長いマスク生活が続くなか、以前より注目度が高まったのが、マスクから見える「眉」と「目」だ。アデランスが2021年2月に全国の20~60代男女4888名に行った調査によると「コロナの流行前と比べて、他人の顔について目がいくようになった部分はありますか?」という質問に対し、男女共に圧倒的1位が「目元」という回答になった。
一方で、株式会プラスエイトが2022年4月に1024人を対象に行った「男性の眉毛にまつわる悩み」に関する調査によると、67%の人が、自分で眉を整える際に苦労することが「よくある(21.8%)」「たまにある(45.2%)」と回答。「太さの調整」や「形の調整」「形を左右対称にする」ことなどに苦労していることがわかる。
より見られやすくなったパーツであるにも関わらず、特に男性は自分でのお手入れに苦労している人が多い「眉」。その解決方法のひとつとして注目が高まっているのが、プロにお手入れをしてもらう眉毛サロンだ。
眉毛サロンでは実際にどんなサービスを受けられ、どんなニーズが高まっているのか? 全国で56店舗を展開するビューステージ アイブロウサロンの担当責任者、アデランス ビューティ&ヘルス事業推進部の部長の岸 富士雄さんに話を聞いた。
眉毛サロンの顧客の1割は男性
アデランス ビューティ&ヘルス事業推進部 部長の岸 富士雄さん
アデランスは2016 年、髪だけではなく美容と健康のブランドという位置付けで「ビューステージ(BeauStage)」を立ち上げた。
長年、髪や頭皮に関して大学やパートナ―企業との共同研究を進めるにあたり、そのノウハウを髪の毛だけではなく、スキンケアやスカルプケア、ボディケアにも拡げ、トータルビューティのサポートとして生かすべくつくられたブランドだ。
その取り組みの一つとして、上記の「目元への注目度が高まっている」という調査結果をうけ、既存のレディスアデランスの店舗内にビューステージ アイブロウサロンをスタートした。
レディスアデランス内にオープンしたことからもわかるように、当初は女性客をターゲットに据えての開業だった。しかし実際に蓋を開けてみると「店舗自体は女性専用のサロンにも関わらず、眉のお手入れのお客様のうち1割は男性(岸さん)」だそうだ。
1店舗目のオープンから2年弱経過した今、全国のレディスアデランス内に続々とビューステージ アイブロウサロンを展開しているが、これまでの新規来店客数の累計は約7万1000名。単純に1割とすると、7100名の男性が、入るのにハードルが高そうな女性専用サロン内にある眉毛サロンへ足を踏み入れたことになる。
どんな男性客が多いのか聞いてみると
「20代前半くらいの若いお客様と、外で営業をされているようなスーツを着てビジネスバッグを持った、いわゆる普通のサラリーマンのお客様の2パターンです」と岸さん。
どんなオーダーが多いのかについては
「女性のお客様は、ある程度『流行のこういう形にしたい』と具体的なオーダーがあるのですが、男性のお客様は『もう任せます』という方がほとんどです」とのこと。
何か眉の手入れをしたいが、どういった形がいいのかわからず、その判断も含めてプロにお任せできることに価値を感じている人が多いのだろう。
ビューステージ アイブロウサロンの施術内容は?
眉毛サロンとひとことで言っても、サロンによって受けられるお手入れはさまざまだ。単純なカットでの整えから、皮膚の表面にインクを入れて一定期間定着させるアートメイクまで幅広いメニューがあり、内容も価格も変わってくる。
ビューステージ アイブロウサロンの基本メニューは、眉ワックス脱毛+眉スタイリングという60分のメニューで、基本料金8000円(税込)だ。といっても現在はWEB予約やアプリ予約を使うと、男性は新規来店の場合は4000円(税込)、再訪の場合でも4500円(税込)で施術が受けられる。60分4500円というと、巷のマッサージ店の平均的な価格より安い。
店舗を訪れると、ます最初はカウンセリングからスタートする。
「基本的な流れはありますが、当店の特徴として、このカウンセリングをしっかりと行うという点にあります。左右の高さが違う、どういう雰囲気にしたいなど、お客様の眉毛に関するお悩みをヒアリングして、どういった解決方法があるかを説明する流れになります」(岸さん)
眉毛に関する悩みはどうしたら解決できるのか、実際に顧客の眉に解決策となる形をガイドラインとして描いて見せ、それに合意が得られたら、ガイドラインから外れた産毛などをワックス脱毛で処理し、形を整えていく。
ガイドラインを描き、眉の高さが違う悩みなども解決していく
ガイドラインからはみ出た眉毛にワックスを塗る
また、眉毛の濃さが悩みの人には、眉を抜いて毛の量を減らす行程が加わることもある。
そして作った形に対して眉毛メイクを施すのだが、実際に顧客が鏡を見ながら自分でできるようアドバイスを加えながらの施術となる。これでトータル1時間だ。
左/施術前、右/施術後。洗練された印象になった。
強みは圧倒的コスパと培った技術力
オープンから2年弱、コロナ禍と共に何か変化はあったのか聞いてみた。
「当店に関してというより、アイブロウ(眉毛)というジャンルに関して、他社のさまざまな調査を見ても、色んな数字が右肩上がりになっていると感じています。市場に関しては、ヘアサロンやまつ毛サロン、ネイルサロンの方など、異業種の方も参入してきて、一気にレッドオーシャン化した印象です」(岸さん)
レッドオーシャン化していた眉毛サロン市場の中で、ビューステージ アイブロウサロンはどう戦っていくのかと問うと「実はその点については、課題として捉えていない」そうだ。
「ビューステージ アイブロウサロンは、アデランスが元々もつ店舗の空いているスペースで運営をしているのも特徴のひとつです。そのため、運営コストをある程度抑えられるため、お客様からも『コスパがいい』といったお声をよくいただきます。」
実際に、ホットペッパービューティなどで眉毛サロンの料金を見てみると、近い施術を受けると、初回料金はビューステージ アイブロウサロンとあまり変わらない店舗も多いが、通常料金は1000~3000円程度高い印象だ。
この圧倒的コスパに加え、「レッドオーシャンであることは課題と捉えていない」と岸さんが言い切るには、もうひとつ理由がある。アデランスが長年、髪に関するノウハウを長年蓄積してきた企業であるということだ。
「カウンセリングや毛に関する技術的なノウハウは、他社様に比べると雲泥の差のレベルを持っていると自負しております。そして施術のお手入れで使う化粧水ひとつとっても、すべてオリジナル商品を使っているのも、差別化のひとつになっているのかなと思います。まつ毛の美容液や薬用眉毛育毛剤も発売したところです。」
今年の9月に発売した薬用眉毛育毛剤、ビューステージ アイブロウエッセンス メディケート(医薬部外品)4950円(税込)。眉の薄毛・脱毛を予防し、眉毛の毛根を保護し育毛する。発売から間もないにも関わらず、すでに好評判を得ているそうだ。
今後の展開に関しては「現在全国に約160あるレディスアデランスの全店舗のうち、56店舗にビューステージ アイブロウサロンを導入していますが、全国の各都道府県に1店舗は出店することを目指しています」とのこと。
競合他社は気にならないとのことだったが、自店舗内での課題はあるのだろうか?
「本当はひと月に1回を目安に通っていただくと、清潔感のある状態を保てるのですが、現在ありがたいことに、予約の取れにくい時間帯が多く、あまり『また来てください』とお伝えしても『予約とれないじゃん』というクレームに繋がったこともありました。なので、一度来ていただけたお客様が次にすぐご来店いただけない場合も想定して、ご自宅でできる、次の来店までもたせる簡単なケア方法もお教えしております」
これだけ至れり尽くせりで抑えめ価格とあっては、実施店舗は女性専門店というハードルを超えても通う男性客がいるのも納得できる。
眉毛サロン選びで気にすべきこと
もし通える範囲にビューステージ アイブロウサロンがない場合、数ある眉毛サロンの中から、どこを選べばいいのか迷ってしまう。
編集部調べによると、現在、眉毛ケアは新しい市場のため、業界の統一ルールがないのが現状だ。気にしたいポイントのひとついえるのが、施術者が美容師免許を所持しているかどうかだ。
厚生労働省が定めている美容師法では、美容行為を仕事にするには美容師免許が必要と定められており、美容行為とは、一般的に“首から上の施術”と定義されている。
しかし昔につくられた法律で、解釈も各都道府県によりばらつきがあったりして、美容師免許を持たなくても眉の施術をすることが、グレーゾーンとなっているのが現状なのだ。
そのため、美容師免許を持たないネイリストがネイルの施術と同時に眉の手入れをオプションメニューでつけるなど、異業種からの参入が多くなっている。
美容師免許がない=危険とは一概には言えないが、顔周りで目や髪の毛に近いパーツに薬品を使うような施術のため、美容師免許のように、首から上の施術についての注意点や、発生しうるトラブルについて、勉強してきて知識をもつ人のほうが安心感がある。
ちなみにアデランス ビューステージの施術スタッフは、全員美容師免許を持っているそうだ。
垢ぬけて清潔感がアップした印象になれる眉毛サロン。価格の安さだけでなくどんな内容をどんな人が施術してくれるのか、しっかり見極めた上で、ぜひトライしてみてほしい。
・アデランス ビューステージ アイブロウサロン
https://www.beaustage.com/shop-eyebrow
取材・文/安念美和子