休日も含めた長時間活動が当たり前の〝ブラック部活〟が問題視されている。それに伴いスポーツ庁では2023年度より段階的に休日の部活動の地域移行を推進。運動部と文化部を含め、達成の目標時期を2025年末に設定した。では実際どのくらいの中高校生が部活に所属しているのか? Data1によると中学生が9割、高校生も8割が所属していた。
またスポーツ庁は運動部活動の在り方に関するガイドラインを制定しており、週に11時間を活動の上限としている。だが現状は中学が4割以上、高校は7割以上が週の活動時間が11時間超えに(Data2)。さらに長時間活動を問題視している教員はごくわずかであるようだ(Data3)。ブラック部活は顧問の休日が確保できないことが問題視されているが、改革の必要性を感じている教員は少数派らしい。
教員側は現状で満足かもしれないが、生徒側はどうか? Data4によると、高校生の入りたい部活1位は「帰宅部」となっている。生徒側はもう、ブラック部活につきあいきれないのかもしれない。
長時間労働の改善も大切だが、部活動の地域移行によって本当に必要なのは、教員の意識改革なのではないだろうか。
Data1|部活に入って当たり前!中学は約9割、高校は約8割が部活に所属
■ 部活動への所属
部活動は任意であるはずだが、無所属はごくわずか。「部活を辞めると内申点が下がる」という声も根強く、無理して入部している人も少なくない。
国立青少年教育振興機構「令和元年 青少年の体験活動等に関する意識調査」
Data2|目安の活動時間は週11時間!運動部の総合ガイドラインはきちんと守られている?
■ 1週間(週7日)における活動時間
部活の長時間活動は中学生よりも高校生が深刻。高校野球などは今や国民的イベントとなっているが、この現状をもとに成り立っているのだとしたら、やはり問題なのではないか。
日本スポーツ協会「2021年 学校運動部活動指導者の実態に関する調査報告書」
Data3|中高生の部活動時間を教師の8割以上は〝現状維持〟か〝増やしたい〟!!
■ 1日(平日)の活動時間の増減希望
SNSなどではブラック部活に苦しむ顧問の悲痛な声も多い。だが全体で調査をすると、改革を必要としている教員は少数派なのか。これでは、部活に対する意識は変わらない気もする。
日本スポーツ協会「2021年 学校運動部活動指導者の実態に関する調査報告書」
Data4|高校生の入りたい部活1位はまさかの〝帰宅部〟!
■ 入りたい部活TOP20
受験を考えてか、帰宅部がNo.1に。2位は五輪で日本人選手が活躍したバドミントン部。一方、甲子園で注目される野球部は14位と不人気だった。
2021 「スタディサプリ進路」調べ
取材・文/高山 惠 イラスト/トーマス・オン・デマンド