近年、日本でもトレンドとなったFIREは「Financial Independence,Retire Early」の頭文字を並べた造語ですが、これは経済的な独立による早期リタイアを意味する言葉です。
特に閉塞感漂う日本経済を生きるビジネスパーソンにとって、お金や将来への不安から抜け出したいと考える方が多いからこそ注目されているのではないでしょうか。
そもそもFIREの考え方は米国で流行したあとに日本にやってきましたが、両国では社会保障や税制などが異なるため、米国版のFIRE翻訳本の全ての内容が日本にあてはまるとは限りません。
そこで今回は日本版FIREを達成するために必要なことを考えていきたいと思います。
FIREと日本版FIRE
FIREという考え方が米国で広まったのは2010年代です。特にミレニアル世代を中心に支持されて広がったそうですが、その背景には米国の給料体系も影響しているといいます。
米国では日本と異なり給料の支払いが月払いのほかに、月2回や週払いなども珍しくありません。このシステム自体が悪いわけではありませんが、特に週払いの場合は計画せずに「その日暮らし」的なライフスタイルに陥りやすいという指摘もあります。
こうしたマネーリテラシーの問題について、米国では同じ悩みを持つコミュニティが熟成しており、FIREが米国で盛り上がった背景には、こうした社会的な仕組みがあったからだといわれています。
■日本版FIRE
では米国と同じような仕組みのない日本ではどのようにFIREを目指すべきでしょうか。
そもそもFIREを目指すための基本的なプロセスは日米で変わりません。
FIREを目指す人は、なんらかの方法でお金を稼ぎ、稼いだお金で生活をして、差額を貯蓄や投資に回していると思います。この基本的な流れの先にFIREがあるので、この流れを加速させることでFIREが近づいてくることになるのです。
では具体的にどのようなアプローチをすればいいのでしょうか。
そのポイントは3つあります。
それは①年収を増やす ②支出を減らす ③投資で資産を増やす
この3つの方法が現実的です。
まず「年収を増やす」にはスキルアップや転職などもありますが、夫婦であれば共働きなどを含めて現実的に世帯年収を増やすことを考えるべきでしょう。
次に「支出を減らす」ですが、FIREを目指すには平均よりもハイペースで貯蓄をする必要があります。つまり月の支出をコントロールする力が求められます。
生活コストのどこを抑えるのか、いかにストレスなく楽しく継続できるのかもポイントになるでしょう。一般的に収入の25%以上を貯蓄することは工夫が必要と言われており、支出を削ることと年収を増やすことの両方のバランスで考えることが必要です。
そして「投資で資産を増やす」ことはFIREを目指す上で必須条件といえるでしょう。
これは既に経済学者トマ・ピケティが資本の収益率(r)は賃金の成長率(g)よりも大きいことを「r>g」という関係式で証明しています。いいかえれば資本主義社会において資産家が労働者よりも速く富が拡大するため、今後も貧富の差が拡大する現実を論理的に証明しています。
つまり資産を増やすためには資産運用は必須条件であり、誰もが実践できる最初のステップとして、iDeCoやNISAなどの税制優遇された口座を活用することがとても大切ということになります。また投資を始めるにあたっての商品選びとしては、世界全体or米国に丸ごと投資をするインデックス投資からスタートすることで、他の商品よりも手数料が低く、極端なリスクを減らしながら運用することができると思います。