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【Licaxxxの読書×鑑賞文・第15回】話題のSF映画「アフターヤン」でじんわりと過ごす90分

2022.10.31

■連載/Licaxxxの読書×鑑賞文【第15回】映画『アフターヤン』でじんわり過ごす90分

制作会社A24の送り出してくる作品たちは、全然外れがない。すごい。

少し出かけられる程度のまとまった時間が空いたら、まずチェックするのは映画だ。その中でもとりあえず予告をチェックするのはA24が作っている作品。いろいろなジャンルがあるし、全作品を見れているわけでもないが、ここ5年くらいでこのなんとなくのノリで新作を見る、と言うやつは年に3、4本くらいやっているけど、安定と信頼の映画体験を享受している。

コゴナタ監督ならではの心地良い映像体験

『アフターヤン』<あらすじ>

“テクノ”と呼ばれる人型ロボットが、一般家庭にまで普及した未来世界。茶葉の販売店を営むジェイク、妻のカイラ、中国系の幼い養女ミカは、慎ましくも幸せな日々を送っていた。しかしロボットのヤンが突然の故障で動かなくなり、ヤンを本当の兄のように慕っていたミカはふさぎ込んでしまう。修理の手段を模索するジェイクは、ヤンの体内に一日ごとに数秒間の動画を撮影できる特殊なパーツが組み込まれていることを発見。そのメモリバンクに保存された映像には、ジェイクの家族に向けられたヤンの温かなまなざし、そしてヤンがめぐり合った素性不明の若い女性の姿が記録されていた……。(『アフターヤン』公式サイトより引用)

これもなんとなくで調べ、『LAMB/ラム』と迷ってまずこっちを見た。監督は『コロンバス』のコゴナダ監督。建築好き、空間が好きな人にはたまらない圧倒的なセットと住宅、プロダクトの美しさでずっと見ていたい気持ちになる。時間としての空白だけでなく、絵のなかの空間としての空白や余白を使うもの上手い。上手いというか、とにかく心地よい映像体験。

今回の『アフターヤン』は短編SF小説が原作だ。ヒューマンドラマの短編SFの映像化で私が好きな点は、まず映像の世界観から前後の物語までを監督が創造しなければならないところ。映像の中には現在には存在しないが、現実みのある未来のプロダクトや映像の作り方に、その人自身の解釈や緻密さが如実に現れると思う。

プロダクトや未知のもののフェイスについては、SF全般において言えるが、より現実に近い設定の場合に、邪魔されずに入り込める設定や絵作りに関して、コゴナダ監督は適役だし素晴らしい感性だなと思った。特に移動に使っている乗り物のシーン。全容を見せずに未来であると言うことだけを残していて、結果として会話を際立たせているのが好き(予算が莫大な映画だったらこうはなってないかも)。

観客も観ながら想像し、考える

もうひとつ好きな点は、観客が待つことなく想像していかないといけないところ。スペースオペラのように続編を待ったりしない。映画の中で繰り広げられるひとつの出来事から、考えたり、先を想像したりすることが求められる。

今回も謎が解き明かされつつも、今後が、もしくは他の事例が、気になる展開ではある。人間らしさ、感情、AI、たくさんの作品にあるテーマだが、時代や場所の設定を変えた視点で考えるそれらに、私は毎回、浪漫を永遠に感じています。なのでロードムービーとかが好きな人にはおすすめです。

今回は、人間らしさや感情についてのたくさんのヒントが散りばめられていたのだが、特にヤン自身の質問や考え方が好きだった。知識があるのにピュアで、それは真っ直ぐすぎると言うわけでもなくて、考えながら紡いで行っているうちに、感情的な考えが促されていっているような。

生きている年数にしたら実はヤンはめちゃくちゃ経験値があることが、そこでじんわり滲んでくる。たとえば代わり映えのない日々とか、当たり前の生活とか、繰り返しているだけでも感情的な積み重ねは生まれるのかもしれないと思った。中国茶的なものが映画内で扱われているけど、まさに中国茶のお茶を入れたり飲んだりする時間の過ごし方のような映画だと思います。

最後にひとつ付け加えると、公式の予告映像にあるのでもはやネタバレではないと思うが、突然ダンスシーンが挟まるのもめちゃくちゃ好き。どんな話にも想像の斜め上な遊び心の演出をかましてくる点はA24作品の共通点かもしれない。

・映画『アフターヤン』公式サイト
https://www.after-yang.jp/

連載:「Licaxxxの読書×鑑賞文」記事一覧

文/Licaxxx

Licaxxx
東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ・ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操り、大胆にフロアをまとめ上げる。2016年にBoiler Room Tokyoに出演した際の動画は50万回以上再生されており、Fuji Rockなど多数の日本国内の大型音楽フェスや、CIRCOLOCO@DC10などヨーロッパを代表するクラブイベントに出演。日本国内ではPeggy Gou、Randomer、Mall Grab、DJ HAUS、Anthony Naples、Max Greaf、Lapaluxらの来日をサポートし、共演している。さらに、NTS RadioやRince Franceなどのローカルなラジオにミックスを提供するなど幅広い活動を行っている。さらにジャイルス・ピーターソンにインスパイアされたビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。若い才能に焦点を当て、日本のローカルDJのレギュラー放送に加え、東京を訪れた世界中のローカルDJとの交流の場を目指している。また、アンビエントを基本としたファッションショーの音楽などを多数制作しており、近年ではChika Kisadaのミラノコレクションに使用されている。
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