を我々が作ることができれば、生活者をエンパワーメントできるうってつけの場所になるのではないかと思います」

【AJの読み】メタバースで生まれる新たな自由と可能性

フォーラムではフォトリアルアバターの先端技術を持つ「VRC」の3Dスキャンを使った体験も実施。0.2秒で全身を3Dスキャンし、20秒でアバターを生成できる。フォトリアルアバターは会場内のスクリーンに随時投影され、会の最後には参加者のアバターによるダンスも公開された。

自身のアバターがキッレキレのダンスを踊る様子を見ると、“一人いちアバター時代”を予感させ、メタバース空間において生活者の分身であるアバターの可能性や未来を感じとることができた。今後、生活者インターフェース市場が拡大していけば、従来とは全く違う生活を手に入れることができるかもしれない、そんな兆しを感じられるフォーラムだった。

文/阿部純子

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