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北海道・美深の自然を満喫するイベント「終り火」の魅力

2022.11.23

■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!

2022年11月4〜6日、北海道・美深で今年も「終り火」が開催された。

「終り火」はカヌーやトレッキングが楽しいグリーンシーズンが終わり、雪が舞い始める11月上旬にアウトドア好きが集う人気イベントだ。

道北文化創造プロジェクト「BASIS」のリーダー、小栗卓さん、道北の水辺を案内する「river trip CAMEL」の辻亮太さん、名寄の羊肉専門店「東洋肉店」の東澤壮晃さん、北海道出身のネイチャークラフト作家である長野修平さんほか北海道にゆかりのあるガイドが集結。10名のゲストをサポートする。

積み重ねられた薪をくべ、あたたまる。時にはこの薪を削って食器やスプーンなど好きなモノを作る。キャンプをしながら焚き火とクラフトを楽しむというアウトドアの原点のようなイベントだ。

ナイフや電動工具の基本と木材の性質を学び、作りたいモノを決めたら自分のペースで削っていく。

クラフト体験ではナイフで木を削る。ノコギリで短く切るだけではない。日頃目にすることはない道具も体験できる。

上の写真は刃に対して直角にハンドルが付けられた道具。木槌を使って板に刃を入れたあと、板を倒してからハンドルを引き起こすようにするだけで薄く裂ける。軽い力で板が裂ける様子は見ているだけで気持ちがいい。

裂いた板は虫食いなどがなくとても美しい。「手を加えるのがもったいないからこのままトレイとして使います」

刃物を使わない焚き火彫り。炭火によって木が炭化し、個性的なくぼみができる。

夕食はラムバサダーの東澤壮晃さん、シャンカール・ノグチさんらによるラム料理のフルコース。ラム肉は身体を温める効果があるうえ、スペシャリストの手にかかることでどれも極上の料理になっている。「おなかいっぱいだけどもっと食べたい! おなか、すきたい」と漏らす参加者も。

今年から紙皿・紙コップを廃止し、BASISが削ったククサと木のお椀を用意。参加者はククサに熱ペンで印をつけ、イベント中は持ち歩くちょっとエコを意識したシステムに変わった。

自然の中でいただく抹茶とコーヒー

参加者は焚き火を囲み、心ゆくまで木を削る。焚き火まわりに設置した丸太の椅子は、使わない時は焚き火に向かって倒しておく。こうすることで座面が濡れず、さらにじんわりあたたかくなって次に座る人が快適になる。

雪が降ったかと思うと溶け、また降り積もる。その繰り返しで目が覚め、テントを開くとがらりと景色が変わっている。

まさに秋が終わりを告げ、冬が根を下ろすちょうど狭間の日。春から夏、夏から秋へとの移ろいとは違い、見た目でハッキリわかるのがおもしろい。

この狭間を楽しむために、例年とは違った試みが行われた。

朝食後、ガイドである長野修平さんが野点セットを持ち込みお茶を点てるというのだ。薪で結界をはり、「終り火」看板を掛け軸に見たてた即席のお茶会だ。

作法はわからず見よう見まねでしかできないが、雪景色と軸、そしてていねいに点ててくれたお茶が最高のひとときを演出する。

お釜と土瓶は中古店で購入してきたそうだが、茶道具を入れる木箱や抹茶を保管する器など大半が長野さんの自作。いつか自分でも野点セットを作ってみたくなる。

茶碗は長野さん自身が作ったものもあるが、こちらは名のある作家にゆずっていただいたものだとか。道具や所作にまつわるエピソードがおもしろい。

「終り火」は4〜5日と5〜6日の入れ替え制で初回は札幌の有名カフェ代表が参加。翌朝、参加者のためにコーヒーをふるまってくれた。「行列必至で店では豆を買うだけだったのに、まさかここで飲めるとは」と感激する参加者多数。

MORI no SHIZUKUに雪が舞い降りる。代表は「気温が低いからお湯の温度がね……」と納得がいかないようだったが、それでもコーヒーの甘味と豊かな香りにハッとさせられる。

ドリップに使っているのはスノーピークのケトルやドリッパーたち。特別なモノでなくてもお湯を豆に載せるようにていねいに注ぐことで極上の一杯となるのがおもしろい。

北海道の11月は寒さが厳しくなりつつあるもののまだ雪はない。飲食店も雑貨店もレジャー施設も、長期の休みを取っていることが多く、正直、見どころが少ない。

けれどもそんな時期だからこそ焚き火が映え、人々の表情がよく見える。焚き火のぬくもりもありがたい。お茶やコーヒーの味わいも際立つし、クラフトなど手元の作業に集中できる。雪が降ればいよいよ冬だとワクワクする。

何もない季節こそキャンプが楽しい、改めてそう感じるイベントだった。

なおBASISでは1年を通してクラフト体験や道北でできるアクティビティ体験を案内している。気になる人はククサや雪板を作りながらちょっぴり「終り火」の雰囲気を味わってはどうだろう。

【問】BASIS

取材・文/大森弘恵

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