「上手な説明には「コツ」があります」26万人超の登録者を擁するビジネス系YouTuberのハック大学 ぺそ氏は言います。
説明が下手な人は、なぜ、同じ失敗を何度も繰り返すのか? それは、根本的な「考え方」「思考」に欠陥を抱えているからで、「ちょっとしたテクニック」を身に付けて、上手に使い分けられるようになれば、誰だって説明力はぐっと上がるそうです。外資系金融機関に勤める現役ビジネスパーソンである同氏がビジネスの最前線で出会った「説明が上手い人」がどんな話し方をし
ているのかを観察し、導き出した著書『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』から「説明下手な人の特徴」を一部抜粋・再構成してお届けします。
ハック大学ぺそ著/アスコム
『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』
説明に用いたデータに関して相手から質問されて
[×]「えーと、あの、それは……いったん調べて、あとでご報告します。」
相手の反応を読めておらず即答できないことで、説明内容や説明者自身への信頼性も下がってしまう。
[○]「これは2020年のデータで、コロナの影響は反映されています。」
相手が自ら示した反応に即答できると、内容はもちろんのこと説明者自身への信頼性も上がる。
相手と自分の頭の中身を「チューニング」する
短く簡潔に説明するだけで十分な場合もありますが、会議や提案の場では相手からより詳細な内容について質問を受ける場合も少なくありません。
その際、求められた内容に適切に答えられれば、確実に評価は上がります。それも、できれば即答できるようになっているといいでしょう。
どんな質問をしてくるのか、何に興味を示し、何に食いつき、何に疑問を抱くのかはあくまで相手次第ですから、全てに対応するのは難しそうです。
とはいえ、実は慣れてくると、説明をどのように展開するかを組み立てている時点で、ある程度想定ができるようになります。
むしろ、慣れないあいだでも、「こういう風に説明したら、聞く相手はどんな反応を示すだろう?」と相手の頭の中を想像してみることが、自分の説明力を大きく引き上げるトレーニングにもなります。
そして、こうしたシチュエーションにもっとも該当するのは恐らく直属の上司でしょうから、まずは上司の反応をあれこれ想定して「先回りの術」を会得してみるといいでしょう。
■削り方によって想定質問は絞れる
相手からのコメントが、どういったものになるかはわかりません。意見かもしれませんし、疑問、同意、反対……などいろいろと種類はありますが、伝えるべきことがきちんとまとまっていれば、リアクションもある程度予測できますので、そこに焦点を合わせて答えを用意します。
「この根拠になったデータはどういうもの?」と聞かれれば、すぐさま表や数字を出して「これをもとにしています」と答える。「このデータはどこから持ってきたの?」と聞かれれば、「2020年のデータですが、○○調べです」と答える……といった具合です。準備と並行して、いつでも説明できるように相手の反応を想定しておくと、焦らずスムーズに答えられます。
一通り当初の説明を準備したら、ぜひ検証も兼ねて、一度他人が自分の説明を受けた場合どんな疑問を思い浮かべそうか、想像してみましょう。これは、短く簡潔に説明する段階の内容を自分で検証する作業と兼ねて行うといいと思います。
初めて説明する相手であれば準備する範囲はどうしても広くなってしまいますが、いつも説明している直属の上司であれば、場慣れとともにだんだん相手の頭の中身もわかるようになり、傾向がつかめてくるはずです。
データの分析手法は必ず確認してくる、着想のきっかけを聞くことが多い、自信度や情熱にこだわる、売上よりコストに敏感、特定の人物の動向や反応を気にする……などなど。こうした「データ」がそろってくると、上司が興味を示しそうなことはさらに詳しく、精度高く準備できるようになるわけです。
そして、質問した内容に的確な答えが返ってくれば来るほど、自分の説明力が上がるだけでなく、「お、こいつわかってるな」と、相手から得られる評価も上がっていきます。
■質問を想定すると準備の質も上がる
この繰り返しをすることで、質問に対する対応力が上がるだけでなく、やがて準備の質そのものもよくなっていきます。
慣れないうちは、自分の説明のどこに穴があり、相手がどこに疑問を感じるかはなかなかわかりません。しかし、説明を繰り返すほど、自分の準備に足りない要素は何なのかがわかり、チューニングできるようになってきます。
そして、自分自身の説明力がアップすれば、実はこの状況を逆に利用することもできるようになります。まるで釣り針をしかけて魚が食いつくのを待つかのように、「わざとツッコませる」というワザに発展させることもできるのです。これはやや高度なテクニックになりますので、5章で改めて述べましょう。
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自らのビジネスへの向き合い方を再検証し、気づきとともに、正しいテクニックを学べば格段に身に付きやすくなるはず。筆者がビジネスの現場で「説明が上手い人」から学び、実際に試して確実に役に立つことを証明できたスキルだけを厳選した『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』。ぜひ「考え方」と「テクニック」の両方を学んで、ビジネスの荒波を乗り越える力を身に付けてほしい。
ハック大学ぺそ
ビジネス系YouTuber、1988年生まれ。主にYouTubeチャンネル「ハック大学」を通じて、仕事術、キャリア戦略などビジネスに役立つ情報を発信。チャンネル登録者数は25万人を超える。チャンネルにアップされた動画のなかでも、説明に関する動画は人気のコンテンツ。専業YouTuberではなく、普段は外資系金融機関に勤める現役のビジネスパーソンで、年収は約2000万円。著書に『行動が結果を変える ハック大学式最強の仕事術』(ソシム)、『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)がある。