AIM研究
愛猫家待望のネコの腎臓病治療薬がもう目の前まで来ている。そのカギを握るのがAIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)だ。元東京大学大学院医学系研究科教授でAIM医学研究所代表の宮崎徹さんが発見した血中タンパク質のことで、その働きにより体内のゴミが除去され、腎臓病や脳梗塞の治療につながると期待されている。
このタンパク質は、人だけでなくネコの体内にも存在しているという。ネコは腎臓病になりやすく腎不全で命を落とすことも多いため、宮崎さんの研究はネコ医療の観点からも注目されていた。そして今年3月、宮崎さんとマルカンが共同開発したキャットフード『AIM30』が発売された。これは体内のAIMを活性化させる成分が配合されており、ネコの腎臓病の予防・改善を期待できるという。
「AIM治療の可能性として、直接AIMを投与する方法と体内のAIMに働きかける方法が考えられます。今回のキャットフードは後者ですが直接AIMを投与する治療薬の開発も進めています。日頃のケアはキャットフードで、重症の場合、治療薬で治療してあげればネコが30歳まで生きることも夢ではありません」(宮崎さん)
「ネコへのAIM治療薬のアプローチはすでに8合目くらいまで到達している」(宮崎さん)という。並行して人へ向けた治療薬の開発も進められており、こちらにも期待したい。
AIM研究を基に作られたアミノ酸配合の製品が登場
『AIM30』のほか、6月にはいなばペットフードから『CIAO for AIM ちゅ~る』も販売。どちらもAIMを活性化させるアミノ酸が配合されている。薬ではなくあくまでも一般食。「メーカーの想定以上の反響があり長らく在庫切れが続いていたようです」(宮崎さん)
腎臓病と深く関わるタンパク質「AIM」のメカニズム
取材・文/峯 亮佑