eスポーツの世界では、試合展開をわかりやすく伝えるとともに、ゲームのクライマックスを熱いトークで盛り上げる実況キャスターが活躍している。人気が高い平岩康佑さんをはじめとする4人に、アーカイブ映像を視聴可能な必見の名試合を挙げてもらった。
キャスターの実況が選手の魅力を引き出す
eスポーツのキャスターは、放送局の元アナウンサーから、ゲームコミュニティーで選手や運営をしながら実況を始めた人まで、出自は実に様々。それぞれ得意とするゲームジャンルを持ち、実況の際に大切にすることはキャスターごとに異なる。
例えば、eスポーツキャスターの第一人者・平岩康佑さんは朝日放送の出身で、かつて実況していた高校野球のように、eスポーツ選手の心情やバックボーンをわかりやすい短い言葉で伝えている。選手を応援したい気持ちを高めるのが得意だ。
「試合に負けた後のインタビューでひと言もしゃべれなかった選手が、壇上から降りる際に対戦相手の肩を叩き、握手するという姿に〝気づけた〟ことがあります。その様子を視聴者に伝えられたのは、実況者冥利に尽きますよね。今後も、そのようなシーンを見逃してはいけないと思っています」(平岩康佑さん)
eスポーツはゲーム上での戦いではあるものの、人同士が競い合う点ではフィジカルのスポーツと何ら変わらない。eスポーツキャスターの実況によって引き出されるプレイヤーの魅力を知れば知るほど、観戦するのがもっと楽しくなるはずだ。
〝わかりやすい短い言葉〟が選手を応援したくなる!
フリーアナウンサー 平岩康佑さん
元テレビ局所属のアナウンサー。2017年にeスポーツの世界を知り、海外大会の観戦後にeスポーツの世界へ飛び込む。局アナからの転向組としては先駆け的な存在。選手のプロフィールなどをまとめた資料(右写真)を手元に置き、ゲームがわからない人でも応援したくなる実況を心がけている。
【主な実況タイトル】『フォートナイト』、『シャドウバース』、『エーペックスレジェンズ』
最弱の評価をひっくり返す下剋上劇!
日本代表のZETA DIVISIONが最下位予想を大きく覆し、3位になった大会。チームが勝つたびに注目度は増し、最終的には深夜にもかかわらず、国内の約37万人が視聴する盛り上がりに。
〈 私が選ぶベストバウト!〉
『ヴァロラント』VCT Masters Reykjavík 2022
DRX(韓国代表)VS ZETA DIVISION(日本代表)
1人減っても諦めない選手に拍手!
日本チームのPULVEREXが新型コロナ感染で、3人チームのところ2人で参戦。2人ならではの戦略を立て、グループリーグを突破する。圧倒的不利でも戦う姿勢を崩さない姿は感動もの!
〈 私が選ぶベストバウト!〉
『エーペックスレジェンズ』ALGS Year 2 Championship
PULVEREX(日本チーム)出場試合
コアラ好きな若干16歳の鮮やかな勝利
弱冠16歳のRuri選手が国際大型大会で初勝利。チャリティーマッチの同大会で獲得した賞金を、大好きなコアラのためを思い、オーストラリアの森林火災に寄付したことも印象的なエピソード。
〈 私が選ぶベストバウト!〉
『フォートナイト』AO Summer Smash featuring Fortnite 2020
Ruri選手(日本人選手)出場試合
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勝利までの〝道筋〟を意識しながら解説!
『リーグ・オブ・レジェンド』では、ゲームの開始時に各プレイヤーがどんなキャラクターを選ぶのかにより、双方の作戦がある程度想定できるというeyesさん。状況を解説する際には各チームが描く〝勝ち筋を追う〟ことも意識しているそうだ。
eスポーツキャスター eyesさん
もともとは趣味で『リーグ・オブ・レジェンド』の実況をしていたところ、コミュニティー大会で声をかけられ、プロの道へと進む。
【主な実況タイトル】『リーグ・オブ・レジェンド』
世界王者が苦境を覆して逆転勝利!
2017年に中国で開催された世界大会「World Championship」のうち、グループステージで行なわれたSKT対EDGの試合。EDGが序盤から試合を優勢に進め、誰もが「逆転はもう無理だろう」と思った展開から、SKTがまさかの大逆転。見事な勝利を収める。SKTは2013年、2015年、2016年に世界王者となっている強豪チーム。2017年の世界大会でもチャンピオンにふさわしい強さを存分に見せつけ、多くの人に感銘を与えた。
〈 私が選ぶベストバウト!〉
『リーグ・オブ・レジェンド』WCS 2017
EDward Gaming VS SK Telecom T1
盛り上がる予兆をキャッチして伝えることにこだわる!
『クラッシュ・ロワイヤル』ではテンポ感を重視する一方、サッカーの『eJ.LEAGUE』やFPSの『ヴァロラント』は先読みして何が起こりそうなのかを実況しているという岸さん。選手経験を生かし、盛り上がるポイントをつかむようにしている。
ゲームキャスター 岸 大河さん
2008年からeスポーツ大会に選手として参加。ゲーム解説の動画も手がけ、ゲーム内のカメラ操作や進行をひとりでこなしていた。
【主な実況タイトル】『ヴァロラント』『クラッシュ・ロワイヤル』
デッキの読み合いが見どころ!
日本で開催された『クラッシュ・ロワイヤル』の世界大会で、世界的に有名なImmortalsのロイヤル選手とPONOSのみかんぼうや選手が激突。ロイヤル選手の〝読みをずらしたデッキ〟に対し、みかんぼうや選手は得意なデッキでストレートに勝利を収める。この試合が転機となり、PONOSが世界3位に! 同大会直前に行なわれた試合でPONOSがImmortalsに完敗していただけに、岸さんには感慨深いものがあったという。
〈 私が選ぶベストバウト!〉
『クラッシュ・ロワイヤル』 クラロワリーグ 世界一決定戦2018
PONOS Sports(日本代表)VS Immortals(北米代表)
ゲームの醍醐味を伝えるとともに没入できる実況を心がける!
視聴者に対してゲームの醍醐味をわかりやすく伝えて、試合に没入させるのを手助けすることが、アールさんの実況のポリシー。そのうえで、どんな視聴者が試合を観ているのかを想定して〝伝えるバランス〟を変化させているという。
ゲーム実況者 アールさん
実況のプロという概念がない時代に対人戦のおもしろさや奥深さを伝える人間が必要だと感じ、その役割に身を置くことを決意する。
【主な実況タイトル】『ストリートファイター』シリーズ『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』
胸熱な展開で実況解説席もヒートアップ
2017年、北米で開催された格闘ゲームの祭典「EVO 2017」のファイナル。日本のトッププレイヤーときど選手は、Losers Sideから勝ち上がった不利な状況で、しかも挑む相手はその日に最も仕上がっていると思われたPUNK選手。誰もが「勝利するのは難しい」と思われていた戦況を覆す、ときど選手のプレイに、実況解説席は大興奮の状態に。異常事態の空気感が伝わってくる試合だ。
〈 私が選ぶベストバウト!〉
『ストリートファイターV』 EVO.2017
ときど VS PUNK
取材・文/岡安 学
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