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投資するならどっち?ビザとマスターカード、ライバル企業を徹底比較

2022.11.26

世界的なキャッシュレス決済の普及により、日本でも現金を持たない人が年々増加しています。

実際、ミレニアル世代やZ世代にとって、スマホやウェアラブル端末を使用して決済をすることは日常になっているのではないでしょうか。

こうした世界的な決済手段の電子化はメインストリームになっており、特に決済ビジネスは今後も市場規模が拡大していくことが確実であるため、さらに魅力的なマーケットやサービスが形成されるはずです。

また決済は景気の指標にもなるため、コロナによる金融緩和から一転して、現在のような景気悪化やインフレ問題が発生するとクレジットカードの延滞率が上昇します。

経済は生き物にもたとえられますが、これも決済ならではの特徴といえるでしょう。そこで今回は米国の2大決済企業であり永遠のライバル企業であるビザとマスターカードについて詳しく解説していきます。

ビザのビジネスモデル

1958年に創業した決済サービス大手ビザ(VISA)は決済技術のみを提供している企業です。

つまりカード発行による貸倒れのリスクがビザにはありません。

これがクレジットカードを発行するアメックスやJCBとは異なるビザの大きな特徴です。

すでに世界中にクレジット決済のネットワークを構築しているため、参入障壁の高さもこの業界ならではの大きな強みがあるといえるでしょう。

2022年9月末時点での時価総額は約3,915億ドルであり、GAFAMの一角であるメタ(旧フェイスブック)の時価総額を抜いています。

そして2020年時点でのクレジットカード会社の決済額において、ビザはシェア42%と業界1位を占めています。

また営業利益率も60%台を推移しており、他業種と比較しても極めて経営が安定していることも魅力のひとつです。

マスターカードのビジネスモデル

1966年に創業したマスターカード(Mastercard)もビザと同じく決済技術のみを提供する会社です。そのためカード発行による貸倒れのリスクがありません。

このように決済サービスの特徴として、1度仕組みを構築してしまえば、あとは利用者が増加すればするほど利益率が増加していく構造になっています。

2022年9月末時点での時価総額は約2,883億ドルです。

そして2020年時点でのクレジットカード会社の決済額において、マスターカードはシェア24.1%と業界3位の位置にいます。

また営業利益率も50%台を推移しており、ビザ同様に他業種と比較しても極めて経営が安定していることも魅力のひとつです。

ちなみに業界2位は中国企業のユニオンペイです。中国では最も使われていますが、米国とはマーケットが異なることと、カントリーリスクがあるため、米国企業とは区別して考えるべきでしょう。

投資をするならどちらを選ぶべきか

ビザとマスターカードが提供する決済の種類にはクレジット決済、デビット決済、プリペイド決済の3種類があります。

両社ともに決済技術を提供する会社であるため、カード発行の勧誘や料金滞納時の対応などは全てカード発行会社が行なっており、ビザとマスターカードはこうしたリスクを負わずに決済処理をする効率的なビジネスを展開しています。そのため前述したように、貸倒れリスクを回避できるので、倒産のリスクが極めて低く、これは投資家にとっては大きな安心材料といえるでしょう。

ではどのように高い還元率を確保しているかというと、特に米国の場合、クレジット決済はリボ払いが主流です。こうしたリボ払いなどの利息が決済サービスの高収益構造へと繋がっているのです。

またビザとマスターカードの近年の財務諸表を見るといくつか異なる特徴があります。

まず売上の成長性やキャッシュフローはマスターカードがビザを上回っています。これはマスターカードが積極的な収益拡大のための事業投資をしているからです。

対照的にビザの場合は長期負債や総負債、財務という観点においてはマスターカードより安定しており、前述したように営業利益率でもビザがマスターカードを上回っています。

とはいえEPS(1株あたり純利益)や配当性向(純利益を配当金にどのくらい支払っているか%で著したもの)においてはマスターカードがビザを上回っています。

そのため、投資の観点からも両社ともに甲乙付け難く、長期投資を検討する上でも魅力があるといえるでしょう。

おわりに〜クレジット決済の未来〜

今回はビザとマスターカードという米国のライバル決済企業について比較していきました。

その他にも電子決済の分野ではペイパルやスクエアなどの米国企業があり、いずれも世界をリードしています。

また決済ビジネス産業における最大のライバルとなるのが既存の大手銀行です。

なぜなら今後、銀行とハイテク企業が手を組むフィンテックが加速すると考えられるからです。

また他業種参入のサービスが金融に革新的なシステムを生み出す可能性もあるでしょう。

とはいえ世界人口が80億人に達し、2050年には97億人まで増加するという予測があるように、今後も人口が増加するかぎりマーケットが拡大していくことは確実です。

こうした条件が変わらない限りEC分野なども成長していくので、決済市場はさらに拡大していくことは間違いありません。そして決済の裏側にはクレジットカードなどの決済サービスが使われていることを忘れてはなりません。つまり今後新たなライバル企業が登場したとしても、ビザとマスターカードもさらに長期的に成長していくと考えることが論理的ではないでしょうか。

少なくとも米国企業の個別株でポートフォリオを組むのであれば、決済ビジネスを提供する企業の株を組み入れることは検討に値すると筆者は考えます。

文/鈴木林太郎

編集/inox.

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