なぜこんなに、かゆいところに手が届く!?
それにしてもなぜ「情熱価格」商品はこんなに、他社が気づきにくい、かゆいところに手が届くのか。
じつは同社では、自社サイトに「ダメ出しの殿堂」という投稿コーナーを設けており、そこに寄せられたダメ出しをもとに商品開発を行っているという。「ご意見はこちらから」というようなコーナーはほとんどのメーカーのサイトにある。だが同社のサイトの特徴は、誰でもそのダメ出しの内容が閲覧でき、賛同できるダメ出しに「いいねぇ!」が押せ、その数も表示されること。
例えば2022年10月28日時点で、「まるごと剣先あたりめ」について「中の皿みたいのはいらない」というダメ出しに612の「いいねぇ」、「色褪せ知らずの黒スキニーパンツ」には「3L以上のサイズ展開があっていい」というダメ出しに514もの「いいねぇ」がついている。
ダメ出しをしてくる顧客は、その商品の愛用者であることが多く、それだけにダメ出しもツボを突いているため、商品開発に非常に役立つという。そしてそれが、投稿者個人特有の思い込みかどうかは、「いいねぇ」の数でわかるというわけだ。
「いいねぇ」の数の多さが、このサイトの閲覧数の多さを物語っている。つまり「ダメ出しの殿堂」サイトは、情熱価格愛好者のコミュニケーションの場としても機能しているのだろう。このサイトがあることによって、開発側では気づき得ない、かゆいところに手が届いたポイントで商品開発ができ、その意見が採用されたことで商品への愛着も深まる。実にいい循環を生み出しているといえるだろう。