年末調整や確定申告と聞くと、面倒くささが先に立ち、敬遠したい人がほとんどだろう。しかし、税金の知識を身につけて取り組めば、確実にお得となる〝ノーリスク&ハイリターン〟の節約術なのだ。
元国税庁専門官の金融ライター
小林義崇さん
2004年、東京国税局に国税専門官として入庁。17年にフリーライターとして独立。著書に『イラスト図解 絶対トクする! 節税の全ワザ』ほか。
年末調整をきちんとやればサラリーマンは節税できる!
日本のサラリーマンは、税金を納めているという意識が希薄になりがちです。その原因は、源泉徴収制度にあります。個人に代わって会社が納税をするので、納税の手間は省けますが、それと引き換えに、基本的な税金の知識がない社会人を大量に生んでいるわけです。
一方、節税は〝任意〟です。自ら申告をしない限り、節税の恩恵を受けることはほぼありません。節税方法を知らずに過ごしていると、確実に損をしていることになります。
まずは、年末調整をきちんと行なってください。年末調整の書類を漏れなく記載して提出をすることは節税の第一歩。面倒だからと、空欄を放置したり、提出を怠ると、余計な所得税を支払うことになります。医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除、株式の配当金などの配当控除は、確定申告でしかできません。ぜひ、申告して税金を取り戻しましょう。
出典:『絶対トクする!節税の全ワザ』(きずな出版)/小林義崇
上の表は、次ページに登場する元国税調査官の小林義崇氏が作成したシミュレーションだ。年収400万円の会社員が、iDeCo(個人型確定拠出年金)や医療費控除などの基本的な節税ワザを駆使すると、約25万円の節税ができるという一例。この中には住宅ローン控除が含まれているが、住宅ローン控除がなくても約11万円の節税となる。加えて、Point1~4は見過ごされやすい節税ワザで、該当する人はお得度がアップする。逆に、やらなければ大きな損失といえよう。税金に対する意識を高めることで自覚のない損失を回避することができる。
Point 1|社会保険料控除は家族の分もチェック!
誰もが必ず支払う、健康保険料や国民年金・厚生年金保険料などは、全額が所得から控除される。また、配偶者などの「生計を一にする家族」の社会保険料も支払っていれば、控除額に加算することができる。
Point 2|副業の収入はiDeCoに回せば節税効果もUP!
iDeCoの掛け金は全額が所得控除される。そのため、掛け金が多ければ多いほど所得税と住民税を減らすことができる。さらに、副業で得た収入をiDeCoの掛け金にすれば、収入増と節税のダブル効果が得られる。
Point 3|目薬や風邪薬でも節税できる!
医療費控除が使えるのは、原則、年間医療費が10万円を超えた時。だが、風邪薬などの「特定一般用医薬品等」の購入額が年間1万2000円を超えれば「セルフメデュケーション」税制の対象となり所得控除が可能。
Point 4|ふるさと納税はご褒美ではなく、生活必需品を!
すっかり定着したふるさと納税は寄付金控除を使った節税。所得税と住民税の節税効果があり、2000円以上の返戻品をもらえば〝儲け〟に。返戻品は生活必需品にすれば節約効果もあり、さらにお得度アップ!
【見落としがちな節税ポイント】こんな時は確定申告を!
株で大損した時 → 損失を最長3年繰り越せる!
年間の株式投資の結果がマイナスの場合、税金はかからないので確定申告はしなくてもよい。しかし、損失を確定申告しておけば、翌年から最長3年後まで損失を繰り越せる。その間に利益が出たら、損失と相殺することができ、利益が損失を超えるまでは税金はかからない。
仕事のための資格、単身赴任費用など仕事の出費がかさんだ時
→ 特定支出控除を申請できる!
会社員は給与所得に応じた給与所得控除がある。例えば、年収400万円なら控除額は124万円。ただし、仕事関連の資格取得や研修、単身赴任などの費用の年間合計額が、給与所得控除の2分の1を超えたら特定支出控除の対象に。超えた金額が給与所得控除に加算される。
【見落としがちな節税ポイント】結婚、子育て、住宅購入など人生の節目こそ重要
早めの相続税対策に!両親が健在なら贈与の検討を
親の相続税対策として最もシンプルなのは暦年贈与。1年間に受けた贈与額が1人当たり110万円以下なら贈与税は発生しない。生前のうちに、親の財産を非課税で移行でき、将来の相続税を軽減できる。
■ マイホーム購入資金の援助は最大3000万円まで非課税
自宅を購入する際、自分の親あるいは祖父母(=直系尊属)から、最大3000万円の援助を非課税で受けられるのが住宅取得資金贈与の特例。
■ 結婚、子育ての資金援助に特例あり!
結婚・子育て費用を合わせて1000万円まで(結婚資金は300万円まで)、親または祖父母からの贈与は非課税に。ただし2023年3月終了予定。
取材・文/松岡賢治
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