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行燈袴、行燈部屋、昼行燈、そもそも「行燈」って何のこと?

2022.12.15

行燈袴、行燈部屋、昼行燈など、さまざまな言葉に用いられている『行燈』は、江戸時代の人々の生活を大きく変えた革新的なアイテムです。当時の人々に強烈なインパクトを与えた『行燈』の読み方から由来、具体的な使い方までを例文を交えて解説していきます。

「行燈」とは?

行燈とは、火を灯す燃料を入れた油皿の周りを木枠で囲い、紙を張った小型の照明器具のことを指します。

読み方は「あんどん」

行燈は『あんどん』という少し変わった読み方をします。『行』という字を『あん』と読むのは、宋音によるものです。

宋音とは、平安時代中期から鎌倉時代にわたり中国から伝わった、宋〜元時代の中国語をもとにした漢字の読み方です。

禅宗伝来の際に日本にもたらされ、主に禅僧によって伝えられたことから、今も『和尚(おしょう)』の『お(ヲ)』のように、禅関係の言葉の読み方に残っているものが多く見られます。

由来は「灯りを持ち歩く」

行燈は『行灯』とも表記され、その意味は中国語の「持ち歩くことができる灯火(ともしび)」という意味を表す『行灯』に由来します。

もともと中国で使われていた行燈は、油に火を灯す灯台が露出していましたが、日本に伝来した際、風によってすぐに明かりが消えてしまうことから、灯台の周りに風除けを設けました。この油台の周りが囲われた形が、日本の行燈の原型となったのです。

「行燈」「提灯」「灯籠」の違い

おしゃれな行燈

(出典) photo-ac.com

行燈と間違えやすい照明器具として、『提灯(ちょうちん)』や『灯篭(とうろう)』が挙げられます。ここでは、提灯と灯篭について、どのような点が行燈と異なるのか解説していきます。

「提灯」は携帯用照明

灯火を持ち歩く器具として進化した行燈ですが、そこからさらに持ち歩きに適した形へと進化したものが提灯です。

持ち歩きやすいように、持ち手を付け、本体を軽量化し、不要な時はたたんでしまっておけるように進化した提灯は、その利便性の高さから各地に広まっていきました。

その結果、『提灯=持ち歩き用』『行燈=据え置き用』というふうに区分けされるようになったのです。

「灯籠」は神社仏閣に供える灯りを守る籠

灯籠は、風除けのために木枠などで囲われた照明器具を指しますが、行燈と異なる点は、主に野外で用いられるものであるという点です。歩道や階段などに設置されることも多く、街灯としての役割を担っています。

また、灯籠というと神社などにある石造りの灯籠をイメージするかもしれません。灯籠は仏教の伝来とともに日本に伝わり、奈良時代に各地で寺院が建立された際に一緒に広まったというエピソードがあります。

そのため灯籠は、神様や仏様に供える『灯り』を風などから守る『籠(かご)』という意味を表しているのです。

今も残る「行燈」を使った言葉

ぼんやり光る行燈

(出典) photo-ac.com

江戸時代の生活に大きな変化をもたらした行燈は、人々に強烈な印象を与えたことから、江戸〜明治時代にはさまざまな物事のネーミングに用いられるはやり言葉となりました。ここからは、「行燈」を用いた代表的な言葉を紹介していきます。

行燈袴

行燈袴は『あんどんはかま』と読みます。多くの女子学生が行燈袴を着用して卒業式に出席している様子もシーズンになるとよく見かけます。

行燈袴は、明治時代に華族女学校の創設者である下田歌子(1854~1936年)によって考案され、その後、同校の女子学生たちを起点として広がっていきました。

それまでは『馬乗袴』と呼ばれる男性と同じタイプの袴を着用していましたが、行燈袴は着崩れしない、トイレに行きやすいなどのメリットが多くの女性に評価されたことで、女子学生の正装となっていったのです。

昼行燈

昼行燈は『ひるあんどん』と読みます。ぼーっとしている人や役に立たない人を意味しており、昼に行燈を点けても何の役にも立たないことから、役立たずを表す言い回しとして用いられるようになりました。

近年は、漫画やアニメの中で、『普段はぼーっとしていて役立たずだけれど、いざという時にすごい能力を発揮する』キャラクターのことが『昼行燈キャラ』と呼ばれています。

しかし、本来、昼行燈は、ネガティブな要素に対して用いられる言葉ですので、相手を褒める目的で用いてはいけません。昼行燈は以下のように使うことができますが、いずれの例文もポジティブな内容ではないため、使い方には注意が必要です。

【例文】

  • 昼行燈の弟と同居している彼女は、いつもバイトで忙しそうだ
  • 仕事を辞めてから昼行燈な生活が続いていたが、そろそろ就職活動を始めようと思う
  • 〇〇課長は、昼行燈の典型のような人物だ

行燈部屋

行燈部屋(あんどんべや)とは、採光や通風のための窓などの開口部がない部屋のことを意味します。

行燈部屋という名前は、江戸時代の遊郭など、奉公人が活動する一階の中で日当たりの悪い奥の部屋を、行燈をしまうための部屋『行燈部屋』として使用していたことが由来といわれています。

現在の住宅において行燈部屋は、建築基準法上の『居室』とすることができないため、『納戸』や『サービスルーム』と呼ばれています。

構成/編集部

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