工事不要で直管型LEDに交換できる場合
円安ドル高、原油価格の上昇、ウクライナ情勢などから電気料金がじわじわ値上がりを続けている。拙宅でも、節電のためにのLED化を進め、洗面所、居間、仕事部屋の照明器具を電球型LEDに交換していった。次は台所だと思ったのだが、ここは白熱灯ではなく直管の蛍光灯だった。理想は照明器具ごとLED化することだが、ウチは賃貸なのでとりあえず蛍光灯と比較して、消費電力が半分以下の直管LEDがどのぐらい明るいのかを知りたくて工事不要の交換式直管LEDランプに交換してみた。
素人が安全に交換できるのは工事不要タイプのみで、これに対応しているのが照明器具の点灯方式がグロースタータ式である。ラピッドスタート式とインバータ式には使えないため注意が必要。見分け方は蛍光灯にグロー球が使われているかどうか。グロー球は蛍光灯の点灯に必要な部品で白色の樹脂カバーまたは金属製の筒、透明なカバーが付いており、グロー球を外すと蛍光灯は点灯できない。照明器具のカバー内部に隠されていることもある。グロースタータ式の照明器具なら、グロースタータ器具専用の口金G13型直管LEDランプに交換可能だ。ウチの台所はグロー球を使うタイプだった。
Amazon.co.jpで購入した2本1698円の20W直管2本セットのLEDランプ
消費電力は9Wなので2本で18W、蛍光灯は20W×2で40W、消費電力は半分以下になる
蛍光灯の型番の先頭がFLならLEDと交換可能。2本の蛍光灯の間にあるのがグロー球である
LEDに交換前、蛍光灯から台所のまな板の明るさは101ルクスだった
G13型LEDの口金の形状、蛍光灯と互換性がり、LED本体を90度回転させて着脱ができる
工事不要交換型のメリットとデメリット
直管LEDランプの交換手順は、まず蛍光灯の電源をOFFにする。カバーを外してグロー球を取り外す。LEDランプによってはダミーのグロー球が付属する製品もあるので、これを代わりに付ける。なければ外したままでよい。蛍光灯の型番を確認してから、蛍光灯を90度回転して下向きに引いて抜き取る。代わりに直管LEDランプを差し込んで、90度回転してロックする。カバーを取り付けて作業完了。点灯させると蛍光灯より明らかに明るくなった。点灯の速度も格段に早くなり、スイッチを押し切る前に点灯するイメージだ。LED化により消費電力に1/2になるはずだが、下記のようなリスクも発生する。
●交換したLEDランプが不適切だった場合、点灯しないことがある
●交換したLEDランプが不適切だった場合、発火、発煙など重大事故の懸念がある
●照明器具メーカーの製品保証が無効になる
さらに蛍光灯を点灯させるための安定器の寿命は約10年と言われており、これを超えると故障率が高まるため、LED化ではなく照明器具自体の交換を日本照明工業会は推奨している。詳しくは「直管LEDランプに交換する際のご注意」を読んでいただきたい。
LED化によって使わなくなった安定器も5W程度の電力を消費しているらしいので、安定器を取り外したい所だが、この作業はリスクを伴うので、電気店に依頼した方が無難。そこまでやるなら、器具ごと交換した方が良い。整理すると、賃貸住宅の場合は原状回復できるように工事不要交換型の直管LEDに交換して、退去時には蛍光灯に戻す。LED照明器具への交換や安定器の取り外しをおこないたい時は管理会社に連絡して相談する。持ち家の場合は照明器具の製造年が10年以内であれば工事不要の直管LEDに交換、10年以上経過していればLED照明器具への交換がオススメである。
蛍光灯を直管LEDに交換、赤で囲んだ場所にあったグロー球は外しておくこと
直管LEDは内部にリフレクターを内蔵しており、光の広がりは蛍光灯と同等だった
くたびれた蛍光灯で101ルクスだった明るさがLED化で114ルクスまで上がった。ちなみに台所に必要な明るさは50〜100ルクスと言われている
写真・文/ゴン川野