2022年9月16日より発売となった(一部機種は10月7日発売)「iPhone 14」シリーズ。 〝Pro〟モデルである「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」にてノッチデザインを廃止したり、〝mini〟に代わって、大画面の標準モデル「iPhone 14 Plus」が登場するなど、注目を集めています。
ただし、一部のファンから期待されていた「指紋認証」や、「USB Type-C」への対応はなし。これらの機能に対応したら、新しいiPhoneへ機種変更をしたいと考えていた人は、2023年に発売されるであろう「iPhone 15(仮称)」を待つべきか否かで、頭を悩ませているかもしれません。
そこで本記事では、今後発売されるiPhoneシリーズにて、指紋認証機能やUSB Type-Cポートが搭載される可能性があるのか、様々な観点から考察していきます。
iPhone 14シリーズ非搭載の指紋認証…復活する可能性は?
ご存じの通り、iPhone 14シリーズは指紋認証に非対応。執筆時点(2022年10月上旬)で、Apple Storeから販売されているiPhoneシリーズの中では、「iPhone SE(第3世代)」のみが、ホームボタンによるTouch IDに対応していることになります。
iPhone SE(第3世代)
まずは、2023年以降に発売されるiPhoneシリーズにて、指紋認証機能が復活するのかを考察していきましょう。
iPhone 14シリーズで指紋認証が復活しなかった理由は?
iPhone 14シリーズには指紋認証機能が搭載されていないため、使用できる生体認証は、Face ID(顔認証)のみ。Face IDは、パスコードロックだけでなく、支払い時などに用いることから、ユーザーを守るための重要な機能です。
つまり、ロック解除できる生体認証機能は、数が増えるとセキュリティ面のリスクは相対的に高くなります。iPhone 14シリーズのみならず、歴代のiPhoneシリーズを見ても、生体認証はTouch IDかFace IDの〝どちらか〟に対応し、〝どちらも〟搭載する機種がないのは、アップルがセキュリティを意識していることの表れと判断して良さそうです。
そもそもiPhone 14シリーズ非対応の指紋認証は本当にマスクとの併用がしにくいのか
指紋認証機能は、iPhone本体をしっかり視認しなくてもロックの解除が行えるという観点から、かねてより復活の要望がありました。ただし、要望の声が大きくなったのは、コロナ禍の影響でマスク生活が根付き、Face IDが屋外で使用しにくくなった頃といえるでしょう。
しかし、アップルがソフトウエアからのアプローチで、Face IDとマスクの共存を進めているのも事実。例えば、iOS 15.4以降をインストールした、iPhone 12以降のモデルでは、「マスク着用時Face ID」という項目が追加されており、マスクをしたままロックの解除が行えます。
また、iOS 14.5以降を搭載したiPhone X以降のモデルと、watchOS 7.4以降を搭載したApple Watch Series 3以降を併用すると、Apple Watchを手首に装着していれば、iPhoneに視線を向けるだけで、ロックの解除が行える設定もできます。
このように、アップルはソフトウエアの進化により、Face IDの顔認証とマスク着用時の対応を両立させています。そのため指紋認証機能は、必須とはいえなくなってきているのかもしれません。
くわえて、2022年10月時点では、欧米諸国にて、徐々にマスク生活を脱していることも無視できません。そもそも、マスクをしていなければFace IDのみで十分便利なので、2023年以降に発売されるiPhoneでも、Face IDのみの対応になる可能性は高いと考えられます。
iPhoneシリーズに電源ボタン内蔵のTouch IDが搭載される可能性は?
2023年以降に発売されるiPhoneでも、Face IDのみの可能性が考えられると紹介しましたが、仮にTouch IDが搭載されるとなれば、電源ボタンに指紋認証センサーが内蔵される形になると予測できます。
執筆時点でAndroidスマートフォンに搭載されている指紋認証機能は、大きく分けて、「ディスプレイ内指紋認証」と、「電源ボタン内蔵指紋認証」の2つとなります。
iPad Air
iPadシリーズでは、電源ボタン内蔵のTouch IDの搭載モデルが発売されています。iPadは、基本的にiPhoneよりもボディサイズが大きく、センサーを内蔵しやすいと考えられますが、もしiPhoneシリーズにTouch IDが搭載されるとなれば、ディスプレイ内指紋認証ではなく、iPadシリーズと同様に、電源ボタン内蔵の指紋認証となるのではないでしょうか。
iPhone 14シリーズでは「Lightning」を継続! 「USB Type-C」への対応は?
指紋認証機能と同じく、iPhone 14シリーズでの対応を望む声が多かったのが、充電端子を「Lightning」から「USB Type-C」に変更してほしいというもの。iPadシリーズの一部モデルや、MacBookシリーズではUSB Type-C搭載が実現されているため、ケーブルを統一するために、iPhoneでも対応してほしいという意見があります。
しかし、iPhone 14シリーズでもUSB Type-Cに対応せず、継続してLightning端子が採用されています。では、2023年以降に発売されるiPhoneでは、USB Type-Cに対応するのでしょうか。
iPhoneシリーズは「USB Type-C対応」か「ワイヤレス一本化」のはざまにいる?
iPhoneシリーズがUSB Type-Cに対応するか否か、という話で無視できないのが、2024年末までに、EU(ヨーロッパ連合)にて発売される製品の充電端子を、USB Type-Cに統一することが義務付けられる点。これだけを聞くと、iPhoneシリーズでもいずれ、USB Type-Cに対応せざるを得ないようにも思えます。
しかし、現行のiPhoneシリーズは、いずれもQi規格のワイヤレス充電に対応していることや、iPhone 12シリーズ、iPhone 13シリーズ、iPhone 14シリーズでは「MageSafe」での充電に対応していることから、USB Type-Cに対応するのではなく、充電端子自体がなくなる可能性も否定できません。
というのも、防水や本体強度、加工のしやすさといった観点からみると、スマートフォン本体の〝穴〟はなるべく塞ぎたいもの。アップルが充電端子を廃しても不思議ではありません。これは、iPhone 7以降のモデルは3.5mmイヤホンジャックが廃止されているのに加え、アメリカ版のiPhone 14シリーズは、SIMスロットすら廃止し、eSIMのみの対応になっていることからも、アップルの考え方が伺えます。
Qi規格のワイヤレス充電や、MageSafeによる充電がより浸透すれば、Lightning端子を廃止することも十分考えられます。
気になるのは、データ転送の方法です。iPadの一部やMacBookシリーズにはUSB Type-Cを搭載しているため、Lightningケーブルどころか、ケーブル自体が使えないiPhoneとなると、写真や動画データを端末間でやり取りする際に、不都合が生じるかもしれません。
アップル製品同士であれば、Apple IDに紐づいてデータを簡単に同期させたり、「AirDrop」を使ってデータのやり取りを行うことが可能ですが、Windows PCとの連携は、一度クラウドサービスを経由するといった工夫が必要。アップル製品で環境を整えるのか、新しいデータ転送の方法を提案するのか、もしくはUSB Type-Cに対応するのか、今後もiPhoneの進化から目が離せません。
※データは2022年10月上旬時点での編集部調べ。
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文/佐藤文彦