今年の秋冬は、旅を計画している人も多いのでは? 大型連休でなければ海外旅行はむずかしいと思っているかもしれない。しかし、それは誤解であるようだ。実は、よくある土日と祝日を含む3連休でも海外旅行は可能。しかも忙しいサラリーマンでも実現できる。
実際に、サラリーマンをしながら週末を利用して世界中を旅するリーマントラベラーが存在する。彼にそのやり方と極意を教えてもらおう。
リーマントラベラーになったきっかけ
そのリーマントラベラーは東松寛文氏。平日は広告代理店で働くかたわら、週末に世界旅行へ出かけているという。
そもそもリーマントラベラーになったきっかけとは?
【取材協力】
東松 寛文氏
1987年岐阜県生まれ。平日は広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する”リーマントラベラー”。70カ国159都市に渡航。2016年、3ヶ月で世界一周を達成。”週末海外”のスペシャリストとして『地球の歩き方』から旅のプロに選ばれる。メディア出演・執筆多数。著書『自分の時間の作り方』(地球の歩き方)など日本&台湾で発売中。朝日新聞にて『リーマントラベルサロン』を主宰。2022年よりオーストラリア『ケアンズ&グレートバリアリーフ観光大使』。
「社会人3年目、ひょんなことがきっかけで手に入れたアメリカのプロバスケットボールリーグNBAのチケットから始まりました。NBAを見に行くために初めて有休を取得し、初めてのひとり旅で3泊5日、アメリカ・ロサンゼルスへ。その旅で、短い休みでも海外旅行は楽しめることに気付き、それ以降、週末をフル活用して、世界70ヵ国159都市を渡航しました」
●旅の魅力
東松氏にとって、旅の魅力とはどんなものなのか。
「旅の一番の魅力は『自分がわかる』ことです。旅先での非日常の経験には、まだ気づいていない自分の好き・嫌い・得意・不得意に気づくチャンスが眠っています。旅に行き、その経験から内省することで、自分自身がパワーアップして、日常に帰ってくる。すると仕事もさらに楽しくなる。その良い循環があるので、どれだけ仕事が忙しくても、旅はやめられません」
3連休の「海外コンパクト旅」を最高に楽しむための極意
忙しいサラリーマンでも海外旅行は可能。週末土日の2日間ではハードルが高い場合に、まずは3連休を使った旅が良いだろう。東松氏はその2〜3日で楽しむ旅を「コンパクト旅」と呼ぶ。海外コンパクト旅をとことん楽しむ極意を聞いてみた。
1.仕事帰りにそのまま空港に向かい、休日の前日に出発する
「短い休日をフル活用するためには、少しでも早く日本を出国して、現地滞在時間を長くすることがポイント。そのためには、仕事が終わったらそのまま空港に向かって、その日のうちに出国しちゃいましょう。そのため、海外コンパクト旅をするときは、休日の前日夜から出発できる飛行機がある旅先から選びます」
2.休憩も適度に挟みながら旅すべし
「機内泊は、時間的効率は非常に良いですが、やはり疲れるものです。ですので、旅の途中にマッサージやスパなども挟みながら、また体調を整えながら旅しましょう。移動時間で睡眠することもよくありますが、Uberなどの配車アプリを使えば、事前に目的地は伝えてあるので、安心して目的地へ向かうことができます」
3.仕事は必ず日本に置いていく
「旅に集中するためにも、仕事一式は必ず日本に置いていきましょう。旅行に行くことを取引先にアナウンスしたり、仕事を同僚に引き継いだりと、根回しも重要です。旅を思いっきり楽しむ環境は、前もって準備しておくことが大切です。もちろん仕事を代わりにやってくれた同僚へのおみやげも忘れずに」
ところで、物価高騰の時期には、旅に出ることもためらいがちだ。しかしコンパクト旅ならおすすめできるという。
「コンパクト旅なら長期滞在よりも必然的に宿泊費などの出費が減りますので、費用を抑えることができます。また航空会社によってはお得に利用できることも。例えばジェットスター航空では燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が廃止になっており、物価高騰のこの時期でも思いっきり満喫できます」
3連休で行く「海外コンパクト旅」の失敗しがちなこと
海外コンパクト旅で初心者が失敗しがちなことも押さえておきたい。東松氏は次の2つを挙げる。
1.予定を詰め込みすぎる
「短い時間だと、つい予定を詰め込みすぎてしまいます。でも詰め込み過ぎると、まるで仕事をこなすように予定をこなしていなかくてはならず、頭も仕事をしているかのように働いてしまい、楽しめなくなります。また海外は予期せぬハプニングも起こったりするので、スケジュール通りに進まないことで、ストレスを感じてしまうことも。
予定は詰め込みすぎず、現地で時間が余ったら、予定を追加すれば良いくらいの気持ちでいきましよまう」
2.荷物が多すぎる
「予定は詰め込みすぎないほうがいいですが、機動力は大事。現地に行ってみたら、その日にしかやっていないイベントを見つけたり、予期せぬ出会いもあったりします。そんなときに、すぐに動くためには、荷物を最低限で行動しておくことも重要です。荷物が増えれば増えるほど、不安も増えます。とにかく荷物は減らして、日本で過ごすときと同じような荷物量で過ごすことを心がけるとうまくいきます」
コンパクト旅の行程例!オーストラリア・ケアンズ編
ところで東松氏は、オーストラリアのケアンズ公式観光大使を担っている。そんなケアンズはコンパクト旅におすすめだそうだ。
「3連休や有給を1日取得するだけでケアンズを楽しむことができます。土曜〜月曜の3連休であれば、成田空港、関西空港ともに仕事終わりに空港へ直行し、金曜夜に出発。土曜の朝から月曜昼までケアンズを楽しんで帰国。月曜夕方には日本に到着するスケジュール。もしくは木曜日の夜に出発、金曜日に有給取得して日曜日に帰国するのも効率的。
ケアンズ市内中心部には施設や体験できるアクティビティが多く、短い時間でも楽しむことができます。 特に無料の施設も充実していて、時間だけでなく旅費もコンパクトにすることが可能です」
そこで、実際に東松氏が経験したケアンズでのコンパクト旅の行程を教えてもらった。
●0日目(金曜日)
20:15 成田空港発
仕事帰りにそのまま成田へ。ジェットスターJQ26便を利用。直行便で約7時間半。
●1日目(土曜日)
04:45 ケアンズ空港着
ケアンズのカフェは早朝から営業しているので、着いたらまずはモーニングをいただく。
08:30 ケアンズ出発
09:15 グリーン島到着
土曜は朝からグレートバリアリーフへ。フェリーで45分で到着。
シュノーケリングにダイビングを体験。
せっかくならグリーン島に宿泊して満点の星空をひとり占めしたい!
グリーン島 泊
●2日目(日曜日)
12:00 グリーン島出発
12:45 ケアンズ到着
「エスプラネード・ラグーン」というプールで泳ぐ! マーケットをぶらぶら!
ケアンズの定番カフェメニューの「スマッシュドアボカド」に挑戦!
ルーフトップバーで夕食前の一杯!
18:00 ホテルチェックイン
19:00 イタリアンディナー
イタリア移民が多いため、イタリアンレストランが充実。
21:00 ナイトマーケット
お土産探しやデザートタイム。
ケアンズ 泊
●3日目(月曜日)
05:00 熱気球ツアー
旅の締めくくりは、熱気球に乗って朝日が昇る広大な大地を眺める!
11:10 ケアンズ空港発
17:40 成田空港着
翌日は全力出社!それがリーマントラベラー。
●ポイント
「初日は早朝着の場合、やることがなくて困るケースが多いので、事前にリサーチしてできることを探しておくことが大事です。先日ケアンズへ行ったときは、スーパーが早朝からオープンしていたので、到着後スーパーへ向かい、そこでSIMカードを購入しました」
サラリーマンの3連休を活用した海外コンパクト旅は、ポイントを押さえれば意外と手軽に楽しめそうだ。新しい自分自身を発見しに週末、出かけてみてはいかがだろうか。
取材・文/石原亜香利
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