ニューデリー市内の道路の様子
インド経済の活動再開と半導体不足の緩和を受けて、同国の自動車販売が急回復している。各種報道によれば、4~9月の乗用車販売は193万台、前年同期比40%増と、同期間の過去最高となった。
それでもインドの乗用車普及率は8.5%と、極めて低水準にとどまっており、今後中間層の増加に伴い自動車販売は長期的な拡大が見込まれる。政府の支援策の後押しもあり、更なる発展が期待される『自動車産業』に注目だ。
そんな中、三井住友DSアセットマネジメントは、「販売が急回復、有望なインドの『自動車産業』」と題したマーケットレポートを公開した。詳細は以下のとおり。
インドの自動車販売は急回復
各種報道によれば、9月のインドの乗用車販売台数は30万台と、前年同月比で92%増を記録した。また、2022年4~9月の乗用車販売台数は、前年同期比40%増の193万台と、同期間の過去最高となった。経済再開や半導体の供給不足緩和などを受けて、インドの自動車販売は急回復している。
また、2021年の世界全体の四輪車販売台数は、前年比5%増の8,268万台となり、コロナショックで急減した2020年から小幅の回復にとどまった。こうしたなか、インドは28%増の375万台と、高い伸びを示した。今やインドは販売台数で世界4位の自動車市場の規模を誇る。
インドの乗用車普及率は極めて低水準
インドの自動車販売が堅調なのは、コロナショックからの経済再開や半導体の供給不足緩和のほか、経済成長によって生活水準が向上し、自動車購買層が拡大していることがあると考えられる。
ユーロモニターによれば、人口大国のインドは、一世帯当たりの乗用車保有率が8.5%と極めて低く、自動車市場はまだまだ拡大余地が大きいと考えられる。中間層の増加につれ自動車販売は長期的に拡大するとみられる。
【今後の展開】政府は『自動車産業』を政策で後押し、更なる発展が期待される
インド政府は、ものづくり国家の実現を目指す「メイク・イン・インディア」のスローガンの下、国内製造業の振興に取り組んでいる。完成車メーカーや自動車部品などすそ野が広い『自動車産業』には、補助金等の支援策を導入している。また、環境対策の推進のため電気自動車(EV)の普及政策も積極的に推し進めており、政府支援策の後押しを受けてインドの『自動車産業』は更なる発展が期待される。
国連の人口推計によれば、インドは2023年に中国を抜き世界第一位の人口大国となると見込まれている。今後、自動車の購買層である中間層の人口が増加することに加え、経済発展に伴い道路をはじめとしたインフラ整備が一段と進むこともあり、インドの『自動車産業』は存在感を高めそうだ。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい