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再割り当て議論で紛糾する「プラチナバンド」とは?おさえておきたいLTEとの違いと仕組み

2022.11.28

ニュースなどでプラチナバンドと見たものの、その意味をよく知らないという人も多いかもしれません。プラチナバンドとは何か、LTEとの違い、携帯の乗り換えに付随して起こる『対応バンド問題』について、個人としてはどう対処したらよいのか解説します。

プラチナバンドとは

プラチナバンドとは、貴金属のプラチナになぞらえて名付けられた、貴重な周波数帯(バンド)です。プラチナバンドが重要視される理由や、混同されやすい『LTE』との違いを詳しく説明します。

つながりやすい周波数帯を指す

プラチナバンドとは、幅広いエリアに届きやすく、つながりやすい周波数帯(バンド)のことです。周波数は電波の通り道で、大まかに高周波と低周波に分かれます。高周波は容量の大きいデータを一度に送れ、通信速度が速い代わりに、障害物に遮られやすいのが弱点です。

プラチナバンドは700~900MHz帯の低周波数帯を指し、一度に送れる容量は少ないものの、障害物があっても電波が届きやすいのが強みです。基地局の少ない地域・地下・建物や山の陰になっている場所でもつながりやすく、不便を感じません。

LTEとの違い

プラチナバンドは電波の通り道を指す一方で、LTEは通信技術の一つです。『Long Term Evolution(ロングタームエボリューション)』の頭文字をとった呼び名であるLTEは、3Gより容量・速度を増した3.9Gのことで、4Gとも呼ばれます。

LTE用の基地局が多く、遠くまで電波が届きやすい性質により、外でも安定して使えるのが特徴です。商業施設や店舗など、多くの人が携帯を使う場所で、しばしば利用されます。

プラチナバンドとLTEは、どちらもつながりやすさがメリットですが、周波数と通信技術という点が決定的な違いです。

代表的なキャリアの対応バンドは?

スマホを操作する手元

(出典) photo-ac.com

自社の通信回線を持つ大手通信会社をキャリアと呼び、多くの場合『NTTdocomo』『au』『SoftBank』の3社を指します。代表的な携帯会社ごとに、押さえておきたい電波域(バンド)を確認しましょう。総務省は11月8日に、プラチナバンドの再割り当てに向けた議論の「報告書(案)」を公表。内容は楽天モバイル寄りの結論となっており、今後の動向に注目が集まっています。

4G対応

大手4社の扱う、4G対応バンドは以下の通りです。

バンド 周波数帯 docomo au SoftBank 楽天
バンド1 2.0GHz帯    〇    〇    〇
バンド3 1.7GHz帯    〇    〇    〇    〇
バンド8 900MHz帯    〇
バンド11 1.5GHz帯    〇    〇
バンド18 800MHz帯    〇
バンド19 800MHz帯    〇
バンド21 1.5GHz帯    〇
バンド26 800MHz帯    〇
バンド28 700MHz帯    〇    〇    〇
バンド41 2.5GHz帯
バンド42 3.5GHz帯    〇    〇    〇

バンド1 (2.0~2.1GHz)はdocomo・au・SoftBankにおける4G通信の主力で、海外の携帯会社の多くも採用しているため、ないと困る周波数帯です。

そのほかに、会社ごとに異なるサブ電波域があります。2022年現在、docomoではバンド19と、東京・名古屋・大阪エリア限定で使われるバンド3があれば、十分つながります。

auはもう一つの主力でもあるバンド18(またはバンド26)、SoftBankならバンド3・8があれば、困ることはないでしょう。楽天は少し特殊でバンド3と、auから借りているバンド18にのみ対応しています。

プラチナバンド対応

バンド8・18・19・26・28(700~900MHz)は、プラチナバンドといわれる周波数帯です。多くの場合、メイン電波域がつながりにくい場合のサブとして利用されるため、各会社の中心となるプラチナバンド域を、押さえておきましょう。

バンド26はバンド 18を内包しているので、バンド18に対応していなくても、バンド26に対応していればバンド18をつかむことができます。

バンド 周波数帯 docomo au SoftBank 楽天
バンド8 900MHz帯    〇
バンド19 800MHz帯    〇
バンド18・26 800MHz帯    〇    〇
バンド28 700MHz帯    〇    〇    〇

契約している携帯会社のプラチナバンドに対応していない機種は、地下鉄・障害物の陰など、場所によってはつながりにくくなる恐れがあります。

5G対応

5Gには、周波数3.7~6GHzの『Sub-6』と、24.25~52.6GHzの『ミリ波』があります。また5Gから、バンドが『n』表記に変更されています。

大手4社の扱う、5G対応バンドは以下の通りです。バンド77はバンド 78を内包しています。

バンド 周波数帯 docomo au SoftBank 楽天
n77・78 Sub-6 3.7GHz帯     〇    〇    〇    〇
n79   Sub-6 4.5GHz帯     〇
n257  ミリ波 28GHz帯     〇    〇    〇    〇

2022年現在の日本において整備されている5Gの主力は、4Gの技術を応用できるSub-6のうちn77・78・79です。世界的に整備されているのはn78なので、5Gを使うならn77またはn78への対応が必要です。

今後は、より速いミリ波が整備されていく可能性が高いものの、現在のところミリ波はあまり整備されておらず、使いにくい電波域といえます。

バンドに関して注意すべき点

(出典) photo-ac.com

SIMカード

バンドに関して注意すべき点は、対応バンド問題です。2021年10月から適用された、総務省のSIMロック解除に関するルールで、乗り換えのハードルが下がった格安SIMの購入にも注意が必要です。対応バンド問題とは何か、対処法と合わせて紹介します。

※参考:SIMロックについて|総務省

対応バンド問題

対応バンド問題は、携帯会社を乗り換える際に起こります。一般に携帯は、端末を販売している会社の、メイン周波数に設定されるものです。バンド1は大手キャリアに共通していますが、たとえばプラチナバンドと5Gで使える周波数帯は、会社によって異なります。

このため、乗り換え後に、携帯端末の対応バンドと契約した通信会社で使えるバンドがかみ合わないという現象が起こります。完全に使えないわけではないものの、地下や建物の陰になる場所ではつながらなかったり、前より通信速度が遅くなったりする可能性があるのです。

格安SIMの注意点

格安SIMに乗り換える際も、契約した通信会社が扱うバンドと、携帯端末のバンドが合わないと、前より使いづらくなってしまいます。店舗で購入する場合は、乗り換え後にもスムーズに使えるか、使えなかった場合に契約をキャンセルできるのか、店員に確認できます。

店舗を通さずに、SIMカード・SIMフリー端末を購入する場合は、スペックを確認します。スペック表記の『B1』とは、バンド1のことです。3G・LTEの周波数帯や通信方式も、チェックしてみましょう。日本で販売されているものであれば、業者に確認すると確実です。

構成/編集部

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