シャープの「AQUOS sense」シリーズといえば、本体価格5万円前後の手ごろな価格に、握りやすい本体デザインや、優秀なバッテリー性能を有したミドルレンジスマートフォンとし人気です。
そんなAQUOS senseシリーズの最新モデル「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」の2機種が、2022年秋に登場。AQUOS sense7はドコモ、KDDI、楽天モバイルの3キャリアにて取り扱われ、AQUOS sense7 plusはソフトバンクの独占販売となっています。
そこで、ソフトバンクより2022年10月7日より発売された、AQUOS sense7 plusを実際に試しながら、使用感や操作性を検証します。
AQUOS sense7 plusのソフトバンクでの本体販売価格は6万9840円。「新トクするサポート」適用時、25か月目に端末をソフトバンクに返却すると、実質負担額は3万4920円となります。
スマートフォンの性能は年々向上していることもあり、実質負担額3万5000円前後であっても、操作性、使用感に優れた製品が増えているのも事実。ミドルレンジスマートフォン市場の激しい競争を勝ち抜くためには、価格だけでない個性が求められる時代ともいえます。
AQUOS sense7 plusは「すべては動画のために」というキャッチコピーのもと、動画視聴を快適にするための機能や、AQUOSシリーズ史上最大のバッテリー容量を搭載するなど、使い勝手を向上させる「+α」の機能が搭載されているのが特徴。ハイエンドスマートフォンにも引けを取らない、個性的な端末となっています。
ハイエンドモデルに近づいた背面デザインを採用
AQUOS sense7 plusの本体サイズは約160×約76×約8.2mm、質量は約172g。約6.4インチのディスプレイを搭載していることもあり、比較的大きいサイズ感になっていますが、背面左右がわずかにラウンドしているため、よく手に馴染む印象です。本体にはアルミニウム素材が採用されており、指紋がほとんど付着しない、サラサラとした手触りも特徴となっています。
AQUOS sense7 plus(左)と同時発表のAQUOS sense7(右)
AQUOS senseシリーズといえば、四角いカメラモジュールを背面向かって左上に配置するのが定番となっていましたが、AQUOS sense7 plusではデザインを刷新。背面中央に大きなカメラを搭載する、ハイエンドモデル「AQUOS R7」に近いデザインとなっています。AQUOSシリーズ全体の統一感が増しており、個人的には好印象です。
本体側面はフラットで、上部にSIMスロット、下部にUSB Type-Cポートとイヤホンジャックを搭載。右側面には、上から音量調節ボタン、電源ボタン、指紋認証センサーが配置されています。最新のスマートフォンは、指紋認証センサーがディスプレイ内か、電源ボタンに内蔵されることが多いため、珍しいデザインですが、これは主にコストカットのためと考えられます。ミドルレンジスマートフォンとして、少しでも安価に提供するための企業努力ともいえますが、電源ボタンを押してから、再度指紋認証センサーに指を動かすのは、慣れるまではちょっと扱いにくい仕様と感じます。
なお、生体認証は指紋認証に加えて顔認証にも対応。マスク無しの顔の登録のみで、マスク着用時の顔も認証できるようになります。
そのほか、IPX5/8の防水、IP6Xの防塵、16項目のMIL規格に準拠した耐衝撃性など、スマートフォンを使っていて考えられる、落下や水没といった事故に強いのも魅力。詳しくは後述しますが、優秀なバッテリー性能も搭載しているため、スマートフォンの買い替えは数年に1度という人にもおすすめできる製品です。
約6.4インチディスプレイは動画視聴のための機能を豊富に搭載
ディスプレイサイズは先に触れた通り約6.4インチ。従来モデルと同じく、IGZO OLED(有機EL)を採用しており、解像度はFHD+、操作しやすい、フラットなデザインになっています。AQUOS sense7 plusの大きな特徴がこのディスプレイとなります。
1300ニトのピーク輝度に加え、屋外での視認性を高める「アウトドアビュー」機能も搭載されており、明るい場所でも快適に画面を確認できます。コントラスト比は1300万:1で、10億色の色表示に対応しているため、鮮やかで深みのある表現ができるのも、AQUOS sense7 plusの特徴でしょう。
リフレッシュレートは可変式となっており、120Hz駆動に黒画面を挿入することで、最大240Hz相当の動きが可能。動画再生に加え、SNSのスクロールといった操作がかなり滑らかに動く、ハイエンドスマートフォン顔負けの性能といえます。
AQUOS sense7 plusのキャッチコピーに「すべては動画のために」とあるように、動画専用のプロセッサを搭載しているのも、本端末の大きな特徴。YouTubeやNetflixといった、著作権保護されている動画コンテンツに対しても、コマ間をAIで補間し、120fpsの再生ができる「なめらかフレーム補間」機能が利用できます。
なめらかフレーム補間は、ハイエンドモデル「AQUOS R7」にも搭載されている機能ですが、AQUOS R7の場合は著作権保護のない動画のみで利用できる機能でした。つまり、動画の再生のみにフォーカスを当てると、ミドルレンジスマートフォンのAQUOS sense7 plusのほうが、コンテンツによっては滑らかに再生できる可能性があります。
快適な動画視聴をサポートするサウンドとバッテリー
ディスプレイ性能に加えて、スマートフォンで動画を再生するうえで忘れてならないのが、スピーカーの性能です。AQUOS sense7 plusの場合、本体の上下に大口径ステレオスピーカーが内蔵されており、下側のスピーカーはBOX構造を採用。本体を横持ちすると、左右から臨場感のある音声を再生できるようになっています。
「AQUOS sense3 Plus」比で、低音域音圧は2.1倍、帯域幅は1.1倍に向上しており、実際に使っていても、重厚な音が再生できることがわかります。イヤホンやヘッドホンを使用しなくても、動画コンテンツを存分に楽しめるスピーカーが搭載されているのも、AQUOS sense7 plusの魅力の1つでしょう。
また、AQUOS senseシリーズの特徴でもあるバッテリー性能も、動画視聴を存分に楽しむために強化。バッテリー容量はAQUOSシリーズ全体でも最大の5050mAhで、1本60分の動画を再生する場合、約18本分の再生が可能とのこと。IGZO OLEDディスプレイの省電力性も相まって、バッテリー残量をあまり気にすることなく使用できています。
また、充電を上限90%で停止し、充電器から本体へのダイレクト給電に切り替える「インテリジェントチャージ」機能も搭載。バッテリー劣化を遅らせることができるので、長く同じスマートフォンを使いたいという人にもおすすめです。なお、ワイヤレス充電には非対応となっていますが、ミドルレンジスマートフォンである点を考えれば、問題ないでしょう。
1/1.55インチの大型センサー搭載カメラの実力は?
AQUOS sense7 plusのもう1つの特徴がカメラ性能です。ミドルレンジスマートフォンとしてはかなり大型の1/1.55インチセンサーを搭載した、焦点距離23mmの標準カメラと、焦点距離15mmの広角カメラが搭載されています。
大型センサーだけでなく、全画素使用の像面位相差AFや、高性能画質エンジン「ProPix4」を搭載することで、多くの光を取り込みながら、素早いフォーカスやきめ細かい撮影が楽しめるようになっています。
以下はすべてAQUOS sense7 plusにて撮影し、掲載用にサイズの調整のみを行った写真となります。
いずれのシーンでも、被写体をぱっと認識してフォーカスを合わせられ、細かな部分まできれいに撮影ができています。シャッター速度も速く、サッと構えてすぐに写真が撮影できる、スマートフォンらしいカメラとなっています。ナイトモード撮影も、白飛びがなく、パキっとした明るい写真が撮影できました。
特に印象的なのがポートレート撮影で、被写体をしっかりと認識し、背景に強いぼかしをかけることが可能。大型センサーや像面位相差AF、ProPix4の力が存分に発揮されていることがわかります。
動画視聴に特化したAQUOS sense7 plusは価格以上の満足度
大容量バッテリーや大型センサー搭載カメラを搭載したAQUOS sense7 plusですが、最大の特徴はやはり動画視聴に特化したディスプレイ性能。YouTubeやNetflixといった動画コンテンツの流行もあり、移動中や就寝前などに、スマートフォンで動画を楽しむのが一般的な近年の流れに適応した、完成度の高いミドルレンジスマートフォンです。
冒頭でも触れた通り、ソフトバンクの専売で、販売価格は6万9840円。魅力的な端末であるがゆえに、1キャリアのみの取り扱いである点は残念ですが、現在は回線契約がなくてもスマートフォン単体で購入することもできるので、スマートフォンで動画をよく見るという人には、ぜひチェックしてほしい1台です。
取材・文/佐藤文彦