最近では、企業がeスポーツ協会や大会のスポンサーを務めるだけでなく、プロ選手が所属するチームの運営や、定期的に行なわれるリーグ戦の主催に携わる例も珍しくない。中でも積極的な姿勢を見せる、主な参入企業の関わり方とマネタイズについて各社へ取材した。
大手企業とストリーマーが市場拡大を促している
国内で「eスポーツ元年」という言葉が流行してから、はや4年。eスポーツ市場の経済規模は世界全体で10億ドル(2021年度)に達し、日本でも堅実な成長を続ける。その取り組みや結びつきは様々で、これまではゲーミングチームのスポンサードが代表例として挙げられてきた。
2022年は金融、商社、マスコミなどの大手企業がゲーミングチームと提携し始めている。競技シーンの参入を含めたチーム運営を担い、対価として得たスポンサー料を収益化。ファンコミュニティー向けのグッズ販売からも利益を上げている。
大会そのものを主催する動きも盛んだ。例えば、NTTドコモはeスポーツリーグの「X-MOMENT」を、2021年度より始動。スポンサー料やイベント観戦チケットの販売利益も確保しつつ、競技シーンに参戦するプレイヤーへの給与保証を行なうなど、国内リーグを基点としたビジネスモデルを確立させつつある。
昨今はゲームプレイ配信を生業にするストリーマーの注目度も見逃せない。各動画配信プラットフォームで活動するストリーマーの中には、100万人規模のファンベースを抱えるトップ層も存在する。ファンは投げ銭システムを通じてロイヤルティーを示し、ストリーマーは配信活動でファンの期待に応えている。
巨大企業から個人までをも巻き込んだ多様なビジネスモデルのもと、eスポーツ市場は世界規模で急速に躍進している。
NTTドコモ
プロリーグを主催しグッズやチケットも販売!
[現時点での関わり]
・プロ選手参加の大会およびリーグ運営
・グッズの企画制作
[収入源]
・大会およびリーグへのスポンサー料
・オフライン大会のチケット販売
・グッズの販売
プロリーグ「X-MOMENT」を主催中。同社が持っている技術や会員基盤などを生かし、例えば全国のドコモショップと連携した地域に根づくコンテンツの展開も想定している。将来的には5G通信を運営に取り入れることや、既存サービスと連携したコンテンツ開発も行なう予定だ。
今秋以降の「X-MOMENT」では「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2022」、「Rainbow Six Japan League(RJL)」、「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE(PMJL)」という大会が行なわれる。公式VTuberも採用予定。
楽天グループ
ECサイト運営の強みを主催する大会に活用!
[現時点での関わり]
・ストリーマー参加のイベントの主催
・イベントの配信
[収入源]
・イベントへのスポンサー料
今年7月に「Rakuten esports cup~うまいもの争奪戦〜」を開催。人気ストリーマーが集う話題性の高さで、最大同時視聴数は19.1万人を記録した。購買につながる広告露出の新しい試みで、eスポーツとの接点が少ない企業がスポンサーに。今後は楽天の各種サービスとの連携も視野に入れている。
凸版印刷
大会の主催だけでなく制作・運営の受託も行なう
[現時点での関わり]
・社会人eスポーツリーグの運営
・大会・イベント制作の受託事業
・プレイヤーコミュニティーの構築
[収入源]
・運営するリーグへのスポンサー料
・受託事業の制作費
日本初の社会人eスポーツリーグ「AFTER 6 LEAGUE」を設立。YouTubeで配信予定の新シーズンには100チーム超が参加予定だ。同リーグの運営ノウハウを生かしたeスポーツ大会に関する制作・運営の受託事業も行なっている。
三菱地所
保有施設などを活用し街の魅力をアピール
[現時点での関わり]
・eスポーツの大会運営会社「JCG」に出資
・eスポーツ企業対抗戦を開催
・施設提供
[収入源]
・施設利用料
保有施設と法人ネットワークを活用し、企業対抗戦を丸の内エリアで主催。街に息づく就業者の満足度を高めるとともに新たな来街者を呼び込むことで、丸の内エリアの価値向上を図っている。
双日
総合商社の強みで市場拡大に貢献
[現時点〜今後の関わり]
・大会興行事業
・メディア事業・プロダクション事業
[収入源]
・大会のチケット収入/物販の売り上げ/スポンサー料
・メディア事業による広告収益/スポンサー料
・プロダクション事業による配信収入/スポンサー料/賞金
大会興行事業に加え、利用者のコミュニケ―ションプラットフォームを提供するメディア事業や、チーム・選手のプロダクション事業にも参画予定。eスポーツの裾野を開拓していく考えだ。
アックスエンターテインメント(日本テレビの完全子会社)
[現時点での関わり]
・プロチームの運営
・大会 イベント企画
[収入源]
・プロチームへのスポンサー料
・大会 イベント企画の収益
チーム運営とイベント企画に携わり、若年層のマーケティングに注力するスポンサーの獲得を実現している。親会社の番組と連動を図れるのが強み。
ワールド・ハイビジョン・チャンネル(三井物産の完全子会社)
[現時点での関わり]
・プロチームの運営
・番組の放送
[収入源]
・プロチームへのスポンサー料
・番組放送などの広告料
テレビ局「BS12トゥエルビ」を運営して「原宿 STREET GAMERS」にも携わる。目指すのは、放送との連携などによるスポンサー収益の向上だ。
SBI e-Sports
金融業界とeスポーツをITでつなぐ懸け橋を目指す
[現時点での関わり]
・プロチームの運営
[収入源]
・プロチームへのスポンサー料
ネット金融SBIグループの企業であり、プロゲーミングチーム「SBI e-Sports」を運営。デジタル世代との接点を強化し、グループ全体のブランド力とともに、各種サービスの付加価値を高めることなども参入の目的としている。
丸紅
世界トップチームと日本企業を仲介
[現時点での関わり]
・英国プロチーム組織組織との資本提携および戦略提携
[収入源]
・プロチームへのスポンサー料
英国のeスポーツチーム「Fnatic」と資本提携を行ない、戦略パートナーシップ契約を締結。国内外の幅広いユーザーに届く広告マーケティングを行なっている。
ビームス
デザインやサイズ感をファッショナブルに
[現時点での関わり]
・JeSUへの協賛
・プロチームのプロデュース
[収入源]
・プロデュース料
日本eスポーツ連合のスポンサードに加え、プロチーム「Human Academy CREST GAMING」のプロデュースも担当。ロゴなどを制作し、今後もサポートが続く。
ソニー
大会運営のほかデバイス開発にも積極的
[現時点での関わり]
・大会の主催
・周辺機器の商品化・販売
[収入源]
・検討中
同社が主催するシリーズ戦「THE GAMING DAYS」(9月24日~)ではチケットやグッズを販売予定。ゲーミングギア「INZONE」の展開もスタートし、話題を集めている。
取材・文/龍田優貴、清友勇輔、編集部
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