実現可能性の高いプチFIREという道
資産形成の継続が習慣化した段階にきたら、次は現時点の年齢でFIREをするならいくら必要なのかをシミュレーションして考えましょう。また日本版FIREを考えるにあたり日本の年金制度を含めた生活を考えていくことも大切になります。
まず早期でFIREをしたいと考える場合、大きな課題となるのが働かない時期から年金受給開始年齢までの期間に必要な資産を計算する必要があります。実際、日本の労働環境はまだまだ年功序列であるため、通常は20〜30代よりも40代〜50代の方が年収が高くなります。
そのため一般的に日本でFIREを考える場合は50代が現実的な目標となるでしょう。
そう考えたとき、最も実現可能性が高いのは定年よりも5年の早期リタイアとなる「プチFIRE」ではないでしょうか。5年という数字は短いように感じるかもしれませんが、自由な時間が5年増えると考えれば、時間が最も大きな資産ともいえるはずです。
またプチFIREのメリットとして、公的年金の受給を組み入れた資産管理が可能となるため、資産額の目標も高額にならずに済みます。
そのため最初の目標として50代でのプチFIREを目指し、さらに資金の上積みが可能な場合にFIREを目指すことが実現可能な目標ではないでしょうか。
FIRE達成のために目指すプロセス
FIRE達成は50代が現実的ではあるものの、大切なことはFIRE実現のタイミングは自分で決めることです。早期にFIREを達成したい場合は資産形成の速度を上げなければなりませんが、それと同時に大切なことはFIREのゴールをしっかりと決めておくことです。
実際、資産が貯まったタイミングが50代であれば計算が簡単ですが、40代や30代と若くなればなるほど、それまでに積み上げた資産で本当に一生困らないのかをシミュレーションする必要があるでしょう。なぜならアーリーリタイア後に資金の不安があっても、年齢が上がると再就職が難しくなる可能性が高いからです。
だからこそFIRE達成後の生活についても計画しておくことが大切なのです。
このようにFIREのメリットは仕事の人生の終わりを自分の意思で決められることにあり、そこに価値を感じられるのであれば目指す意義は大きいでしょう。
おわりに
昨今のFIREブームの背景には、日本経済の衰退や先行きの不透明さも影響しているのではないでしょうか。つまりFIREとは経済的な自由だけでなく、精神的な自由にもつながると考える人が多いからこそ注目されているはずです。
もちろん生涯働き続けたい人もそうでない人も価値観はさまざまですが、FIREを考えることで現在の生活を見つめ直し、投資などに挑戦してみようと考えることは、結果的に自分自身のスキルアップへとつながるはずです。
つまりFIREへのチャレンジは、FIRE後の人生だけでなく、目の前の人生を豊かにしてくれると思います。ぜひ自分らしい生き方とは何か、FIREを通じて考えるキッカケになれば嬉しく思います。
文/鈴木林太郎
編集/inox.