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【最新ビジネス図解】オールプラスチックで分解、再生が可能なサエラの〝使い捨てない〟ビニール傘

2022.10.14

東京港区の傘メーカー サエラ社は、「使い捨てない傘」をコンセプトとする新商品「サステナブレラ」を販売開始した。資源循環プラットフォームの構築や再生素材の製造に取り組むPALTAC社、環境配慮商品を広く流通させることで持続可能な社会を目指すTBM社との3社共同開発だ。

長く使える&リサイクルできる=使い捨てない傘

同社によれば、日本では年間約6000万本、1日換算にして10万本以上の傘が廃棄される。捨てられる傘そのほとんどが、コンビニやスーパーで販売される安価なビニール傘だ。

ビニール傘は、持ち手(ハンドル)や傘生地はプラスチック(ビニール)、シャフトや骨は金属で作られているのがふつう。接着剤や針金で部品が固定された複雑な構造のため、分解が難しいので埋め立て処理するしかない。

そこで同社は、すべての部品を統一した「オールプラスチック」のサステナブレラを開発した。リサイクル素材のCirculeX(使用済みプラスチック等を原料とした再生材料を50%以上含む素材)を使用するのが特徴だ。

金属を一切使用していないので錆びる心配がなく、強化プラスチックの骨は強い風をしなやかに受け止めるので壊れにくい。パーツによる耐久寿命の差がなく、接着剤や針金を使わないため、分解して再構成しやすい構造を採用している。「長く使える」「リサイクルできる」の両面から「使い捨てない傘」の実現を目指す。

なお本製品は、2022年4月1日に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」に配慮した製品設計がなされており、SDGsの「つくる責任つかう責任」や「気候変動に具体的な対策を」に貢献するという。

課題は傘を回収するスキーム

1日あたり10万本以上の傘が捨てられるとは驚きの数字だが、なぜそんな状態が当たり前になってしまったのか? サエラ社代表の山本健氏によれば、要因は次の3点だ。

1.傘が緊急時の商品として定着
2.傘の使い捨て文化が定着
3.安さの要求に応えるビニール傘

出先で急の雨に降られたとき、コンビニに駆け込んで傘を買った経験は、多くの方がお持ちだろう。それらを長く使うことはなく、多くはすぐに壊してしまったり、お店や電車に忘れてきてしまう。

そして、そのことに違和感を持つこともない。いつからか私たちには、「傘は使い捨て」という常識が染み付いているのだ。

供給側も消費者のニーズに合わせるべく、安い傘を大量に作るようになった。一時的に雨をしのげればよいのだから、頑丈なものをつくる必要はない。現在一般的なビニール傘は、メーカーや小売が利益を上げるための最適な製品として進化してきた。

3つの要因のうち、1の「緊急時の対策としての傘」の認識を変えるのは、おそらく難しい。出先で手軽に傘を調達できる便利な生活を、生活者は手放せない。

サステナブレラは、2の「使い捨て文化」と3の「ビニール傘」を見直すことで、「利便性」と「環境にやさしい」の両立に挑戦する商品だ。従来は不可能だったことが、アイデアと新素材をはじめとする技術の発達が、可能にしつつある。

プロダクトこそ違えど、IoTを活用して広がる「傘シェアリング」と価値提供のプロセスは共通する(サエラ社は傘シェアリングの「アイカサ」にも傘を提供する)。

サステナブレラは全国のコンビニやスーパーで販売し、価格は1100円(税込)。一般的なビニール傘よりやや高めだが、上記の価値を考えれば手を出せる金額であり、新しい傘の一ジャンルを切り開く可能性がある。

いっぽうで、リサイクルが機能する仕組みづくりは今後の課題となる。同社は、使わなくなった傘の部品を回収し、確実に再利用するスキームの構築を進めている。

●プレスリリース
サエラ、PALTAC、TBMが共同開発再生プラスチックを活用したつかいすてない傘「サステナブレラ」を発表

取材・文/ソルバ!
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