スマートフォンの相棒として広まりつつあるスマートウォッチ。アップルの「Apple Watch」シリーズはその代表格で、フォーマル、カジュアル問わず、様々なシーンでユーザーを見かけるようになりました。
そんなApple Watchは、2022年9月16日に第8世代「Apple Watch Series 8(以下Apple Watch 8)」を発売。Apple Storeや通信4キャリア、ECサイトといった、様々な場所から購入できます。
Apple Storeでの販売価格は5万9800円となっており、これまでApple Watchを含むスマートウォッチを使ってこなかった人にとっては、少々高く感じるかもしれません。他社のスマートウォッチにも、iPhoneと接続できるモデルは多く販売されていることもあり、「Apple Watchである理由」が、購入の決め手としてほしい人も多いでしょう。
そこで本記事では、最新モデルであるApple Watch 8を実際に試しながら、Apple Watchならではの特徴や、便利なポイントをご紹介します。
ちなみに筆者は、普段Androidスマートフォンをメインで使用していることもあり、Apple Watchシリーズは何度か試したものの、普段使い用に定着していない状態。今回は、iPhone×Apple Watchの組み合わせをメインに据え、1か月ほど利用しているので、Android系スマートウォッチとの違いについても注目していきます。
デザイン・装着感
Apple Watch 8は、シリーズの定番ともいえるスクエア型のディスプレイを採用。サイズは、41mmモデルと45mmモデルの2つがあり、今回は45mmモデルを使用しています。解像度は41mmモデルが352×430、45mmモデルが396×484となります。
スマートウォッチは、Apple Watchシリーズを代表とするスクエア型と、より一般的な腕時計に近いラウンド型に大別されます。時計らしいデザインというとラウンド型になりますが、通知やアプリなどのコンテンツを表示する場合、角まで表示領域として確保できるスクエア型は、“スマートウォッチらしい”デザインといえます。慣れるのに時間がかかるかもしれませんが、利便性を考えると、Apple Watchの形状はかなり合理的といえます。
本体の素材は、アルミニウムとステンレススチールの2種類から選択可能。今回はアルミニウムケースを使用していますが、ぱっと見ではステンレススチールケースと大きく変わらない印象。もちろん、細かいところまで確認すれば光沢感に違いがありますが、個人的にはより安価に購入できるアルミニウムケースでも、十分満足感が得られています。また、アルミニウムケースのほうが軽量なため、長時間の着用でも疲れが出にくいというメリットもあります。
本体側面には、回転させてスクロール、押し込んでアプリ一覧が表示される「デジタルクラウン」と、過去に起動したアプリ一覧が表示できるボタンが備えられています。ボタンは、側面とフラットになるように浅い設計になっているため、若干押し込みにくい印象もありますが、使用頻度はそこまで高くないので、不便に感じるシーンは少ないでしょう。
機能
Apple Watch 8を使い始めて、まず便利に感じるのが、簡単にiPhoneとつながる点。Apple Watchシリーズだけではなく、AirPodsシリーズやiPadシリーズ、Macシリーズなど、アップル製品全般にいえることですが、Apple IDで簡単にアプリやデータが同期される様は圧巻。接続したiPhoneにインストールされているアプリの中から、Apple Watchで使用できるものが自動的に登録されていくため、すぐに使い始められるのも魅力です。
健康管理機能としては、心拍数の測定や睡眠モニタリング、血中酸素濃度の測定など、近年のスマートウォッチに搭載されることの多い項目を全部乗せといった印象。収集したデータは、「ヘルスケア」アプリより確認できます。
Apple Watch 8より新たに、皮膚温センサーが搭載されていますが、主に女性の月経周期などをサポートするための機能になっているので、有用性は試しきれず。詳細は割愛させていただきます。
新機能として注目は、自動車事故を検出する「衝突事故検出」機能でしょう。こちらも試せてはいませんが、緊急時に役立つ新しい機能が追加されているという意味では、Apple Watchの有用性がさらに向上しています。
普段Android系のスマートウォッチを使用している筆者が、今回Apple Watch 8を使用していて特に便利に感じているのが、充実した決済機能です。
Android系のスマートウォッチの場合、ガーミンやGoogle Pixel Watchといった一部機種でSuicaの登録ができますが、まだまだ少数派。Apple Watchの場合、Suicaの登録はもちろん、au PAYといったバーコード決済や、iD払いも気軽に行えるので、財布やスマートフォンを取り出すことなく、手軽に買い物を終えられるのが魅力です。また、iPhoneのウォレットアプリに登録しているカードであれば、簡単に使えるのも、Apple Watchならではでしょう。
au PAYアプリ。「バーコート」や「QRコード」のアイコンをタップすれば、Apple Watch上に表示できる
もう一点紹介したいのが、iOS 14.5以上を搭載した、Face ID搭載のiPhoneと、watchOS 7.4以降を搭載したApple Watchで使用できる、マスクやサングラス着用時にiPhoneのロックを解除できる機能。世界情勢的には、徐々にマスク生活を脱する流れもありますが、新型コロナウイルス対策以外にも、風邪の予防や花粉対策のためにマスクをする機会が多い人にとっては、有用な機能といえます。個人的にも、指紋認証のないiPhoneの使い勝手には若干不便があったので、Apple Watchで解決できるのはありがたいポイントと感じています。
Apple Watchを使用していて、唯一ともいえる悩ましいポイントが、最大18時間のバッテリーの持続時間。24時間、体の状態をチェックする健康管理機能などを踏まえると、電池を消費することへの納得感もありますが、睡眠モニタリング機能を活用するため、就寝時にも着用すると考えると、充電のタイミングが難しく感じてしまいます。また、外泊などに専用の充電機を持っていく必要があるのも、少し気になります。
Apple Watch 8の魅力は接続性と決済機能! 価格とバッテリー性能を許せれば買いか
紹介してきた通り、Apple Watch 8は、前モデルから大きく変わらないデザインながらも、iPhoneと簡単に接続できる点や、決済サービスの使いやすさが魅力の製品。第8世代となり、細かなポイントまで洗練されている印象を受けています。
価格とバッテリー性能が気になるポイントではありますが、iPhoneの使い勝手をさらに向上させるデバイスとして、多くの人におすすめできる製品であることに間違いありません。特に価格面がネックという人は、機能面で若干劣るものの、Apple Watch 7以前のモデルや、廉価モデル「Apple Watch SE」などから手を出してみるのもありでしょう。
取材・文/佐藤文彦