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DX推進を受けて注目が集まる「RFID」とは何か?活用のポイントと導入メリット

2022.12.13

RFIDは近年のDX推進の波を受けて、各業界からの注目が集まっている技術です。RFIDの基本機能やメリット・デメリットに加え、導入を成功させるためのポイントや方法、さらに導入事例についても解説します。

RFIDとは

RFIDは、小売業界や物流業界における人材の最適配置や業務効率向上に貢献する技術として、注目を集めています。RFIDとはどのような技術なのか確認しましょう。

電波でタグ上のデータの読み書きする技術

RFIDとは『Radio Frequency Identification』の略称で、日本語に直訳すると『近距離無線通信を用いた自動認識技術』という意味です。

日本国内で広く流通している、Felica技術を用いたSuicaや楽天Edyなどの非接触ICカードも、RFIDに含まれます。

RFID技術を用いることで、専用の端末を使用すれば、タグに記録されている商品や人物に関する情報をワイヤレスで読み取ったり書き換えたりすることが可能となります。

RFIDの技術が搭載されたタグは、『RFタグ』『ICタグ』『電子タグ』などと呼ばれており、これらはすべて同義の言葉です。

必要なのはタグ、リーダー、処理システム

RFIDは、『RFIDタグ』『RFIDリーダーライター』『処理システム』の三つの要素から構成されます。

RFIDタグ内の情報を処理システムに反映させる一連のプロセスは、以下の通りです。

  1. RFIDリーダーライターから電波を送信
  2. RFIDタグ内のICチップが電波を受信し駆動
  3. 暗号化されたICチップ内のデータを送信
  4. RFIDリーダーライターがデータを受信
  5. RFIDリーダーライターの制御部を介して、パソコンなどのデバイスに受信データを転送
  6. 転送されたデータを処理システムに取り込み活用

RFIDタグはICチップを内蔵した厚さ数ミリ程度のタグのため、商品タグと一体化したり、シール状にしてダンボールに貼り付けたり、社員証やネームプレートに埋め込んだりすることも可能です。

RFIDリーダーライターは、RFIDタグに電波を照射して内包されているデータを読み取ったり書き換えたりするための装置で、ハンディタイプやゲートタイプなど、用途により適した形のものを選んで使用します。

処理システムは、RFIDリーダーライターで得たデータを活用するためのシステムやアプリケーションで、在庫管理システムやPOSレジ、入館管理システムなどが一般的です。

RFIDのメリット

ホテルのカードキー

(出典) photo-ac.com

自動認識技術として広く浸透してきたバーコードやQRコードと比較して、RFIDにはさまざまなメリットがあります。RFIDの特性をふまえながら、そのメリットについて解説します。

広範囲・複数商品の一括読み取りが可能

RFIDは、リーダーライターとタグ本体が最大で数十m離れていたり、ダンボールに入った状態であったりしても、複数のデータを一括で読み取ることが可能です。

RFIDを用いれば、現物が箱に入っていて見えない場合や倉庫内の手の届かない場所にある場合でも一括で読み込みが可能のため、作業効率が格段に向上します。

タグが汚れても読み取りが可能

RFIDタグが埋め込まれたカードや商品タグの表面に汚れが付着しても、データの読み取りに影響を及ぼす可能性はほとんどありません。

それは、RFIDタグ内のICチップやデータを送受信するアンテナは汚れや振動・衝撃に強く経年劣化が少ないため、長期間にわたって高い耐久性を維持可能なためです。

そのため、印字部分を読み取ることでデータを取得するバーコードやQRコードのように、表面の汚れや印字部分のかすれなどによって読み取り不良や誤読が発生するおそれがありません。

データ容量が大きく書き換えが可能

RFIDの大きな強みとして、データ容量の大きさが挙げられます。バーコード一つのデータ容量が最大数十文字、二次元コードであっても最大7,089文字であるのに対し、RFIDのデータ容量は数千文字以上です。

加えて、バーコードや二次元コードは、内包されているデータがいずれも読み取り専用であるのに対し、RFIDでは書き換えもできます。

例えば商品価格の改定において、バーコードであれば新価格のバーコードを印字し直し、商品に付け直す作業が発生します、一方、RFIDタグであれば、商品にタグは付けたままで、新価格にデータを書き換えるだけで対応が可能です。

不正・複製が困難

RFIDタグはICチップに必要なデータが記憶されているため、複製することが困難です。

また、偽造端末を用いて不正にデータを取得したり、勝手に書き換えたりすることを防ぐため『相互認証処理機能』を搭載しているRFIDリーダーライターも登場しています。

印字部分の書き換えや複製を簡単に行えるバーコードやQRコードと比較しても、RFIDの方がセキュリティ面で優れているため、個人情報を扱う社員証などにも安心して活用できるでしょう。

商品の探索が可能

RFIDリーダーライターは、対象とするRFIDタグが付いた商品との距離を、電波の受信感度を用いて測定できます。

倉庫内で特定の商品を探す際も、RFIDタグであればRFIDリーダーライターが強い読み取り反応を示す方向に進むことで、探していた商品を見つけることが可能なのです。

そのためこの特性を活かせば、大型倉庫内における商品ピッキングの作業効率も大きく向上します。

RFIDのデメリット

ICリーダー

(出典) photo-ac.com

さまざまなシーンで業務効率化に貢献するメリットを持つRFIDですが、デメリットもあります。RFIDのデメリットについて知り、導入に際しての検討材料として参考にしましょう。

商品の素材によっては読み取りができない

RFIDを金属や水分を多く含む物体に取り付けると、リーダーライターが読み取れなくなってしまう可能性があります。

金属面に直接RFIDタグを貼り付けると、リーダーライターから送信された電波に応答しなくなったり、通信可能な距離が短くなってしまったりする事態が発生します。

また飲料の入ったペットボトルや人体など、水分を多く含む物体が近接していると、リーダーライターからの電波を液体が吸収し、タグへの電波供給が微弱になり、通信ができなくなる場合があります。

これらのリスクを回避するためには、金属やペットボトルに対しては、金属対応のRFIDタグを使用するか、金属面や液体から離れた部分にタグを貼り付けるといった措置が必要です。

導入コストが高い

RFIDによる管理体制を構築するためには、必要な数のタグとリーダーライターを用意する必要があるため、バーコードやQRコードに比べて導入コストが高くなります。

RFIDタグは素材や形状によって価格の幅が広く、安価なものであれば1枚あたり数円からありますが、高価なものは1万円を超えるケースもあります。リーダーライターに関しても同様に、価格帯に広い幅があるのです。

またRFID導入の際には、新たに処理システムの導入コストも発生します。システムに関しては種類やメーカーによって、導入コストが無料で月額利用料金が発生する方法か、導入時の一括払いで購入する方法のいずれかになります。

RFID導入は、成功すれば導入コストを容易に相殺するほどの高い効果を生み出すため、導入時には導入コストだけでなく、運用コストや期待する効果をふまえた総合的な視点から検討を重ねる必要があるでしょう。

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