「上手な説明には「コツ」があります」26万人超の登録者を擁するビジネス系YouTuberのハック大学 ぺそ氏は言います。
説明が下手な人は、なぜ、同じ失敗を何度も繰り返すのか? それは、根本的な「考え方」「思考」に欠陥を抱えているからで、「ちょっとしたテクニック」を身に付けて、上手に使い分けられるようになれば、誰だって説明力はぐっと上がるそうです。外資系金融機関に勤める現役ビジネスパーソンである同氏がビジネスの最前線で出会った「説明が上手い人」がどんな話し方をし
ているのかを観察し、導き出した著書『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』から「説明下手な人の特徴」を一部抜粋・再構成してお届けします。
ハック大学ぺそ著/アスコム
『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』
今日の現場での出来事を上司に報告する場面で
[×]「今日現場に行ったのですが、時間的にギリギリだったので、タクシーを使いました。現場では、作業員の方々は和気藹々と働かれていたのですが、Aリーダーが不機嫌そうな様子だったので、作業の進捗状況を確認したところ〜〜」
相手にとっての情報の軽重を考えず見たこと、起きたことをそのまま説明し、なかなか本論に入らない。
[○]「今日現場に行きまして、Aリーダーから工期の見直しについて相談を受けました。現状だと、最短でも2週間程度は延ばさざるを得ないということなんです。」
まずは、相手にとって重要なポイントだけに絞り、1 分程度で真っ先に報告している。
「1分以内」で話すクセをつける
「話がダラダラ長い」と言われてしまう有力な理由のひとつは、本当に話が長いから、物理的にかかっている時間が長いからです。
どのくらいの話の長さが適切かは、相手にも、話の内容にもよるでしょう。仲のいい友達や恋人との雑談なら、大切な話からどうでもいい話まで、知っていること、話題になることを思いつくまま、できるだけ多く話すでしょうし、時間すら忘れてしまう場合もあります。
しかし、ビジネスではなかなかありえないシチュエーションです。
やることに追われて忙しく、素早く判断をしなければならないのに、知っている内容が10あったとして10全てを、時間の都合も気にせずに話し始めたら? 「早くしろよ!」とキレられても仕方ありませんし、そう言われなくても、内心「この人、話長いな。早く終わらないかな?」と思われているかもしれません。相手から、時間という財産を奪っているも同然だからです。
「短く話す」は、ビジネスシーンではとりあえず鉄則だと思ってください。
短くとは具体的にどのくらいなのか?
もちろん相手や内容などによりケースバイケースですが、とりあえず「1分以内」であれば、相手をイライラさせずに話し終えることができると思います。
では、どうすれば1分以内で説明できるようになるのでしょうか。
■10のうち、伝えるべき分量はいくつ?
どうしても説明が長くなってしまう人には、「知っている内容全てを話そう」とする特徴があります。
これにはいくつか原因が考えられますが、有力な仮説は「今回の説明でどの話が重要なのかがわかっていない/わかろうとしていない」か、「全て説明しなければいけないと誤解している」か、ではないでしょうか。
前者については、本書を読んで説明すべき要点をつかむスキルを身に付けましょう。後者については、「知っていることを全て話さなければならない」という義務感は、ほとんどのケースで不要なので手放しましょう。そういう場面がないわけではありませんが、その場合は相手から「もっと詳しく話して」「知っていることを全て説明して」と要求されます。反対に、それ以外のケースでは気にしなくてもいいわけです。
では、相手に10のうちどこまでを説明するかですが、説明の相手としてもっとも頻度の高い直属の上司の場合、実はもっとも割合が低く済む可能性が高くなります。
なぜなら、ほとんどの情報を定期的に共有しているからです。
説明すべき部分は、新たに起きた出来事のうち、自分は知っているが上司は知らない部分、いわゆる「差分」に限られます。状況次第では、10のうち1~2程度で十分なのです。さらに冒頭の例で言うなら、タクシーで現場に向かったこと、現場の作業員の方の様子などは、上司が知らない情報ではあるものの、今回の説明では触れる必要のない部分です。
■説明不足を心配する必要はない
そんなに短くていいのか、背景をバッサリとカットしてもいいのかと不安になる人もいるでしょうが、これも原則として杞き憂ゆうです。
もし1分程度で説明した内容が相手にとって不足している場合、すでに述べた通り、「相手から質問してくる」からです。
言い換えれば、何が不足しているかは、相手にとって「気になるポイント」そのものです。その部分についてだけ、相手が要求する細かさで説明をすれば、必要最小限かつ相手の満足度を保った状況で説明が終わり、かかる時間も最小化されます。
もちろん、いつでもその背景を説明できる準備が必要なのは言うまでもありません。しかしそれと、いきなり長時間かけて、知っていること全てを詳しく説明し始めることは別です。
全て説明しないと不安という恐怖感は、ビジネスの場合は不要です。仕事における説明は、雑談でも、日記帳でもないのですから。
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自らのビジネスへの向き合い方を再検証し、気づきとともに、正しいテクニックを学べば格段に身に付きやすくなるはず。筆者がビジネスの現場で「説明が上手い人」から学び、実際に試して確実に役に立つことを証明できたスキルだけを厳選した『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』。ぜひ「考え方」と「テクニック」の両方を学んで、ビジネスの荒波を乗り越える力を身に付けてほしい。
ハック大学ぺそ
ビジネス系YouTuber、1988年生まれ。主にYouTubeチャンネル「ハック大学」を通じて、仕事術、キャリア戦略などビジネスに役立つ情報を発信。チャンネル登録者数は25万人を超える。チャンネルにアップされた動画のなかでも、説明に関する動画は人気のコンテンツ。専業YouTuberではなく、普段は外資系金融機関に勤める現役のビジネスパーソンで、年収は約2000万円。著書に『行動が結果を変える ハック大学式最強の仕事術』(ソシム)、『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)がある。