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フリー素材と何が違う?「パブリックドメイン」の定義と利用上の注意点

2022.12.14

作品作りを趣味にしている人やクリエイターなら、パブリックドメインという言葉を聞いたことがあるでしょう。誰でも利用できますが、使用方法を間違えないようにすることが大事です。パブリックドメインの定義や、注意点などを見ていきましょう。

パブリックドメインとは?

パブリックドメインという言葉を聞いたことがあっても、具体的にどういったものを指すのか説明できない人もいるはずです。どういう意味がある言葉なのか、見ていきましょう。

著作権の保護が消滅している作品を指す

パブリックドメインとは、著作権が消滅している作品を指します。日本語では『公有物』『公共に帰したもの』という意味に訳され、知的創作物の著作権をはじめとする知的財産権がない状態です。

知的創作物は、創作物・映像・画像・音楽・小説・絵画などが対象となっています。知的な活動により生み出されたものには財産的な価値があると法律で認められており、通常、著作者以外が著作物を使用する際には許諾が必要です。

しかし、パブリックドメインは誰でも使える状態になっているので、私的な利用はもちろん、商用利用もできます。

参考:著作権法 | e-Gov法令検索

パブリックドメインとされる要素

本棚

(出典) photo-ac.com

ある特定の要素を満たしているものだけが、パブリックドメインに該当します。著作権法は複雑なので間違って覚えているケースも多く、どの要素を満たせばパブリックドメインと認められるのかを知って、適切に利用しましょう。

著作権の保護期間が過ぎたもの

著作権は一度権利が発生すると、いつまでも守られ続けるわけではありません。保護期間が過ぎたものは、パブリックドメインとなります。

著作権の保護期間は、著作者が創作した時点から著作者の死後『70年間』と決まっており、期間の計算は著作者がその作品を創作した年や死去した年の翌年1月1日から起算する決まりです。

例えば、2022年11月に亡くなったクリエイターの作品は、2023年の1月1日を起点として70年後の2093年1月1日にパブリックドメインとなります。

かつては著作者の死後50年経つと保護期間が終了していましたが、著作権法が改正され2018年12月30日付で70年に延長されました。

著作者が権利を放棄したもの

著作権の保護期間が過ぎていなくても、著作者が『権利を保持し続けない選択』をする場合もあります。著作権を行使するかどうかは、著作者本人の判断に委ねられているのです。

ただし、権利を放棄したと認められる場合、著作者自身が著作権の放棄を明言していなければなりません。誰も権利を持っていない状態となれば、パブリックドメインとして誰でも自由に使えるようになります。

中には、著作者が自分の権利を手放し使用料を受け取らないことを、不思議に思う人もいるでしょう。『自分の考えが広まってほしい』『自由に作品を利用して、〇〇の分野を発展させてほしい』と願って、著作権を行使しないケースもあるのです。

著作権を行使する相続人がいない

著作者の死後70年間は著作権が保護されますが、この要素を満たすには誰かが相続していることが前提となります。著作者が亡くなった後、その権利を相続する人が誰もいなかった場合も、パブリックドメインになるのです。

相続人は個人に限らず『企業や団体』である場合も少なくありません。著作権を持つ企業や団体が倒産し、著作権処理も相続する者もいなかった場合も、著作権を行使する人がいないので、パブリックドメインに該当します。

ただし、倒産したからといって必ず権利が放棄されているとは限りません。ほかの企業や団体などに権利が譲渡されているケースもあるので注意しましょう。

パブリックドメインを利用する際の注意点

楽譜

(出典) photo-ac.com

パブリックドメインは誰もが自由に使ってよいと解説しましたが、使用する上で注意したい点もあります。どんな点に気を付ければよいのか見ていきましょう。

著作者人格権は継続する

著作者人格権とは、著作者の人格や精神に配慮し保護するための権利です。著作物を使って、『著作者の意思や気持ちに反する表現や加工・改変などをしてはならない』という意味になります。

その作品を誰もが自由に使える状態になったといっても、作者の意図をねじ曲げるような使い方をすることは著作者の人格や精神を傷つけるものとして、ルール違反となるのです。

もし相続人に相続されたり第三者に譲渡されたりしても、著作者人格権は著作者本人のみが有しています。企業や団体が著作権を受け継いだ場合も同様です。

二次的著作物

二次的著作物とは、パブリックドメインを利用して新たに作られた創作物のことです。例えば、海外小説の翻訳や映像化が行われたケースなどが当てはまります。

元の作品がパブリックドメインであっても、翻訳や映像化をしたものを使用する際は、それらの創作をした人が二次的著作物の著作者となって『新たな著作権』が発生するので、許諾がなければ自由に使えません。

新たな著作物として認められているものを、著作権者に無断で利用すれば著作権法違反ということになるのです。

著作隣接権

著作隣接権は著作物を創作した本人ではないものの、『著作物の完成や伝達などを行うために重要な役割をした人』に発生する権利です。

作曲家が著作権者だった場合を例に考えてみましょう。CDを発売する場合、作曲者以外にも、歌を歌う人・楽器の演奏者・レコード会社などが著作隣接権を持つことになります。

保護期間が始まるタイミングは、作曲家・演奏者・レコード会社で異なる点も押さえておきましょう。例えば、レコード会社の著作隣接権の保護期間は、CDが発売されてから70年です。

演奏者の場合、実演したときから70年間が保護期間となります。一つの楽曲が世に出るまでに関わる人々の数は多いので、音楽のパブリックドメインを探す際には注意しましょう。

国によって著作権の保護期間が異なる

著作権の保護期間は『国によって異なる』点にも注意しましょう。日本では著作権の保護期間が、創作物を発表してから著作者の死後70年となっていますが、メキシコは保護期間が100年と長くなっています。

反対に保護期間が短い国もあり、イランは著作者の死後30年、中国やインドネシアなどは著作者の死後50年と決まっています。

日本で70年だからどこの国でもそうだろうと勘違いしていると、著作権法に違反してしまう可能性があります。外国の著作物を扱う場合は、その国ごとの保護期間を調べて適切に対処しましょう。

パブリックドメインとは異なるもの

ノートパソコン

(出典) photo-ac.com

パブリックドメインと同じだと誤解されやすいものの、実は意味が違う言葉もあります。誤って利用してしまうと、規約違反に問われる可能性があるのです。著作権関係で注意したい、似た意味の言葉の特徴を見ていきましょう。

フリー素材

フリー素材はパブリックドメインと混同しがちですが、ある一定の条件下で自由に使えるように決められたものを指します。

著作権を行使して使用料を取らないという意味であり、著作権そのものが放棄されているとは限りません。利用者が好き勝手に使い方を決めてよいわけではない点にも、注意しましょう。

同じフリー素材という名称だったとしても、使用方法や条件は作品ごとに異なります。自由に加工できる素材もありますが、そうでないものも多いのです。

また、個人で利用する分には無料で使えても、商用利用はできないとされているものもあり、有料で使えるようになっているケースもあります。適切に使用するには、その作品ごとに定められている『利用規約』をチェックしましょう。

ロイヤリティーフリー

ロイヤリティーとは、著作権や特許の使用料を意味する言葉です。ロイヤリティーフリーは、決められたライセンス料金を支払えば、本来著作権で保護されたものを利用する度にかかる使用料を払わなくてよい状態になっているものを指します。

ライセンス料金は契約内容によってさまざまですが、その作品の利用目的や条件などによって変わるのが一般的です。例えば、学術的な利用や研究目的の場合と商業目的の場合では、後者の方が価格が高く設定されているケースが珍しくありません。

使用する素材ごとに違うライセンス料が設定されている場合もあるので、ロイヤリティーフリーの素材サイトを利用する際は、プランの確認をしっかりと行うようにしましょう。

CCライセンス

CCライセンスは『クリエイティブ・コモンズ・ライセンス』の略です。インターネットでさまざまな作品を見たり利用したりできるようになった現代では、新しい著作権ルールが必要だということで作られました。

作者が決めた条件の範囲内で、作品を利用してもよいという意思を示すために使われます。作者が著作権を持ったまま、事前に定めたルールの範囲内で改変や再配布を行えるので、作品を世の中に普及させる役に立ち、利用者だけでなく作者にもメリットがある方法です。

円の中に『CC』の文字が入ったマークが付いている作品は、CCライセンスが付けられています。CCの横にBYやNCなどのマークが付けられ、それぞれに利用のルールを示しているため、マークを見ればどのように利用できる作品なのかが一目瞭然です。

マークの種類や意味は、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのホームページで確認しましょう。

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン

GPL

GPLは『GNU General Public License』の略で、フリーソフトウェアの開発や配布を目的として作られました。

ソフトフェアを開発する際は、ソースコードを書いてプログラミングを行います。GPLでは、このソースコードの公開を大原則としており、誰でも自由にプログラムの改変・配布・販売ができるようにしているのです。

ただし、改変で生まれた新たなソフトフェアに対しても、GPLを適用して公開しなければなりません。自分が作ったソフトウェアが誰かに利用され、新たなソフトウェアに生まれ変わり、さらにほかの人々に利用されるということも可能になります。

パブリックドメインの確認方法は?

パソコンを操作する

(出典) photo-ac.com

できるだけ予算を抑えるために、使用料を払わずに済む素材を使いたいと考える人は少なくありません。パブリックドメインは、予算削減にぴったりだといえます。

しかし、世の中には多くの素材が溢れているので、どれがどんなルールで利用できるものなのかを、しっかりと見極めて適切に扱わなければなりません。その素材がパブリックドメインかどうかは、どのように判断すればよいのでしょう。

素材そのものより掲載サイトで調べる

動画や画像を集めたサイトや個人ブログなどで見かけた素材を、自分も使用してみたいと思うことがあるでしょう。しかし、誰かがパブリックドメインとして使っていたというだけでは、確実ではありません。

素材そのものが本当にパブリックドメインであるかどうかは、『出典』をチェックしどのサイトに掲載されていたものなのかを調べた方が安心です。

掲載元のサイトが分からない場合や、パブリックドメインかどうかはっきりとしない場合は、トラブルを避けるためにも無理に使用しない方がよいでしょう。

明らかに古い作品だと分かるものでも、国によって著作権の保護期間が異なります。例えばメキシコのように、著作権の保護期間が著作者の死後100年以上である国も存在するのです。

反対に、保護期間が短く設定されているケースもあるので、国ごとの著作権のルールを正しく把握して利用しましょう。

パブリックドメインが見つかるサイト

パソコンを操作しながらメモを取る

(出典) photo-ac.com

パブリックドメインを使用して作品を作ったり著作の資料にしたりしたいけれど、なかなかよいものが見つからないという人もいるでしょう。理想の素材探しに役立つように、多くのパブリックドメインを扱っているサイトを紹介します。

メトロポリタン美術館

世界最大級の美術館として知られている、アメリカの『メトロポリタン美術館』のサイトには、パブリックドメインの作品が数多く掲載されています。世界的に有名な名画を高画質でダウンロードでき、商用利用も可能です。

西洋の画家だけでなく、菱川師宣や喜多川歌麿など日本の画家の作品も多く見つかります。

名画の数が膨大なので希望のものを探し出すのが大変ですが、作品名や絵画名などのキーワードだけでなく、年代・国・アートスタイルなどから絞り込んで検索できるところが便利です。

Art Collection – The Metropolitan Museum of Art

ナショナル・ギャラリー・オブ・アート

『ナショナル・ギャラリー・オブ・アート』はアメリカのワシントンDCにある国立美術館で、ヨーロッパの美術品が多く展示されていることで知られています。

オープンアクセス画像(Open Access Images)の項目をクリックすると、5万点以上の美術品の閲覧と、パブリックドメインの作品のダウンロードが可能です。その中には、世界的に有名なゴッホやモネなどの名画も含まれています。

オープンアクセスポリシーから詳しい著作権法をチェックできるので、利用の際はチェックしてみましょう。

Open Access Images|National Gallery of Art

NYPL Digital Collections

『NYPL Digital Collections』は、ニューヨーク公共図書館が提供する資料を集めたサイトです。ホームページにアクセスすると、数多くの歴史的に貴重なデジタル資料の閲覧とダウンロードができます。

検索ウィンドウの下にあるチェックボックスにチェックを入れれば、パブリックドメインだけを絞って検索できて便利です。資料の種類は多岐にわたり、写真や動画だけでなく版画・地図・写本などさまざなものが見つかります。

膨大な資料を、ジャンルや場所などで絞り込んで検索することも可能です。アメリカの歴史が分かるものだけでなく外国の資料も含まれており、日本の風俗を知れる浮世絵などもダウンロードできます。

NYPL Digital Collections

構成/編集部

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