中華料理の定番として多くの人に親しまれるチャーハン。〝早い・安い・旨い〟という家庭のお昼ご飯的イメージを抱く人は多いと思うが、こだわりを持った店長が腕を振るう町中華は数多い。また最近では、パラパラ食感やシンプルな盛り付けといった従来のアプローチとは異なる〝進化系町チャーハン〟も増えている。
東京・台東区にある中華料理店「翠雲 上野店」は今年1月に〝燃えるチャーハン〟の提供を始めた。メラメラと燃え上がる炎とともに提供される様子がSNSで拡散され、話題沸騰となった。なぜこのようなチャーハンが生まれたのか。
「100℃近くに温めた石皿にチャーハンを盛り付けて、その周りに香りづけのラム酒を垂らすことで炎を演出しています。この燃えるチャーハンは、私の出身地である中国・漠河市が発祥といわれていて、日本でも提供できたらと思い商品化しました」
そう語るのは店長の堕婷婷さん。
「今では来店されるお客様の9割が注文してくださる、お店の定番メニューとなりました」(堕さん)
ふわふわの卵焼きをチャーハンにのせる「チャーライ極」の店主・米島博幸さんは「オムライスのように卵をチャーハンの上にのせたらおいしくないはずがない」とその開発の訳を明かす。また、カレー味のチャーハンにカレーをかけ合わせた「台湾料理 生駒」では、「まかないで作る機会が多く、試行錯誤しやすかった」(店主・小池光雄さん)という。
3者3様の理由ではあるが、演出でも具材でも、従来シンプルであるはずのチャーハンに+1の仕掛けを作った。それが新トレンドを生み出した要因だろう。
見た目で圧倒する〝燃えるチャーハン〟
『翠雲醤油炒飯』1078円
老抽(ロウチュウ)という中国広東省名産のたまり醤油を使い、具材は卵とネギだけ。「色は濃いめですが、塩味がほどよく、食べ飽きないやさしい味に仕上がります」(店長・堕さん)。3人前というボリュームだが、1人で完食する方も多い。
複数の通風孔を作るために特別な鋳型を使用することで炎が上がりやすくなる。
翠雲 上野店
中国天津市に本社を持つ本格四川料理店。店内のいけすで泳ぐコイを注文後にさばいて作る『工夫水煮魚』など珍しい逸品も数多い。
DATA
[住]東京都台東区上野4-4-5 上野C-Road Bidgビル6F
[電]050・5453・7175 [営]11:00~15:00、17:00~23:00 [休]なし
女性客は驚異の7割!ふわふわ食感+超ボリューム
『西成チャーライ』890円
チャーシューと九条ネギが入ったチャーハンに、卵焼きとホルモンをトッピング。3種類のタレで味を調節しながら食べられる。「タレをかけることで、口の中で味を完成させるために、あっさりした味に仕上げています」(店長・米島さん)
チャーライ極
チャーライとは、〝チャーシューライス〟の略称で、姉妹店である「らーめん極」が発祥。チャーライが人気を呼び、専門店としてオープン。
DATA
[住]大阪府大阪市西成区山王1-1-10 [電]06・6567・9870
[営]火~金11:00〜15:00、18:00〜24:00/土日祝11:00〜24:00 [休]月
カレー味のチャーハンにさらにカレーをぶっかけ!
『排骨カレー炒飯』980円
排骨(豚肉の唐揚げ)×カレー×チャーハン(カレー味)のトリプル盛りメニュー。一見カツカレーだが、ラーメン用のスープを使うことで、肉や魚介のダシが効いている。「まかない飯に改良を重ね、今の味になりました」(店主・小池さん)
台湾料理 生駒
1989年創業の老舗中華料理店。『麻婆カレー飯』(900円)など、ほかの店にはないオリジナリティーあふれるメニューを提供する。
DATA
[住]東京都墨田区緑4-30-9 [電]03・3633・4089 [営]11:30~13:15、18:00~21:00 [休]水
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年9月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
取材・文/佐藤恵美