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世界2位に輝いたレストランが上陸!知られざる美食の国、ペルー料理の魅力

2022.11.28

ペルー料理

ペルー料理

 今年東京に誕生した飲食店の中で一番の話題店は、何といっても「東京ガーデンテラス紀尾井町」内のレストラン『MAZ(マス)』でしょう。2021年版「世界のベストレストラン50」で4位に輝いたペルーの首都リマのイノベーティブレストラン『Central』のシェフ、ヴィルヒリオ・マルティネスが、『Central』のコンセプトをまんま東京に持ち込んでオープンしました。この店は、開店から17日後の7月17日に更新された2022年版「世界のベストレストラン50」で『Central』が2位にランクアップしたため、ますます注目度が上がり、予約困難店になりました。

「世界のベストレストラン」の最新ランクにはこのほかにも11位に『Maido』、32位に『Mayta』と、リマの店が計3店入っており、リマはパリや東京並みのガストロポリス(=食都)に躍り出ました。もはや、世界のフーディーズの関心は北欧のニュー・ノルディック・キュイジーヌからペルー料理に移った、と言っても過言ではありません。

 そもそもペルーは、今日のヨーロッパ諸国の料理の基幹食材であるジャガイモ・トマト・トウガラシの原産国。これらの食材は、16世紀初めにペルーのインカ帝国を滅ぼしたスペイン人が初めてヨーロッパにもたらしたものです。従って、ヨーロッパの人々のペルーの食文化へのリスペクトは、昔からハンパありませんでした。

 ペルーは、太平洋に面した3000kmの長い海岸線と、50を超える6000m級の山、アマゾン流域のジャングル、広大な砂漠の盆地を持ち、日本の3.4倍の国土に世界の80%に当たる28種の異なる気候が集まった、多様な自然の国(何しろ「空中都市マチュピチュ」から「ナスカの地上絵」までがある国ですから)。

ペルー

 南北に長い国土を持つ我々日本人は、昔から「桜前線」にしても「梅雨入り」にしても、季節の到来を南から北へ緯度で感じてきましたが、6000m以上の標高差がある縦に長い国土を持つペルー人は、野菜や果物は一年中どこかの高さで収穫されているので、昔から季節を標高差で捉えてきました。『MAZ』と『Central』のメニューは、料理が、食材の取れる高度別に表示されており、そうした文化的奥深さも、世界2位に輝いた要因のひとつではないかと思います。

 もうひとつ、ペルー料理で見逃せない要素が、日本からの移民です。1899年から始まった日本のペルー移民は、ブラジル移民よりも歴史が古く、1990年に日系人のアルベルト・フジモリがペルーの大統領に選ばれた(そして昨年、娘のケイコ・フジモリがもう少しで大統領になるところだった)ことからもわかるとおり、ペルー社会に深く根ざしています。

 日本人はペルーの太平洋岸に魚の活け締めの技術を伝え、漁師を育て、魚の生食文化をもたらしました。その結果、完成したのが、生の魚介と玉ネギや大粒のトウモロコシをレモン汁とトウガラシでマリネしたペルーの代表料理、セビーチェです。ちなみに、ペルーのレモンはピンポン球をやや大きくしたサイズで、味が濃く、ペルー料理の味の決め手になっています。

 日系人はほかにもペルーに、大根や葱などの和野菜や味噌・醤油・みりんなどの調味料を伝え、それらを使って作られる料理は「ニッケイ」と呼ばれ、ペルー料理の一大ジャンルを形成しています。「世界のベストレストラン50」の第1回(2002年)から計5回世界1位に輝いた「分子ガストロノミー」の創始者、『エル・ブリ』のフェラン・アドリアは、2011年に『エル・ブリ』を閉めた後、弟のアルベルトとともにバルセロナに『PAKTA』というレストランを開きましたが、この店は何と「ニッケイ」の店。世界の一流料理人も「ニッケイ」に注目していたわけです。

 また、ペルーには中国からの移民も多く、彼らはペルーに中華鍋とシジャオ(中国醤油)をもたらしました。中国移民たちの料理は「チファ」と呼ばれ、こちらもペルー料理では一大ジャンルを形成。特に、中華鍋で牛肉を玉ネギやピーマン、トマトなどと炒めた「ロモ・サルタード」は、セビーチェと並ぶペルーの代表料理になっています。

 日本に於けるペルー料理店は、2000年頃までは、ペルーから出稼ぎに来た日系人が周辺の工場で多く働いていた横浜市鶴見区にしかありませんでしたが、2003年に渋谷の桜ヶ丘に『ミラフローレス』が誕生した頃から東京にも徐々に増え始め、開業順に並べると、新橋に『荒井商店』(2005年)、新宿区百人町に『ワンチャコ』(2011年)、神宮前に『ベポカ』(2013年)、北青山に『アルド』(2016年。3年後に南青山に移転)、祐天寺の『エル・セビチェロ』(2017年)、南青山の『ディステイノ51』(2020年)と、優れた店が着実に増えてきました。

 珍しいのは、2015年に白金台にオープンした「ニッケイ」料理を出す大型ダイニング『ザ・テンダーハウス』。それと、ペルーには昼食と夕食の間に「ロンチェ」と呼ばれるヘビーな間食をとる習慣がありますが、2019年に新宿歌舞伎町にオープンした『ラニートス』は、その「ロンチェ」で食べるサンドイッチの専門店──東京でも、ペルー料理の多様な側面に触れられるようになってきています。

 が、初めての方がペルー料理を食べるなら、まず、ミシュランでビブグルマンマークを獲得している『荒井商店』に行くべきでしょう。

ペルー

ペルーは海岸・砂漠、山岳、熱帯雨林の3つの気候帯に分類され、クルマを2時間飛ばせば全部を体験できます。各気候帯で料理が異なり、ポタージュスープだけで468種類あるといいます。

『MAZ』は、『イゾラ』『サンパウ』を経営するグラナダが東京ガーデンテラス紀尾井町3Fに開いた、リマの『Central』のヴィルヒリオ・マルティネスシェフのプロデュースによるイノベーティブレストラン。コロナ禍の中、客席が外国人だらけなのは、さすが世界の名店。直方体のシンプルな空間はニューヨークっぽい雰囲気。料理は税込み2万4200円のコース1本です。◆住所:千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 3F ◆電話:03・6272・8513

『MAZ』は、『イゾラ』『サンパウ』を経営するグラナダが東京ガーデンテラス紀尾井町3Fに開いた、リマの『Central』のヴィルヒリオ・マルティネスシェフのプロデュースによるイノベーティブレストラン。コロナ禍の中、客席が外国人だらけなのは、さすが世界の名店。直方体のシンプルな空間はニューヨークっぽい雰囲気。料理は税込み2万4200円のコース1本です。◆住所:千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 3F ◆電話:03・6272・851

『荒井商店』

『荒井商店』は『オテル・ド・ミクニ』出身で、現地での修業経験もある荒井隆宏シェフが、2005年に新橋のはずれ(最寄り駅は都営地下鉄三田線・御成門駅)に出店した東京No.1の呼び声も高いペルーレストラン。2016年から7年連続ミシュランガイド・ビブグルマンマークを獲得。レストランとは思えぬ変わった店名は、趣味人のシェフが自身で開発した釣りのリールを売るためにつけた名前だそうです。◆住所:港区新橋 5-32-4 ◆電話:03・3432・0368

ペルー料理ペルー料理

【秘訣】ニュー・ノルディック・キュイジーヌの次は、ペルー料理

取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ

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