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2023年に竣工・開業する虎ノ門・麻布台プロジェクト、東京の街はどう変わる?

2022.11.10

中央に広大な広場を据え、オフィス、住宅、ホテル、インターナショナルスクール、商業施設、文化施設など、多様な都市機能を融合した「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が、いよいよ来年2023年に竣工・開業する。「森ビル」が、ヒルズシリーズで培ったすべてを注ぎ込んだ「ヒルズの未来形」でもあるというプロジェクトを紹介しよう。

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」のきっかけ

2023年開業する「虎ノ門・麻布台プロジェクト」 (C)DBox for Mori Building Co.

2019年8月に始動し、2023年に新たな街として誕生するのが「虎ノ門・麻布台プロジェクト」だ。コンセプトは、“緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街 – Modern Urban Village -”で、広大な中央広場を中心に、森ビルが理想とする都市の中の都市(コンパクトシティ)が誕生する。

このプロジェクトの計画地は、東西に細長く、高台と谷地が入り組んだ高低差の大きい地形に加え、敷地が細分化され、小規模な木造住宅やビルが密集し、建物の老朽化も進むなど、災害に対しても脆弱であることが、長年にわたり地元の課題になっていた。

そこで、これらの課題を総合的に解決し、道路や公園などのインフラを整備することで、防犯・防災面や交通ネットワークなどの都市機能の更新も実現することを目指している。

地下鉄神谷町駅と六本木一丁目駅を結ぶ歩行者ネットワークも整備され、地形を活かした緑地や大規模広場も整備される。神谷町と六本木一丁目駅間を歩いたことがある人ならわかると思うが、さほど遠くはないものの高低差が大きく、ヒールを履いていたり、荷物が多かったりすると億劫になるルートだ。歩行者の利便性がアップするのはうれしい。

商業施設エリアのイメージ。 (C)DBox for Mori Building Co.

コンパクトシティとしての利便性のみならず、首都である東京が直面する国際都市間競争において、勝ち抜ける魅力ある都市づくりが必須だとの考えもある。

東京が国際競争に敗れ、アジアにおける地方都市となってしまったら、日本経済の再生は極めて困難になる。つまり、日本経済再生には都市再生が不可欠ということだ。

グローバルプレイヤーから「選ばれる都市」になるためには、ビジネス環境のみならず、国際水準の住宅、ホテル、ミュージアムなどの文化交流施設、ショップやレストランなどの商業施設、子どものための教育機関、英語で受診可能な医療機関、緑豊かな自然環境、道路や鉄道などの交通インフラなど、すべての都市機能を徒歩圏内にコンパクトに集約することが重要であり、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」のような大規模都市再生プロジェクトが、極めて有効な手段であるというわけだ。

日本人のみならず、外国人の生活支援や交流施設も整備され、多様な人々の多様なニーズに対応してくれる新たな都市の誕生だ。

緑に包まれたシームレスな「都市の中の都市(コンパクトシティ)」

緑豊かな地形を活かした設計。 (C)DBox for Mori Building Co.

このプロジェクトでは、人の流れや集まる場所をまず考え、街の中心に広場を据え、シームレスなランドスケープを計画したのち、3棟の超高層タワーを配置するという、従来とは逆のアプローチで設計されている。

約6000㎡の中央広場や低層部の屋上を含む敷地全体を緑化し、自然豊かな憩いの場を創出するだけでなく、都市部のヒートアイランド現象の緩和にも寄与する。延べ床面積約861500㎡、オフィス総貸室面積213900㎡、住宅戸数約1400戸、A街区の高さは約330m、就業者数約20000人、居住者数約3500人、想定年間来街者数2500~3000万人で、そのスケールは六本木ヒルズに匹敵する。

オフィス、住宅、商業施設や文化施設がシームレスに。 (C)DBox for Mori Building Co.

世界有数のスモールラグジュアリーリゾートとホテルを擁する「アマン」とのパートナーシップにより、日本初となる都市型レジデンス「アマンレジデンス 東京」が誕生。同じくアマンの姉妹ブランドとなる日本初進出のラグジュアリーホテル「ジャヌ東京」も開業する。

また、チームラボと共同で企画運営する「森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス」もお台場から移転し、オープンする。コンセプトの「境界のない1つの世界の中で、さまよい、探索し、発見する」を継承し、展示作品やアート体験を進化させ、よりボーダレスにすることで、世界の人々を魅了する「東京・日本のデスティネーション」としての地位をさらに強化することを目指している。

「ブリティッシュスクールイン東京」を誘致。 (C)DBox for Mori Building Co.

学びの場として、都心最大規模となるインターナショナルスクール「ブリティッシュスクールイン東京」を誘致。また、ウェルネス分野では、慶應義塾と基本協定を締結し、予防医療センターの拡張移転と共同研究講座を開講が発表されている。医療施設を核として、スパやフィットネス、フードマーケットなどのさまざまな施設との連携のみならず、広場などもプログラムで結び、生活のさまざまなシーンで心と体の健康をサポートする仕組みを構築することで、あらゆる世代の人々が健康に暮らし続けられる街づくりを目指している。現在、森ビル社員を対象にした実証実験も実施中だ。

期待される街の変化

南側エントランスのイメージ。 (C)DBox for Mori Building Co.

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」により、アークヒルズや六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズなど、これまでに森ビルが開発してきた「街」がつながることになる。

港区中心部のエリアには、大使館、文化施設、ミシュランの星を獲得しているレストランが多く、外国人居住者や外資系企業も圧倒的に多い地域でもある。

さらに、環状2号線の開通によって、羽田空港へのアクセスも飛躍的に向上し、複数のヒルズが連携・融合することで、世界から人・モノ・金・情報を惹きつけられる「国際新都心」を形成することを期待している。

時代と共に変化するライフスタイルに合わせ、「ヒルズ」も変化し、進化させている森ビル。緑化やコミュニティ醸成にこれまで以上に取り組みながら、AIやバイオなど、次世代テクノロジーも積極的に導入し、新たな価値観やライフスタイルの提案も行っていく。

「『虎ノ門・麻布台プロジェクト』が完成してヒルズがつながることは、東京と日本経済にとって大きなインパクトを与えるだけではありません。東京から都市と人々のライフスタイルの未来を提案することで、世界に対しても大きなインパクトを与え、世界をあっと驚かせることでしょう。ぜひ期待していただきたい。」(森ビル)

1989年に「街づくり協議会」を設立し、30年という長い年月をかけて計画を進めてきた「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が、いよいよ来年開業を迎える。変化し続けるわれわれのライフスタイルにフィットする新たな街が一体どのようなものなのか、今から期待したい。

・虎ノ門・麻布台プロジェクト
https://www.mori.co.jp/projects/toranomon_azabudai/

取材・文/林ゆり

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