仕組債とは?
仕組債が、通常の債券より高い利回りで運用できる商品だ。ここにきて、販売を停止または自粛する金融機関が増えている。
仕組債は、会社が発行する社債の一種だ。社債は発行会社が倒産しなければ満期で元本が戻り、その間利息を受け取ることができる。仕組債は発行会社は倒産しないような信用力の高い会社が発行するため、倒産リスクは低い。その代わり、ちょっとしたルールが設定されており、その決められたルール上、元本が割れる場合と、満期で元本が返ってくる場合とがある。
例えば、デュアル・カレンシー債は、為替によりそのルールが決められている。発行時の為替レートが1豪ドル=148円なら、その発行時の為替より3円円高つまり145円になると発行時148円で豪ドルを買ったとした豪ドルで返ってくる。それ以外の場合は元本が返ってくるルールだ。このルールがあることとで、普通の社債と比べるとはるかに高い金利で受取利息が受け取れる。
仕組債で問題とされるリスク
①途中換金できない
仕組債は基本的には途中換金できない。デリバティブ取引を内包している商品であるため、途中換金できる場合でも投資金額より非常に少ない金額でしか返ってこない。
②状況によってはリスクが高すぎる
前述したデュアル・カレンシー債は、円高になって豪ドルで返ってくるなら、そもそも豪ドル建ての債券や預金に預けた方がいつでも円安時に換金できて、為替差益を得やすい。
また、仕組債の受取利息受取側が最も利益を得られるのは、対象とする為替や株式の株価、日経平均株価が上がらなかったり下がらなかったりするときだ。どちらか一方に上がるか下がるかする場合、上がればその対象となる株式を買った方が利益を大きく得られるし、下がるなら受取利息の金額に見合わない大きな損失を被る可能性がある。
③仕組が難しい
投資が慣れている人には、ルールやリスクを適切に理解できるが、投資の経験が浅いまたは初心者にとってはルールとリスクを理解するのが難しい。特に、EB債や日経平均リンク債と呼ばれる株式に連動する仕組みのものは、元本が割れるときや受取利息が少なくなる時のルールが分かりずらく、また元本が割れないかどうかの見通しを立てるのは投資初心者には難しい。
仕組債が販売停止に
金融庁は2022事務年度の金融行政方針で、顧客からの苦情、相談が絶えない仕組債の販売体制やガバナンスを検査することにした。これを受けて、野村證券、大和証券は販売停止、その他証券や銀行で勧誘停止や制限を加えている。
仕組債は、顧客が直接手数料を支払うことはないものの、デリバティブ取引を内包している性質上、普通の社債に比べて金融機関に入る収益が高く、販売員へのインセンティブも高い。そのため、これまで販売に力を入れていた金融機関も多い。
しかしながら、商品の性質上、投資経験を積んだ人でないと、説明を受けたとしてもその仕組みを理解したうえでさらにそのリスクとリターンが見合っているか、元本が欠損しないタイミングを見極めることは難しい。さらに、換金性が著しく低い。
仕組債の販売するうえできちんとした説明がされなかったのはそもそも論外だが、どの金融機関も仕組債についてきちんと説明しているのがほとんどだと考えられる。
しかしながら、その仕組みの複雑さや相場状況によってはリスクが高すぎることから、金融機関の方でも説明するだけでなく、「仕組債の仕組みを理解できるかどうか」「元本欠損しても大丈夫な資金から投資されているか」「仕組債の投資をするべきタイミングかどうか予測でき、もし予測通りにならなかったときの損害をイメージできるか」まで考えなくてはいけない時代になったかもしれない。まずは、投資初心者には一律に勧誘を行わないなどのルールが設けられる可能性がある。
(参考)
日経新聞2022年10月12日「仕組み債、収益依存が高い地銀集中的に検証 金融庁」
日経新聞2022年10月6日「野村證券と大和証券、個人向け仕組み債の販売停止」
文/大堀貴子
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