節約したいのに無駄遣いが減らない……。しかし、精神科医の和田秀樹さんは、むしろ〝浪費が減らせない〟という自己嫌悪、過剰な節約に対して警鐘を鳴らす。人生を豊かにするお金との付き合い方のヒントとは?
不安や恐怖心が人間の判断能力を鈍らせる
「人間は不安や恐怖心からお金の使い方の優先順位付けを誤ってしまうことがよくあります。身近な例で言えば、コロナ禍で機会は減ったと思いますが、つきあいの飲み会です。出席しないと仲間外れにされてしまうという不安から、出たくもない飲み会に無理をして参加したことはありませんか?
その一方で、いつもすっぽかしているのに、あまり嫌われていない人もいると思います。人間は忘れる生き物です。相手を傷つけたり恨みを買わない限りは、どうせすぐ忘れてしまいます。思い込みや不安感からムダにお金を使っていないか一度振り返ってみるといいでしょう」
ストレスから来る不安や恐怖心によってお金の使い方の優先順位がおかしくなると、浪費に走り、やがて「依存症」になって表われてくるのだという。
「ゲームやSNS、アルコールなど、自分の制御が利く範囲で金額を決めて課金したり購入したりするのはいいですが、度が過ぎると“依存症”となって、お金ばかりが減っていく浪費になってしまいます。
日本経済のためには、もっと国民のひとりひとりがお金を使うことは重要ですが、それが浪費なのか自分への投資としての良い消費なのか、より主体的に消費に向き合う必要があります」
若い世代こそお金の使い方を学ぼう
しかし、浪費を見つけるたびに罪悪感を感じて、ストレスを抱えてしまっても本末転倒だ。
「目的はどうであれ、家計簿やお金の使い方を振り返る時は、『良い使い方だった』といえるものに丸印を付けて、自己肯定もしましょう。浪費項目にバツを付けて自己否定しているばかりだと、お金を使うことや稼ぐこと自体に嫌悪感を持ってしまいます。その結果、やがてお金を貯め込むことばかりに執心するようになるのです。
それが『貯金依存』です。目的のない貯金こそ、人生にとって最大の浪費です。貯金しかお金の使い方を知らずに人生を豊かなものにすることはできません。
節約は何のためにするのか、若い世代ほど節約のノウハウより自分のために〝お金を使う〟ことを学ぶべきだと思います。将来のための投資もひとつの方法でしょう。もし、お金を使うかどうか悩むシーンでは、『何を得られるか、どんな幸せが訪れるか』と、想像を膨らませて即断即決を防ぐと良いでしょう」
自身の人生をより良くするためには、お金に振り回されるのではなく、お金を使いこなすことが重要だ。有意義なお金の使い方を学び、人生を豊かにしていきたい。
精神科医 和田秀樹さん
東京大学医学部卒、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学大学院特任教授、一橋大学経済学部非常勤講師。日本の自己心理学の第一人者、著書多数。
取材・文/久我吉史
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