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脳の神経細胞を増やすと話題の成分「エルゴチオネイン」とは?

2022.10.11

コロナ禍でステイホームが続く日々です。そんな中、介護の現場では認知症患者が急増し、さらに重症化していているのをみなさまご存じでしょうか。

医療の現場においてもこの問題は深刻で、今や認知症外来に親子で受診にやってくる人も多いといった状況です。

……ということで、専門家の先生にお話をお聞きすることにいたしました。

ステイホームによる認知症患者増加における対処法とは?

ステイホームにおける認知症患者の増加へ対処するには、お医者さんに聞くのが一番です。そこで今回、寿命制御遺伝子・分子遺伝学のスペシャリスト、白澤卓二(しらさわ たくじ)先生にお話をうかがいました。

白澤卓二(しらさわ たくじ)先生
医学博士・白澤抗加齢医学研究所所長・お茶の水健康長寿クリニック院長。
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、東京都老人総合研究所病理部門研究員・同神経生理部門室長・分子老化研究グループリーダー・老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学・アルツハイマー病の分子生物学・アスリートの遺伝子研究。著書は「100歳までボケない101の方法」「「砂糖」をやめれば10歳若返る!」「ココナッツオイルでボケずに健康!」など200冊を超える。

「会わない」「話さない」「動かない」の〝3ない〟がとっても危険!

質問(以下「質問」・「感想」は筆者によるもの)
「ステイホームで認知症患者がより重症化しているとのことですが、いったいどういったことが原因なのでしょうか?」

回答(以下「回答」は白澤先生のご回答を要約したもの。)
「ここ最近は、新型コロナの濃厚接触者の自宅待機期間を最短で3日にするなど、社会活動の維持への様々な配慮が逐次行われておりますが、医療や介護の現場では依然として人員体制に大きな負担が生じています。また、認知症患者とその家族を取り巻く環境がさらに大きく変わりました。そもそも認知症患者にとって人と話すことは、認知機能を保つためにとても重要です。しかし、介護施設の現場では、外部との接触を断つ面会禁止となってしまったことで、人と話す機会や運動の時間が極度に減ってしまい、その結果、会わない、話さない、動かないの〝3ない〟がまん延し、認知症悪化の原因につながってるとも言えます」

介護者の負担増も認知症増加の要因の一つに!

質問「ほかにも要因はありますか?」

回答
「特にステイホームで心配なのは介護者の負担です。介護施設の人員不足のためにデイ・サービスが受けられず、自宅介護をする時間が増え、介護者は肉体的にも精神的にも追い詰められてきています。その結果、被介護者の認知症の発見が遅れたケースも多いです。もし親や配偶者が認知症かもしれないと思ったとしても、すぐには心が受け入れられなかったり、いざ調べようとしてもコロナ禍により相談できる窓口が少なく、やっと受診ができた時には認知症がかなり進行してしまっていたケースが少なくありませ。」

感想
「……これは正直、恐怖としか言いようがないですね」

介護現場では骨折の増加→認知症が悪化のケースも!

質問
「介護現場の崩壊による影響は何かありますか?」

回答
「介護施設の人手不足により、安全対策に目が回らずに、被介護者を骨折させてしまうケースが多く発生しています。さらに、骨折を治すための病院を探しても入院先がなかなか見つからず、運良く入院できたとしても面会禁止となり、退院した時には認知症が悪化していたというケースがめずらしくありません」

親子で認知症外来を受診するケースがあり!

質問
「認知症対策をするには何が一番大切ですか?」

回答
「認知症は突然に発症する病気ではなく、20~30年という長い年月をかけて発症します。実は認知症の発症はすでに40代からすでに始まっています。認知症の中で一番多い「アルツハイマー型認知症」は、「アミロイドβ」という「脳のゴミ」がたまる病気ですが、40代くらいからゆっくりと時間をかけてたまっていきます。そのため、認知症の予防は40代から始めることがとても重要です。さらに食生活の改善や運動が必須です。今では、親の受診に付き添う40~50代の息子さんや娘さんが、ご自身の認知症予防のために一緒に認知症外来へ受診するケースが増えています。特に認知症のリスクが高い『APOE4(アポイーフォー)型遺伝子』を親子ともども持っている人は、より将来のリスクを認識しているようです」

質問
「『APOE4型遺伝子』とは何ですか? どこで検査してもらえますか?」

回答
「『APOE』は2型、3型、4型がありますが、特にAPOE4型遺伝子は『アルツハイマー病』の発症に大きく関わっています。親が『APOE4型遺伝子』を持っていた場合、子供には『メンデルの法則』に従って遺伝子が引き継がれるので、親と子が一緒に検査をすることはとても有用です。『APOE4型遺伝子』は血液検査で調べられますが、現在はまだ保険が使えず自由診療となります。ただし認知症対策として非常に有効な検査ですので、今後は保険が使えるようになり、誰もが安価で検査を受けられる将来を望みます」

感想
「40代以上の人で経済的に余裕があるのであれば、一度認知症専門の病院に行って『APOE4型遺伝子』について検査してみてもらった方が良いかもしれませんね(考え方と予算には個人差があります)」

脳の老化は個人差がある! 抑止するには「食事」が重要!

質問
「認知症の進行を抑止する、何か良い方法はありませんか?」

回答
「脳の神経細胞は生まれた直後がピークで、その後は徐々に減っていきます。70~80代では20歳の頃に比べて5~10%減少し、90代になると半減するという報告がありますが、個人差が大きいともされています。その違いは生活習慣、特に食事の影響が大きいと考えられています。最近の学説では、認知症は60%が遺伝要因であるものの、生活習慣による要因が残り40%を占めるため、食事を見直すことはとても重要です。例えば成人病・糖尿病の治療では食事制限が行われますが、認知症対策の食べ物の摂取についてはその方向性が異なります。脳の炎症を抑え、病気の進行を遅らせる働きをする成分を活性化させ、増加させることが何より重要となります。ちなみに日本茶に含まれている『カテキン』や『クルクミン』は脳の炎症を抑える効果がありますので、食べ物ではありませんが日本茶はおすすめです」

質問
「どんな食べ物が有効ですか?」

回答
「最近注目しているのは、 『タモギタケ』、もしくはニレなどの広葉樹の倒木や切り株に発生することから『ニレタケ』と呼ばれる、北海道や東北などに自生する黄色いキノコです。キノコは一般的に脳を健康にたもつ優れた食材としてしられていますが、タモギタケは『ゴールデンオイスターマッシュルーム』とも言われており、旨味が深いことで有名です。そしてここ最近になって、認知症の改善や予防に役立つ成分が含まれていることがわかってきました」

感想
「タモギタケの別名ゴールデンオイスターマッシュルームって、すごく美味しそうな名前ですね!」

「タモギタケ(ニレダケ)」は脳の神経細胞を増やすミラクルな成分「エルゴチオネイン」を豊富に含んでいる!

質問
「タモギタケ(ニレダケ)について、もう少し詳しく教えてください」

回答
「タモギタケには、主にキノコ類に多い成分である、脳の神経細胞を増やす働きがある『エルゴチオネイン』を豊富に含んでいます。その量は、一般的なキノコの約10倍以上。ほかのキノコと比べても断トツの保有量です。
そんなエルゴチオネインには以下の特徴があります。

●脳に直接働きかけて、認知機能の改善に役立つ
●強力な抗酸化力がある
●うつ状態を改善する効果を確認
●体内で吸収されやすい
●調理における加熱に強い
●体内で合成されないため食事から摂る必要がある。

細胞には、『トランスポーター』という物質を取り込む特有な入り口があります。エルゴチオネインは食事からしか取り込めない成分ですが、『OCTN1』というトランポーターが存在することがわかり、脳にとても重要な成分であることが確認されました」

質問
「『レビー小体型認知症』にエルゴチオネインは効き目がありますか?」

回答
「レビー小体型認知症は認知症の中の約10〜15%ですが、その発症には『酸化ストレス』が深くかかわっていると言われていますので、エルゴチオネイン」の摂取はアルツハイマー同様に有効です」

質問
「筆者が現在罹患中の『慢性疲労症候群』には効きますか?」

回答
「慢性疲労症候群は原因不明の難病ですが、その症状のうち、脳の神経細胞の伝達にかかわる要因がもしあるのであれば、一度摂取を試してみても良いかもしれません」

感想
「いますぐ買ってきます。」

「エルゴチオネイン」は脳の「海馬(かいば)」で情報伝達経路を活性化してくれる!

質問
「エルゴチオネインは具体的に、いったい脳にどういった働きかけがされるのですか」

回答
「エルゴチオネインは、脳の記憶学習にかかわる脳の『海馬(かいば)』という所で働くことがわかっています。エルゴチオネインは海馬で神経成長因子『NT5』というタンパク質を増やします。NT5は神経伝達経路を活性化するタンパク質ですが、食品から摂ったとしても脳まで到達できません。しかしエルゴチオネインがあれば、海馬でNT5を増やしてくれるので、神経伝達経路の活性化が行われるのです。ここだけの話、うつ状態の改善にもエルゴチオネインが役立つことがわかっています。そもそも、うつ状態の症状は認知症と共通するものがあるからかもしれません。うつ病と認知症は全く異なる病気ではありますが、うつ病が悪化すると認知機能が落ちるので、認知機能を活性化させるエルゴチオネインを摂取することは、とても意味があることかと思います。しかも、そもそもが食品ですので、副作用の心配もありません」

感想
「うつ病に効くかもしれないだなんて耳寄り情報ですね! いますぐ食べたいです!」

「タモギタケ」は入手が困難? 「エルゴチオネイン入りのたまご」や「サプリメント」も検討してみよう!

質問
「一般にタモギタケは入手が困難と言われていますが」

回答
「タモギダケはだしの王様と言われるほど旨味成分である『グルタミン酸』・『イノシン酸』・『グアニル酸』などをバランス良く含んでいる、とても美味しいキノコですが、一部のスーパーやネットでしか手に入りません……とこれまでは言われていましたが、最近では、北海道産のタモギダケが通年、全国で手に入るようになってきています。ちょっと調べてみれば、最寄りのスーパーで容易に入手できるかもしれません。今一度、お店に確認してみてください。それでもやっぱりお近くの商店では入手が困難な場合は、『エルゴチオネイン入りのたまご』やサプリメントをネットで検索して購入してみても良いでしょう。

 サプリメントは信頼性のあるメーカーのものを選びましょう。タモギダケはエルゴチオネイン以外にも身体に良い成分が沢山入っているので、直接食すのもおすすめですが、認知症対策に特化したいのであれば、定期的に定量摂取可能なサプリメントの入手も有用です。また、鶏の餌にエルゴチオネインを混ぜた所、その鶏が産んだたまごに、さらに高濃度なエルゴチオネインが含まれていることが実験により明らかになっています。今後はエルゴチオネイン入りのたまごも広く日本人の食生活の中に浸透していき、全国的に認知症対策の効果が現れる日も近いのではないでしょうか。」

白澤先生! お忙しい中、ありがとうございました!

……いかがでしたでしょうか。

今後は、これらの情報をしっかり把握して認知症に正しく対応できるよう、賢い生活を心がけ、前向きに山あり谷ありの人生を乗り切ろうではありませんか。

取材・文/FURU

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