会員に優先的な予約やサービスが受けられるリゾート会員権。今回はリゾート会員権についてメリット、デメリット含めて解説する。
リゾート会員権とは?
リゾート会員権は、リゾートを割安に、ビジターより優先して予約できる権利を持つことができるものだ。
別荘の場合には、その購入費用も高く、維持管理するのも大変だが、リゾート会員権なら別荘ほど高くなく、全国または提携する海外のリゾート地を管理の手間なく優先的に利用することができる。
リゾート会員権には大きくわけて、所有権型と利用権型がある。
所有権型は、リゾート利用権にそのリゾートの不動産の権利も保有することになる。その不動産部分は登記が必要となり、資産としての性格も併せ持つ。リゾート運営会社が倒産しても、その不動産はなくならないためその分の価値はなくならない。その分、不動産取得税、固定資産税の支払い義務が生じる。
一方、利用権型は、リゾートの利用権のみを購入することになるため、所有権型に比べて割安で、登記は不要で、不動産取得税や固定資産税の支払い義務はない。
利用権型(預託金型を除く)は売却できるものもあるが退会時価値がなくなることがほとんどだ。利用権型のうち、預託金型は高くなるが退会時または一定期間経過後はその預託金が全額返還される。ただし、リゾート運営会社が倒産するとその全額が返還されない可能性がある。利用権型には、ポイント制やタイムシェア制のものもあり、予約できる期間や部屋をポイントや期間で制限することにより、より割安に購入できる。
リゾート会員権を保有するメリット・デメリット
リゾート会員権のメリット、デメリットは以下の通りだ。
■メリット
・別荘よりも安く、管理が簡単
・会員のみが利用できるホテル、サービス、施設がありステータス性がある
・会員向けサービスのクオリティが高い
・ビジターより安い価格で利用できる
・ビジターより優先して予約することができる
・所有権型なら資産として保有できる
・相続できる
■デメリット
・相対取引であるため、簡単に売却できないことがある
・運営会社が倒産すると資金が全額返ってこない
・年会費が3~50万円と高額であるため、利用していないと損
・所有権型の場合不動産取得税、固定資産税がかかる
・引っ越しして利用が難しい地域に住むことになった場合不便
・基本ローンで購入することができない
・損をしても税務上の優遇はない
上記より、リゾート会員権の対象となるリゾートを毎年利用することでメリットは大きくなる。
相場は?
リゾート会員権の相場はどうだろうか。バブル時には今の2倍以上していたというのはざらである。新型コロナ感染拡大で一時下がったものの、その後は上がっている。
リゾート会員権販売仲介のe会員権によると、7月の平均価格は368万円と前月に比べて3.4%下がり、このところの物価上昇により購入意欲が一時低下したが、8月には活発となり需要は底堅く推移しているとのことだ。
最近では国内旅行が復調し、コロナ渦前の2019年水準までは戻っていないものの、2022年は前年比から大きく伸び、2019年の6~7割まで回復している。日本での隔離期間が撤廃されたことにより訪日客も増加する見込みで、優先的に予約が取れるまたは会員のみ利用でき、クオリティの高いサービスが受けられるリゾート会員権は底堅く推移するものと思われる。
(参考)日本経済新聞 2022年9月2日 朝刊
国土交通省 観光庁 旅行・観光消費動向調査
旅行・観光消費動向調査 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁 (mlit.go.jp)
売却したときは?
リゾート会員権は、ゴルフ会員権と同様ぜいたく品として、厳しい税制となっている。リゾート会員権は総合譲渡として取り扱われ、損をしても同じ総合譲渡(金の売却益やゴルフ会員権の売却益など)とは損益通算できるが、他の所得とは損益通算することはできない。売却益が生じたときは、5年超保有したかどうかで計算が変わる。
■所有期間5年以下
譲渡所得=売却価格―(売却費用+取得費)
■所有期間5年超
譲渡所得={売却価格―(売却費用+取得費)―特別控除最高50万円}×1/2
※取得費は入会金を含み、年会費は含まない。
※預託金型で預託金の切捨、償還損があっても何も考慮できない。預託金の一部切捨てがあっても取得費は変わらない。
上記の利益が他の所得と合わせて合計して確定申告し、超過累進課税により課税される。
一方、リゾート会員権で所有権型の場合には、不動産部分は不動産の譲渡とされるため、その部分は他の所得と区分して分離課税で課税される。
■分離譲渡所得
・建物部分 売却価格-(減価償却後の価格+取得費用+売却費用)
・土地部分 売却価格-(購入価格+取得費用+売却費用)
売却した年の1月1日時点で所有期間5年超過どうかで短期か長期か判断し、それにより所得税の税率が30%または15%になる。こちらも損をしたとしても、他の所得と相殺はできない。
文/大堀貴子
取材・文/松岡賢治
DIME11月号の特集は「値上げに負けない!攻める節約と守る投資」
DIME11月号は「攻める節約、守る投資」の大特集。特別付録は、キャンプ、BBQ、防災用、ジム、サウナ、さらに、エコバッグとしても使える10L大容量の「ドラえもん DRY BAG」です。IPX6相当の防水性能で、大事な荷物が雨や水しぶきで濡れるのを防いでくれるスグレモノ。密封性が高いので、湿ったり汚れたりした衣類などをしまうのも安心。雨が降りそうな日に自転車で移動する時にも便利です。
キャンプやジム、サウナといった時に重宝するほか、水の備蓄や停電時のランタンとしても使えるなど、ドラえもんの”ひみつ道具”みたいに便利なアイテム! 雑誌の付録とは思えないクオリティーの「ドラえもん DRY BAG」をぜひ、ご活用ください!
■最新号の大特集
不透明な時代を生き抜く賢いお金の増やし方を詳解
攻める節約 守る投資
●貯金は9割「米ドル」に回す
●GAFA株よりNTT株
●都心マンションより「ボロ戸建て」
●1日500円の仮想通貨積立
●副業で光熱費カット
●目からウロコの節税テク
●今すぐ解約すべき生命保険 and more!
【Amazonで買う】