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歩行者が横断禁止の場所を渡ったら罪に問われることはある?

2022.11.06

歩行者と車の交通死亡事故は、1年で1,000件ほど発生しています。警察庁の統計によると、歩行者と車が衝突した交通死亡事故のうち、約7割が横断中だったことが明らかとなっています。車の運転者が歩行者を守る義務があるということは広く知られていますが、歩行者の道路の横断に関する違反はないのでしょうか。今回は、歩行者と車の事故の実態や歩行者の交通ルール・違反について解説します。

歩行者と車の交通事故の実態

警察庁が公開しているデータによると、平成29年から令和3年までの過去5年間で歩行者と車が衝突した交通死亡事故は5,052件発生していました。そのうち約7割の3,588件が横断中に事故に遭っています。また、歩行者横断中の事故のうち、約7割にあたる2,406件が横断歩道以外の場所を横断しているときの事故でした。

横断歩道以外の場所を横断した事故のうち、650件(27%)が「走行車両の直前・直後」、486件(20%)が「横断歩道外横断」、186件(8%)が「その他横断違反」、95件(4%)が「横断禁止場所横断」、352件(15%)が「その他」となっています。一方、違反なしの件数は、637件(26%)でした。

このような統計データからも、歩行者と車の事故では、歩行者のルール違反も関係しているといえるでしょう。

法律に定められている歩行者の横断方法とは?

歩行者の横断方法については、道路交通法第12条「横断の方法」に、付近に横断歩道がある場合は横断歩道を渡ることと、道路標識等により斜め横断できる場所以外での斜め横断をしてはならないと定められています。

ただ、法律で定められた横断の方法は知っていても、歩行者として道路を歩くと、斜め横断や横断歩道以外の場所を渡ったほうが、目的地に早く着けると考えてしまうことがあるでしょう。このようなショートカットしたいと思ってしまう場面では、「少しでも早く目的地に着きたい」や「車両が通っていないから道路を横断しても大丈夫だろう」という心理状態になりやすいです。そのため、斜め横断や横断歩道以外の場所の横断、つまり横断歩道外横断をしてしまう歩行者が後をたたないと考えられます。

しかし、道路標識等により斜め横断できる場所以外での斜め横断、横断歩道以外の場所の横断などをした場合(警察官等の指示に従わず横断した場合)は、2万円以下の罰金または科料が科されることがあります。そのため、少し遠回りになって時間がかかってしまっても、横断すべき場所を渡る方が良いといえるでしょう。

横断が禁止されている場所もある

道路交通法第13条「横断の禁止の場所」には、車両などの直前・直後を横断してはならないと定められています。ただし、横断歩道を横断するときや警察官等の手信号に従って道路を横断する場合は車両の直前・直後を横断しても問題ありません。また、条文には道路標識等によって横断が禁止されている道路を横断してはならないとも定められています。

法律により、横断が禁止されている場所を横断すると(警察官等の指示に従わなかった場合)、2万円以下の罰金または科料が科せられるため、横断禁止場所は渡らないようにしましょう。

道路には「歩行者横断禁止」の標識が設置されている場所があります。これは、複数の車線(車両通行帯)がある道路や車両の通行量が多い道路などに設置されている標識です。つまり、歩行者が横断すると事故になる可能性が高い場所に「歩行者横断禁止」の標識があるということになります。このように、標識がある理由がわかると無理に大通りを横断しようと考えることは減るのではないでしょうか。

自らの命を守るためにもルールを守ることが大切

横断方法の違反は、歩行者が横断すべき場所までの距離が遠かったり、遠回りしたくなかったりするなど、さまざまな理由によってついやってしまうと考えられます。

横断の違反をなくすためには、法律で定められているルールがあること、罰金・科料が科せられる可能性があること、横断が禁止されている場所には禁止している理由があることを知ることが大切です。このようなルール・法律や罰則がある理由を理解することは、自らの命を守ることにも繋がります。安全な交通社会を実現するためにも、無理な横断はしない方が良いといえるでしょう。

取材・文/齊藤優太

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