ボジョレーヌーヴォーの解禁日を、解禁日が設定された歴史的な経緯と一緒に紹介します。さらに、ボジョレーヌーヴォーが作られている地域の情報・ワインとしての個性を生かしておいしく飲むコツ・日本での人気なども解説します。
ボジョレーヌーヴォーの解禁はいつ?
ボジョレーヌーヴォーの解禁日は過去に変更があり、現在は毎年11月の第3木曜日に設定されています。解禁日が設定されることになった経緯と、現在の解禁日に決まるまでの変遷を解説します。
ボジョレーヌーヴォーの解禁日は毎年11月の第3木曜日
ボジョレーヌーヴォーの解禁日は、毎年11月第3木曜日と決まっています。2022年の解禁日は11月17日です。11月の第3木曜日0時になった時点で解禁となるので、国によって時差が生じます。
ボジョレーヌーヴォーの最初の解禁日は11月11日でしたが、その後11月15日に変更になりました。しかし、11月15日が土日にあたると、ワイン運搬業者が休みになってしまうため、1985年から11月の第3木曜日が解禁日とされています。
ワインの品質担保のためにフランス政府が解禁日を設定!
ボジョレーヌーヴォーは、収穫したてのブドウで作られるお酒です。フランス政府が解禁日を設定する前の時代は、少しでも早く販売を開始するために、熟成が不十分な品質の悪いワインが出回っている状況でした。
きちんと熟成したブドウを使用し、品質が担保されたボジョレーヌーヴォーのみを流通させることを目的に、フランス政府が1967年に解禁日を設定しました。
押さえておきたいボジョレーヌーヴォーの基本
ボジョレーヌーヴォーを楽しむために、知っておきたい情報を紹介します。味わいの特徴やおいしく飲むコツ、2022年の出来栄えについて解説します。
そもそもボジョレーヌーヴォーってどんなワイン?
まずは、「ボジョレーヌーヴォー」の意味を知りましょう。「ボジョレー」とは、フランス南部ブルゴーニュ地方にあるボジョレー地区のことです。「ヌーヴォー」はフランス語で、「新しい」という意味です。これらが合わさった「ボジョレーヌーヴォー」は、ボジョレー地区でその年に収穫されたブドウ(ガメイ種)を原料として作られた新酒のことです。
ボジョレーヌーヴォーの製法は、マセラシオン・カルボニック、日本語では炭酸ガス浸潤法と呼ばれます。この製法では通常よりも短期間でワインを作れるほか、渋みの少ない軽やかな味わいのワインに仕上がるのが特徴です。ボジョレーヌーヴォーも味わいがさっぱりしていて、渋みが少なくなっています。
ワンランク上のボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー
ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーは、ボジョレーヌーヴォーの中でもワンランク上のワインとして扱われています。「ヴィラージュ」は村という意味で、ボジョレー地区の一部の村でのみ生産されたワインがボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーです。
生産地域が限定されているので、生産量も限られます。さらに、栽培方法などにも厳しい規制がかけられていることが、ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーが格上の扱いを受ける理由です。
ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーは、ボジョレーヌーヴォーよりもボリューミーで深みのある風味が特徴です。ボジョレーヌーヴォーだとあっさりしすぎていて物足りなく感じる人に適しています。
年内に飲み切りは必須!冷蔵庫で1時間冷やすとよりおいしい
ボジョレーヌーヴォーは「旬を味わう新酒」なので、フレッシュさを味わうために作られており、長期保存には向いていません。長期保存をすると、1番の魅力であるフレッシュさが失われてしまいます。年内には飲み切るのが目安です。
渋みが少なくさっぱりとした味わいが特徴なので、冷やした方がよりおいしく飲めます。適温とされる10〜12℃になるように、飲む前は冷蔵庫に1時間ほど入れるのがおすすめです。
2022年産はどうなの?
2022年は1959年以来となる乾燥した気候がフランスを襲った影響で、現地は7月に大規模な干ばつに遭いました。ヨーロッパ全土を襲った記録的な熱波がブドウの生育に影響することが懸念されましたが、幸いにも畑の状態は良好で、収穫量は2021年を上回る見込みとされます。生産量は少なめになるものの、典型的なボジョレーヌーヴォーらしい味のワインが生産されるでしょう。
新型コロナウイルスの影響で航空便が減便したことや、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けた原油価格の高騰、さらには急激な円安の影響を受けて、2022年のボジョレーヌーヴォーの価格は高騰することが予想されています。
日本とボジョレーヌーヴォーの関係は?
ボジョレーヌーヴォーは、日本でも高い人気があります。日本にはどれくらいの量のボジョレーヌーヴォーが輸入され、どのように扱われているかを紹介します。
世界で1番の輸入国は日本!
ボジョレーヌーヴォーを多く輸入した国別ランキング(2017年)では、日本が第1位でした。2021年の輸入量は約29万ケース(750mL・12本換算)とされ、ボジョレーヌーヴォーの全輸出量の50%を日本が占めています。
解禁日は現地時間に従うため、日付変更線の関係で日本はフランスよりも8時間早くボジョレーヌーヴォーを堪能できます。深夜0時の解禁のためにイベントを開催する飲食店もあり、ボジョレーヌーヴォーの解禁日は日本でも盛り上がる日です。
構成/編集部