ドイツの老舗カメラメーカーである「ライカ」は、2021年に初のAndroidスマートフォン「Leitz Phone 1」を発表し話題を呼びました。
そんなライカの2022年モデル、「Leitz Phone 2」が11月18日に登場。前モデル同様に、製造はシャープで、ソフトバンクの独占販売となります。販売価格は22万5360円で、ソフトバンクの「新トクするサポート」適用時には、25か月目の返却で実質負担額が11万2680円となります。
近年のハイエンドスマートフォンは、販売価格が高騰していることを踏まえても、20万円越えと聞くと手を出しにくい印象もありますが、「ライカのカメラ機能が楽しめるスマートフォンが約22万円」といいかえると、不思議とそこまで高価に感じなくなるのは、筆者だけではないはずです。
製造はシャープが手掛けているということもあり、Leitz Phone 2は2022年発売のハイエンドスマートフォン「AQUOS R7」をベースモデルとしており、ディスプレイ性能やバッテリー、メモリ容量など、共通するスペックが多いものの、各所にライカらしさが散りばめられているのが特徴。本記事では、Leitz Phone 2の実機を試し、AQUOS R7との相違点や、前モデルのLeitz Phone 1との違いに注目して紹介していきます。
「LEICA M8」の限定色をイメージした高級感あふれるデザイン
まずは本体デザインについて。Leitz Phone 2は、ライカのデジタルカメラ「LEICA M8」の限定色であるホワイトをイメージした「ライカ ホワイト」の1色展開。艶のある高級感あふれるデザインとなっており、指紋の付着はほぼありません。前モデルでは黒を基調としたマットな素材が採用されていたため、ぱっと見の印象は大きく変わります。
Leitz Phone 2(左)とLeitz Phone 1(右)
背面を見てまず印象的なのは、やはり中央に配置されたカメラレンズでしょう。カメラ機能の詳細については後述しますが、1インチセンサーを搭載した大型カメラのインパクトは絶大。前モデルと比較しても、カメラレンズのサイズは増しており、購入時に付属するカメラレンズ、本体カバーは、前モデルのものを併用できなくなっています。また、カメラレンズの下部にあしらわれた「Leitz」のロゴは、カメラ好きなら誰もが憧れる要素かもしれません。
Leitz Phone 2に付属のレンズキャップ、本体カバー装着時
なお、本製品はワイヤレス充電にも対応しているのですが、スタンド型のワイヤレス充電器を使用する際には、カメラレンズが邪魔になってしまうこともあります。大型カメラを搭載した弊害ではありますが、使用する充電器にも配慮が必要かもしれません。
スタンド型のワイヤレス充電器はカメラレンズが干渉する恐れあり
AQUOS R7と同様に、背面の左右は緩く湾曲しているため、横幅約77mmの大きさながら、フィット感も確保されています。本体質量は約211gで、前モデルの約212gとは1gの違いしかありませんが、しっくりくる握り心地からか、軽くなったと錯覚するほどです。
側面はフラットなデザインとなっており、前モデル同様に「ローレット加工」が施されています。ほかのスマートフォンではあまり見かけないデザインですが、高級感が演出されるのに加えて、引っ掛かりが生まれるため持ちやすいといったメリットもあります。右側面に集約されたボタンは、上から音量調節ボタン、電源ボタンとなります。前モデルにて採用されていた、「Googleアシスタントボタン」は非搭載となりました。
特徴的なのが、AQUOS R7が丸みを帯びたデザインを採用しているのに対し、Leitz Phone 2は角ばったデザインを採用している点。丸みのあるデザインは、「持ちやすい、かわいらしい」といった印象を受けますが、角ばったデザインによって、ライカらしい「クールさ、高級感」を表現していると考えられます。携帯性や利便性ももちろん大切なポイントですが、よりブランドコンセプトを重視したデザインともいえるでしょう。
1インチ大型センサー+「Leitz Looks」でライカカメラを体験
老舗カメラメーカーのスマートフォンということもあり、やはり特徴はカメラ性能。搭載カメラは1インチセンサー搭載で約4720万画素、F値1.9。7枚のレンズを重ねて構成された「ズミクロンレンズ」となっており、基本的なスペックはAQUOS R7と共通になります。
Leitz Phone 2ならではの特徴が、「Leitz Looks」モードです。Leitz Phone 1にも搭載されていた機能ですが、2世代目になりこの機能が大幅アップデート。ライカのカメラレンズである「SUMMILUX 28mm」「SUMMILUX 35mm」「NOCTILUX 50mm」の3モードや、4種類のカラーフィルターが使用できます。通常のカメラの場合は、レンズを付け替えたり、細かいカメラの設定をしなければならない、画質や焦点距離の変更が、ワンタップで行えるのは、スマートフォンのソフトウエアならではといえるでしょう。
また、通常の撮影モードでも、シャッターボタンの右上にメニューボタンが配置されており、簡易的な設定が行えるのも、Leitz Phone 2ならではのUIとなっています。
以下はすべてLeitz Phone 2で撮影し、掲載用にサイズの調節のみを行ったものとなります。
通常の撮影モードでも、良い意味でスマートフォンのカメラらしくない、パキっとした色味と、精細な描写が可能。派手に色味を補正しているわけではありませんが、味のある写真が撮影できます。特に背景のボケ感には、ライカらしさを強く感じます。
上はLeitz Looksモードにて、3つの焦点距離に切り替えた写真。基本的には、同じ被写体に対してモードの切り替えを行うのではなく、撮影シーンに適したモードを使うのがおすすめですが、1つの被写体を撮影すると、ピントの合わせ方が違うことが良くわかります。
続いてLeitz Looksで、カラーフィルターを切り替えた写真。撮れ味の修正は、デジカメで露出やシャッタースピードの変更を行ったり、撮影後に色味の編集を行うのが一般的ですが、Leitz Phone 2ならワンタップで切り替えられるので、シーンごとに切り替えて楽しむことができます。
ライカらしい、多様な撮影体験ができるのもLeitz Phone 2の魅力ですが、実際に使っていて強く感じるのは、前モデルからのAF速度やシャッタースピードの向上といった、スマートフォンのカメラらしいアップデート。特にLeitz Phone 1では、デジカメ用の1インチセンサーを半ば強引に搭載したこともあり、AFスピードやシャッターラグが弱点とされていたので、しっかりと改善されているのは好印象です。
AQUOS R7譲りの高性能を搭載
カメラ以外のスペックはほぼAQUOS R7と共通となっており、ディスプレイは約6.6インチのPro IGZO OLEDを採用。1Hzから最大240Hzの可変式リフレッシュレートに対応しているため、滑らかな動きができます。前モデルでは、ディスプレイの左右が湾曲した「エッジディスプレイ」を採用していましたが、Leitz Phone 2では「フラットディスプレイ」に変更されています。
搭載CPUはSnapdragon 8 Gen 1、メモリは12GBでこちらもAQUOS R7と共通。ただし、カメラに特徴を持つスマートフォンらしく、ストレージ容量は512GBと大容量。また、最大1TBのmicroSDカードにも対応しています。
そのほか、バッテリーは5000mAhの大容量。前モデルからのアップデートとして、ワイヤレス充電にも対応しました。本体は、IPX5/8の防水、IP6Xの防塵にも対応しており、おサイフケータイ機能も利用可能となります。
生体認証は顔認証とディスプレイ内指紋認証の両方に対応。AQUOS R7やLeitz Phone 1と同様に、指紋認証は3D超音波式となっており、広い範囲で、高速の読み込みができるのが特徴となっています。
ハイエンドスマートフォンにふさわしい高性能と“ライカらしさ”を吹き込んだLeitz Phone 2
ライカのスマートフォン第2段として登場したLeitz Phone 2は、ベースモデルのAQUOS R7と同様に、高性能や大容量バッテリー、大画面ディスプレイを搭載したハイエンドスマートフォンに、ライカならではのカメラ機能を詰め込んだ製品となっています。
冒頭でも触れた通り、販売はソフトバンク独占で、22万5360円。スマートフォンとしては当然高価な製品ですが、「ライカのカメラ機能が楽しめる入門機」と考えると、決して強気な価格設定ではないと感じます。高級感のあふれるデザインもさることながら、前モデルより一層“ライカのカメラ”らしい機能が豊富に搭載されており、ほかのスマートフォンとは一線を画す撮影体験ができるのが魅力。全国約850店舗のソフトバンクショップにて、デモ機の体験ができるので、見かけた際にはぜひ1度手に取ってみてください。
取材・文/佐藤文彦