■連載/綿谷さちこのクレカの強化書
2022年10月11日より、『ことら送金』サービスがスタートした。これは10万円以下のお金を個人間でやり取りできる送金サービス。いったいどんなサービスなのか?
「ことら送金 ローンチ記者発表会」にゲストとして登場した関根勤と関根麻里親子。
携帯電話番号で送金できる手軽な個人間少額送金サービス
『ことら送金』のような個人間少額送金サービスは、海外でインスタントペイメントと呼ばれ、今では世界中で利用されている。365日いつでも支払いができ、リアルタイムでお金のやり取りができるところが便利だ。
日本では今から50年近く前に、全国銀行データ通信システム(全銀システム)ができ、オンラインによる銀行振込が開始。2018年には深夜でも振込ができるようになったものの、相手の口座番号がわからなければ振込はできず、振込先によっては振込手数料も必要になる。
そこで簡単、便利でお得、いろいろなアプリで利用できる多頻度小口決済の新たなインフラとして、メガバンク5行が株式会社ことらを設立。10月11日より、『ことら送金』サービスがスタートした。特徴は3つあり、携帯電話番号だけで簡単に送金でき、今までの銀行振込よりもお得。そして相手のアプリを気にせず送ることができる点だ。
『ことら送金』を利用できるアプリは、銀行ダイレクトアプリや銀行系決済サービスアプリの8つ。年内にいくつか増える予定で、銀行以外のノンバンク決済サービス事業者との連携も検討中とのことだ。
●『ことら送金』が利用できるアプリ
Wallet+、こいPay(広島銀行)、J-Coin Pay、はまPay(横浜銀行)、BankPay、YOKA!Pay(熊本銀行)、YOKA!Pay(十八親和銀行)、YOKA!Pay(福岡銀行)
この8つのアプリによって、10月11日時点で20行が『ことら送金』に対応。以降も対応銀行は増え、合計57行になる予定だ。この結果、約2億1000万の個人口座が『ことら送金』によって繋がることができる。
●10月11日より『ことら送金』に対応予定の銀行
足利銀行、関西みらい銀行、熊本銀行、埼玉りそな銀行、佐賀銀行、山陽合同銀行、十八親和銀行、十六銀行、常陽銀行、南都銀行、百五銀行、広島銀行、福岡銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みなと銀行、山梨中央銀行、横浜銀行、りそな銀行
●11月24日より『ことら送金』に対応予定の銀行
北九州銀行、京都銀行、きらぼし銀行、静岡銀行、七十七銀行、千葉銀行、西日本シティ銀行、北陸銀行、北海道銀行、もみじ銀行、山口銀行
●以降、『ことら送金』に対応予定の銀行
愛知銀行、阿波銀行、伊予銀行、愛媛銀行、香川銀行、鹿児島銀行、紀陽銀行、群馬銀行、高知銀行、あおぞらネット銀行、四国銀行、静岡中央銀行、新生銀行、千葉興業銀行、中国銀行、徳島大正銀行、栃木銀行、名古屋銀行、八十二銀行、肥後銀行、百十四銀行、北洋銀行、Minna no Ginko、武蔵野銀行、琉球銀行
振込手数料は利用するアプリによって異なるものの、手数料無料で利用できるサービスもあり、従来の銀行振込に比べて便利に利用できる。
銀行口座直結の複数のアプリでお得に利用できる
個人間のお金のやり取りは、様々なシーンで発生する。例えば、複数人で一緒にご飯を食べた時の割り勘や、コンサートや舞台のチケットなどの立て替え、グループで一緒にお祝いを贈るなどだ。
筆者はそんな時、『PayPay』の送金サービスをよく利用している。手数料不要で無料で利用でき、スマホで簡単に操作できる。とはいえ、『PayPay』のユーザー同士でしか使えないところがネック。しかも送金サービスで得た残高は、『PayPay』で利用することが基本となる。銀行に出金する場合には、100円の手数料がかかってしまうからだ(PayPay銀行除く)。
『PayPay』に限らず、様々なコード決済サービスが個人間の送金サービスを提供しているが、同様の不便さがある。
『ことら送金』でもアプリの利用は必要になるものの、現時点で8つの選択肢がある。しかも対応アプリは銀行口座直結のサービスなので、通常の銀行振込と同じように、送金された残高を自由に利用できる。
筆者は家賃振込口座の残高が少なくなったら、メイン口座からお金を引き出し、家賃振込口座に入金しているのだが、『ことら送金』はこんな時にも便利。対応する銀行であれば、わざわざATMで操作することなく、スマホで手軽に送金できる。手数料がかかったとしても、通常の銀行振込よりお得だ。
10月11日行なわれた「ことら送金 ローンチ記者発表会」には、関根勤と関根麻里親子がゲストとして登場。孫に甘く、すぐにプレゼントを買ってしまうという勤さんは、最近、孫に自転車を贈ったそう。その自転車代を麻里さんと『ことら送金』で割り勘するというデモンストレーションを行なった。
デモンストレーションでは、勤さんは『J-Coin Pay』アプリ、麻里さんは『はまPay』アプリで操作。まず勤さんが『J-Coin Pay』の「ことら登録情報」に携帯電話番号が登録されているかを確認。
『J-Coin Pay』アプリの「ことら登録情報」で携帯電話番号の登録を確認。
次に麻里さんが『はまPay』の「ことら送金」から「携帯電話番号へ送金」を選択し、携帯電話番号を入力して「受取人名照会」で勤さんの名前を確認。送金額とメッセージを入力して「送金」した。
『はまPay』アプリの「ことら送金」メニューを選択。
受取人名を確認し、送金金額を入力する。
すると勤さんのスマホに送金のメッセージが表示され、無事、ことら送金が完了。麻里さんのメッセージも表示され、気持ちも伝えることができた。
麻里さんからの送金が完了。メッセージも表示された。
『ことら送金』を体験した勤さんは、「スマホ操作はそんなに得意じゃないんですけど、これなら簡単で自分でもできそう」とコメント。一方、麻里さんは「メッセージ付きで送れるので、気持ちが伝えられて良いですね」と、感想を話した。
2023年4月から一部地方税の納付書にQRコードが印刷されるようになるのだが、ことらはこれらの納税に対応する『ことら税公金サービス』を準備中。対応のアプリでQRコードを読み取るだけで、スマホで自動車税、軽自動車税、固定資産税、都市計画税を支払うことができるようになる。このほかにもさらなる便利な決済が予定されているとか。
現在、『ことら送金』に対応する銀行系のアプリを利用している人なら、ぜひこの便利な送金を試してみよう。
ことら送金
https://www.cotra.ne.jp/
取材・文/綿谷禎子
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