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日本では世界に先んじて高齢化社会が進み、介護は誰にとっても身近な話題になってきています。しかし介護の日がいつで、何をする日か知っている人は少ないでしょう。介護の日の日にちや制定の背景に加えて、目的達成に向けたさまざまな取り組みを紹介します。
介護の日とは
まずは、介護の日の基本情報を解説します。日にちや制定の背景のほか、介護の日に関連して、福祉人材確保重点実施期間にも触れます。
介護の日は11月11日
介護の日は、毎年11月11日です。介護の日のキャッチコピーは「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」で、11月11日は「いい日、いい日」の語呂合わせになっています。
もともとは7月7日と8月8日、9月15日の候補もあったほか、名称も「介護感謝の日」「かいごの日」「介護ささえあいの日」の選択肢がありました。2008年7月に実施されたパブリックコメントの募集を通して、最終的に11月11日の介護の日に決定したのです。
パブリックコメントの多数決を基に決まった日にちと名称は、2008年7月27日の「福祉人材フォーラム」で厚生労働大臣によって発表されました。
介護の日が制定された目的は?
介護は被介護者に合わせた個別のアプローチが必要な一方で、高齢化の進行に伴って介護を必要とする人が増え、充実した介護を提供するのは困難になってきています。困難な状況においても充実した介護サービスを維持するには、国民一人一人が介護への理解を持ち、協力的な体制を築くことが重要です。
介護を取り巻く動きの中で、介護サービスを利用する人やその家族、介護に携わる人々に加えて、それを支える地域社会の人々が介護を正しく理解するための象徴的な日として、介護の日が制定されました。つまり介護の日を一言で表すと、介護の啓発活動に取り組む日です。
福祉人材確保重点実施期間について
介護の日は11月11日ですが、厚生労働省は11月4〜17日の2週間を福祉人材確保重点実施期間と定め、介護の啓発活動に加えて介護従事者を増やす取り組みにも注力しています。
厚生労働省では福祉人材確保重点実施期間を全国にアピールするのに加えて、福祉人材確保のための取り組みやポスターによる啓発活動を行います。厚生労働省だけではなく、福祉人材確保重点実施期間推進協議会や地方自治体も活動主体の一つです。さまざまな規模の団体が啓発活動と人材確保に取り組み、介護業界の改善に努めています。
介護の日に関連するコンテスト
介護の日には地方自治体において、さまざまなコンテストが開催されます。中でも、多くの自治体で開催される作文コンクールとポスター作品コンクールを取り上げて紹介します。
「介護の日」作文コンクール
地方自治体の中には、「介護の日」作文コンクールを実施している自治体があります。介護に関する体験談や考え方を作文にまとめることを通じて、幅広い人に介護への関心をもってもらうのがコンクールの狙いです。
例えば、2022年に茨城県で実施された作文コンクールでは、茨城県と茨城県老人福祉施設協議会の共催で、800文字程度の作文作品を募集しました。
県内在住あるいは県内の学校に通う中学生から大学生までを対象とした学生の部と、県内在住あるいは県内に通勤している人が応募可能な一般の部に分けられています。提出された作品は審査委員による審査が行われ、介護の日に関連するイベントにて受賞者の表彰が行われる予定です。
「介護の日」ポスター作品コンクール
一部の地方自治体では、介護の日を一般に周知するためのポスター作品を募集しています。かつては厚生労働省の主催で全国向けのポスターを募集していた年もありましたが、現在では一部の地方自治体が「介護の日」ポスター作品コンクールを開催しています。
学生の部と一般の部に分かれている作文コンクールとは異なり、ポスター作品コンクールでは学生だけを対象としているのが一般的です。例えば、2021年に広島県で開催された「介護の日」ポスター作品コンクールでは、小学生の部と中学生の部および高校生の部の3部門に分けられていました。
介護の日の関連イベント
介護の日にはコンクールのほかに、啓発活動や福祉人材の確保を目的とした各種イベントも開催されます。ここでは特に、介護の日フォーラムと就職フェア・職場見学会の紹介をします。
介護の日フォーラム、介護フェア
介護の日や前後の休日には、介護の日フォーラムや介護フェアといったイベントが開催されます。介護の日フォーラムとは、福祉関連の有識者による講演会やゲストを交えたパネルディスカッションが行われるイベントです。介護業界全体の問題に対するアプローチ方法から、実践的なケア技術まで、幅広い知識を身に付けられます。
例えば、2020年の横浜市介護の日フォーラムは11月30日に開催され、認知症ケアの新技法の講演会や認知症に関連したパネルの展示が行われました。また、奈良県では福祉関連団体との共催で、2022年11月3日に「なら介護の日2022」が開催され、奈良介護大賞2022の発表・表彰式や、コロナ禍の介護に関するシンポジウムなどが実施されました。
就職フェア・職場見学会
講演会やパネルディスカッションなど講義型のイベントのほかに、介護従事者を増やす取り組みとして、就職フェアや面談会・見学会・相談会といった双方向型のイベントを開催する自治体も見られます。
相談会ではハローワークの担当者や、共催団体の介護福祉士および看護師が、福祉業界への就職の相談に乗ってくれます。就職フェアを通して実際に就職先を見つけることも可能です。そのほかにバスツアーで介護の仕事の現場を訪問できる自治体もあります。
構成/編集部